2011年

野菜の生命力

10cmくらい伸びた人参。一ヶ所にたくさん生えているので、このあと1本に間引く。

毎日野菜の育つようすをながめたり、収穫したり、料理に使ったりしていると、野菜の生命力ってすごいなーと感心することがよくあります。

例えば人参ひとつをとってみてもいろんな発見がある。大根なんかとは違い、種まきしてからゆっくりゆっくり育つため、お世話するのが大変で、だから余計に愛着がわくのです。芽をだしてひと月くらいは、針のようにひょろりんとした細い茎で、草取りしてあげないとすぐに雑草に負けてしまう。でもその後は、まっすぐに地面深く根っこを伸ばして、オレンジ色のみずみずしい人参となるべくたくましく大きくなってゆく。どうしてこんなに太くて甘い根っこができるんでしょう。もちろん品種改良されてきたのだが、花を咲かせて種をつけるため栄養をためこんでいるからです。たまに畑で早くに花が咲いてしまった人参を引っこ抜いてかじってみても、栄養が吸われてしまっているから、ちっともおいしくない。

また皮もすごくて、乾燥や病原菌などから守るためにがんばっている。皮をむいてしまうとあっという間にしなびてしまうので、わかりますよね。虫やねずみにかじられた所も自ら修復して表面が硬くなる。あと、へた(茎の付け根のところ)は「生長点」といって細胞分裂が盛んで、ここも大切な部分だ。

だからお料理する時、野菜の皮をむいてしまっては申し訳ない気がする。中身より栄養も美味しさも香りもぎゅっと詰まっている野菜の皮。あと、人参や大根のへたとか、キャベツの芯とか、タマネギの根っこの付け根のところとかもとても栄養があります。へたのところも、気になる黒い部分だけえぐり取って使ってみてください。野菜の命を丸ごといただくということは、生ごみも減らせるし、栄養もたっぷり取れる、いいことずくめです。たわしでごしごしと、表面をきれいにしてあげると、とってもかわいくなってきますよ。あるいは、皮を集めて煮出してスープにするのもいいかも。ただし、ジャガイモの芽と日に焼けて緑色になった皮は毒なので、取り除いてくださいね。(ひ)

カテゴリー
 

9月下旬の畑と田んぼのようす

タマネギの苗

  田んぼのようす

いよいよ稲刈りスタート。田のまわりからぐるぐる刈ってゆくと、驚いた小さな生き物が、次々に飛び出し、まだ稲のある方へ逃げ込んでゆく。どんどん刈進み、最後に真ん中を刈ると、ついに隠れる場所がなくなり、四方八方へ散らばってゆく。カエル、イナゴ、クモ・・・。カエルがずいぶん増ええた。カエルって何年も生きるそうだ。飼育下では10年以上生きることもあるという。来年もこの田んぼに帰ってきてくれるはず。(匂いで場所を覚えるそうだ)

今年は、例年より早く刈り始めたのに、雨続きで刈遅れ気味になってきた。きれいな黄金色をやや過ぎてしまった。さーて、台風も過ぎたし、いよいよ稲刈り再開だ。 

  畑のようす

ずいぶん日が短くなった。もうすぐ秋分だ。ちょうど半年前、春分の日の頃から、最初の種まきが始まる。最初は、ビニールハウスの中で、キャベツやブロッコリーなど。外はまだ寒いので、何日もかけて芽を出し、ゆっくりと大きくなってゆく。

そして今が、今シーズン最後の種まきの時期になる。最後にまくのは、小松菜、冬菜などの葉物だ。今はまだ、暖かいので、種はすぐに芽を出す。しかし、あたりまえだが、季節は、次第に寒くなってゆく。それにつれて、葉物の生長は、次第にゆっくりになる。そして冬になり、ついに成長が止まってしまう。そのとき、収穫できる大きさになっているための、今がラストチャンスなのだ。(ここはしっかりおさえないと!)

葉物の収穫適期は短い。この間、できれば5日間隔くらいで、規則的に種まきをしたい。もちろんそんなにうまくゆくはずはない。雨が続けば種まきは出来ないし、日照りでは、まいても芽が出ない。毎年、種まきに関しては、ばたばたする。春分から秋分までずっとバタバタしている。もちろん農業は、雨とお日さまがなくては始まらないのだが。

