毎日野菜の育つようすをながめたり、収穫したり、料理に使ったりしていると、野菜の生命力ってすごいなーと感心することがよくあります。
例えば人参ひとつをとってみてもいろんな発見がある。大根なんかとは違い、種まきしてからゆっくりゆっくり育つため、お世話するのが大変で、だから余計に愛着がわくのです。芽をだしてひと月くらいは、針のようにひょろりんとした細い茎で、草取りしてあげないとすぐに雑草に負けてしまう。でもその後は、まっすぐに地面深く根っこを伸ばして、オレンジ色のみずみずしい人参となるべくたくましく大きくなってゆく。どうしてこんなに太くて甘い根っこができるんでしょう。もちろん品種改良されてきたのだが、花