 今は、夏野菜もまだがんばっていますが、次第に秋野菜に変わってゆきます。10月は、秋野菜の最盛期です。

カテゴリー
 

不便で素敵な暮らし

私は大阪の郊外で生まれ育ったので、信州に来るまでまったく農業の経験はなし。でも、母の実家が大阪南部の山の中の田舎で、子供のころよく遊びに行きました。

家は古い茅葺の民家で、母の子供のころは、土間で農耕牛を飼っていたそうだ。お風呂は、蓋を入る時に沈めて底にするいわゆる「五右衛門風呂」で、薪をくべるのが楽しくてずっと眺めていた。トイレは外に出て20mくらい離れたところにあり、夜に行くのがとても怖かった記憶がある。家の中も夜は古民家特有の、部屋の隅っこが暗いというか、座敷わらしが出てきそうな、何だか少しおどろおどろしい雰囲気だった。

夏はいとこ達と弟と一緒に近くの川に行って、沢がにを捕まえたり、澄んだ湧き水を手ですくって飲んだり。冬は伯父の所有するみかん山へ行って、みかん狩りをさせてもらったり。とても楽しかった。祖母が作った野菜もたくさん食べさせてもらった。河内弁のとても優しい祖母で、私がお百姓になった時も喜んでくれた。今は93歳で寝たきりになってしまったが、先日も会いに行ってきた。

その頃の体験したことと同じような暮らしを幸運にも現在しているわけだが、自分が突然農業をやりたい!と思ったのも、その楽しかった記憶があったからなのかもしれない。

そんな生活が日常になっているうちの子供たちは??たぶん、とりあえず都会にあこがれるんじゃないかな。特に6年生の息子は、新しい家と、ボタンひとつでお風呂が焚けちゃうような便利な暮らしがうらやましい、とよく言っています。(ひ)

カテゴリー
 

9月の畑と田んぼのようす

バナナピーマンはこんな風に実をつけています。

野菜のようす

 雨が降らなくては、野菜は育たない。根本的には、日照りの方が困る。これだけ雨が降ってくれる日本は、水と緑に包まれた、かえがたい大切な資源に恵まれた、ほんとうに世界的にも恵まれた地域だと思う。

しかし、ここのところ、台風の前から、なんだかよく降った。

降っている時間が長かった。皆さんのお住まいのところはどうだったでしょうか。紀伊半島のほうですか、2日で1800ミリの雨って、想像できないです。

 野菜は、雨が多いと病気になりがちだ。雨が嫌いなトマト。今年はがんばっていたのだが、力つきそうだ。甘みもおちてしまう。割れも多い。露地の雨よけ栽培なので、よけいに天気の影響を受ける。ナスは雨は平気だ。けれど雨ばかりだとお日さまが出ない。お日様が出ないと、ここは寒いんです。寒いと果菜類、特にナスは全然実がならない。うちでは最近、おでんとか、鍋、ほうとう(知ってますか)なんかを「あったまるね」とか言いながら食べています。まあ、また暑くなるとは思いますが。雨ばかりで畑に種まきが出来ず、ビニールハウスの中でポットに葉物の種をまいています。早くおいしい葉物をお届けしたいです。

田んぼのようす 

稲自体は、畑の作物と違って、もともと水のたまった田んぼに生えているのですから、

いくら雨が降っても平気です。ただ、今年は、稲の品種を変えたため、例年よりだいぶ生育が早い。もう稲刈りができそうになってきました。でも、さすがに、これだけ雨が降ると、稲刈りは無理です。しばらく天気が続くのを待つしかありません。

昔から、二百十日は、台風が来る時期だって言いまよね。やっぱり、あまり早い稲刈りはよくないみたいだ。来年は気をつけよう。

 シカは、あいかわらず、よく出没しています。目をつけられたという感じで、ねらわれています。もはやスズメなんてどうでもいい。シカを田んぼに入れないように必死です。しかし、毎年こんなことを言っていてもしょうがないですね。根本的な対策をしなくては。柵で囲うなら、今みたいなただのアミではなく、電気柵を買うしかない。あるいは、シカの来ない地域の田んぼを借りるか。これは逃げ出すってことですが・・・。あるいは、シカを捕るか・・・実は、一昨年、狩猟免許だけは取ったのだ。さてどうするか。(か)

カテゴリー
 

新しい品種に挑戦

うちのようにたくさんの種類の野菜を少しずつ作っていると、いろいろなメリットや楽しみがある。例えば今年は人参のできはいまいちだけど、ナスやトマトは豊作みたいだとか。その年の気候などによって、出来・不出来いろいろあっても、トータルで毎年安定して収穫できるのが強みです。

また、毎年試しにいろんな品種の野菜の種をまいてみるのは、わくわくする楽しみです。種選びのポイントとしては、①病気や虫に強く収穫量が多いこと、②味がおいしくて多くの人に好まれること、③輸送で傷みにくいこと、④できれば種取りできる品種。あとは、遊び心でしょうか。今年は黒いトマト、クッキングトマト、水ナス、グリーンピースをつくってみました。夫はこのクッキングトマトが生食でもおいしいと大絶賛。たしかにずっと作っているミニトマト(アイコ)と食べ比べてみると、甘みは少なめだけど濃厚でうまみが強いような気がする。黒トマトはおいしいけれど、皮が柔らかいので傷みやすくて、いまいちかなぁー。水ナスはえぐみが少ないので、ナスを浅漬けやサラダ感覚で食べるおいしさを知りました。グリーンピースは豆ご飯にすると最高!!このように試しに少し作ってみて、良ければ次の年から定番の品種になるわけです。さて、来年は何を作ってみようかな。

カテゴリー
 

8月の田んぼと畑のようす

 

ミニトマトの畑 

だいぶ稲の穂がかしいできた。ここ数日で、急に色が黄色っぽくなった。実りの色だ。稲刈りまで、あと1ヶ月くらいか。今年は、「あきたこまち」と「ゆめしなの」の2品種を作っている。「ゆめしなの」は今年初めて作付けした品種。「あきたこまち」より10日くらい早く穂が出てきた。その分早く新米が食べられるはず。たのしみだ。

後は収穫を待つだけといいたいが、なかなか、そうはいかない。土手草をもう一度刈らなくては。それもなるべく早く。草の種がこぼれそうだ。

すずめもたくさん来ている。出来ればヒモか、キラキラテ  ープを張りたいが、時間がない。

それから、そう、他にもいろんな動物が米をねらってやってくるのだ。シカなんか、その辺の草でも食べていりゃいいのにと思うが、鹿も馬鹿ではない。米の方がおいしいことをよーく知っている。もちろん、危ない田んぼは、ネットを張ってはあるのだが、電気柵ならともかく、その気になれば、ネットなんかちょろいもんだ。そういうわけで、数日間があいて田んぼを見に行くときは、荒らされてないか、本当にどきどきしてしまう。あー、早く収穫してしまいたい。

野菜のようす

去年も、トウモロコシはだめだったのですが、今年も出来が悪いうえに、動物にやられて散々です。あまりお届けできずにすみません。

夏の果菜類は、気候が暑かったり寒かったり極端で、やりにくかったですが、まあまあよく出来ました。特にナスとキュウリは、いつもよりたくさん取れたので、多めにお届けしました。

これから、8月後半、9月も、もうしばらく夏野菜中心でお届けします。9月下旬から徐々に秋野菜に変わって行きます。

カテゴリー
 

夏野菜のお料理

わが家の食卓は、収穫したての野菜の味をチェックする場でもある。野菜の味は畑の中でも日々変化してゆくので、自分たちの舌をたよりに真剣勝負です。例えば、前回はおいしかった枝豆が、今日収穫したのは実が入りすぎて硬くなっているから出荷は無理かな・・・とか。トマトも取れたての時期より、8月に入ってからの方が甘さが乗ってきておいしいです。子供たちは正直なので、おいしい時期の野菜はいっぱい食べる。そんな野菜の味の微妙な変化も、ぜひ楽しんでみてください。

うちの子供たちは意外と好き嫌いがあり、息子はなすやミニトマトが苦手で、娘はタマネギやニンニク、ネギなど香りの強いものが苦手。いつもテーブルにいろんな野菜料理を並べて、自由に取るようにしているので、なかなか好き嫌いが直らないのかも。そうは言っても、毎日毎食同じ夏野菜ばかりが、これでもかと並びます。どうしたら苦手な野菜も喜んで食べてくれるかな~と考えながら料理して、「おいしい!」と言ってくれれば、私もにっこり!!

〇ピーマンのおひたし・・・ピーマンは千切りにして、短めにゆでてざるにあげる。ボールにピーマンを入れ、醤油、かつお節、ちぎったのりで和える。

〇伏見唐辛子の炒め物・・・伏見唐辛子は小口切りにする。フライパンに油をしいて、伏見唐辛子を炒める。塩とみりん(又はお酒)を加えて混ぜ、仕上げに醤油を回しかけて香りをつける。※万願寺甘とうでも同様に作れますが、種を取り除いてください。

カテゴリー
 

7月下旬の田んぼと畑の様子

 

田んぼの様子

田植えがすむと、毎日、田んぼの見まわりをするのが日課になる。田の水見(みずみ)って言います。言葉のとおり、田んぼに水があるかどうかチェックし、少なければ水口を開けてせんぎの水を入れる。同時に、稲の様子を観察する。このあたりは、高冷地で、夏が短く、稲が育つのにすごく適したところとは言えない。おまけに、せんぎに流れてくるのは、南アルプスのとびきり冷たくておいしい水だ。だから、田んぼに水を入れるなら、なるべく朝早く入れる。昼間は、水を止め、太陽の光でできる限り暖めるのだ。ほんの少しの温度の差も、毎日積み重なると大きい。もう一つ、特に、除草剤を使わない場合、水が切れると、草がわんさか生えてくる。水がなくなると生えてくる種類の草があって、これが始末が悪い。そういうわけで、田植えから、一月半は必死で水見をする。

今、7月も半ば過ぎ、稲もすっかり大きくなり、気持ちよく風にそよいでいる。そのすがたは、不思議と見飽きない。ここまでくると、すでに今年の勝負はついた。この時点で、秋の収穫は、ほぼ見えてしまう。うまくいかなかった田んぼもあるが、今年は全体に、まあまあのできでしょうか。トンボの羽化もピークを過ぎ、おたまじゃくしもかえるになり、水見もしだいにいいかげんになってくるのだ。

畑の様子

夏野菜が取れ始めました。だいぶ暑かったせいで、いつもより早いようです。この辺は,空梅雨で、珍しいくらい雨が降らなかった。雨が少ないと、大体、野菜は病気が少なく、元気です。雨が嫌いな、ジャガイモやトマトは、特にげんきそうだ。

ジャガイモは、あまり梅雨が重いと、疫病やらの病気で、早々に、茎や葉が枯れてしまうことがある。今年は、主な品種を、疫病に特につよい「花標津」と「さやあかね」の2品種に変えました。今のところ元気そう。イモは、掘ってみないと、わからないですが、花が落ちたら早速ほるつもりです。お楽しみに。

その他の夏野菜も元気そう。ナスやピーマンはこの暑さに大喜び。反対に、レタスや葉物は暑すぎて、早めに傷んでしまいました。しばらくは夏野菜ばっかりお届けするようです。(か)

 いなごの子ども?

カテゴリー
 

日々感動

 3月、苗箱にトマトの小さな種をまく。外は氷点下でも温床のベッドの中はあたたかい。そのうち、かわいい双葉がひょっこり顔を出す。それをひとつずつポットに移植して、ハウスの中にずらりと並べる。苗を育てるのは小さな子供を育てるのと似ていて、毎日顔色をうかがいながら、細心の注意をはらって世話をする。水をあげすぎても少なすぎてもだめ、その日の天候によっても違ってくる。苗が大きくなったら、いよいよ地面に植えつけだ。トマトは自分では上に伸びてゆかないので、棒を立ててひもを張り、茎をしばりつけてゆく。そのころにはかわいい黄色の花もちらほら咲くようになる。葉っぱと茎の間から芽が出てくるので、それを一つ一つ手で折り取ってゆく”芽かき”という作業もある。肥料をあげたり、草を取ったり、手をかけて世話をして、7月半ばようやく緑色だった実が真っ赤に色づいてきた。今年初めてのトマト、ひとつもいで、がぶり!!まさに夏の味。毎年同じことの繰り返しなのに、感動する瞬間です。(ひ)

カテゴリー
 

7月の田んぼと畑の様子

ごちそうナス。へたには鋭いとげがたくさんついていて、まるでかぶとのよう。

田んぼの様子 

  

 ここのところの急な暑さで、稲がぐっと大きくなりました。今年から、稲の苗を育てる方法を変えました。プール育苗といって、芽が出たあとは、ずっと水を張った中でそだてるのです。初めてなので勝手がわからず、大きかったり小さかったり、むらができましたが、それでも、いつもよりはよい苗ができました。 

今年、新しく借りた田んぼもあるのですが、有機の田と、一般の田との違いは、一言でいうと、生物性の違い。ミジンコ、おたまっこ、いろんなトンボ、エラミミズ、こんな生き物がうじゃうじゃいたら、田んぼの土はとろとろで、稲のできはばっちり。雑草も生えない。そこまでゆくのに少々時間がかかるのですが。 

畑の様子  

夏野菜がだいぶ大きくなってきました。これは「ごちそう」という品種のナス。3月下旬に種をまいてから3ヶ月、やっと最初の実がふくらみ始めた。この畑は、去年は田んぼだったところ。畑と田んぼを交代して作ると、野菜の病気や害虫が少なくなったり、連作障害にとっても効果がある。田んぼに生える草と、畑に草とはぜんぜん違うので、雑草対策にも効果ばつぐん。 

このナスは甘みが強く、あくが少なく、生でもおいしいということです。お届けするのはもう少し先になります。お楽しみに。それにしても、すごいトゲ。これ、収穫していると指に刺さって痛いんです。 

 最後に・・・がんばりすぎてこんなにたくさん原発できたんじゃないの。ゆっくりいこう。(か) 

カテゴリー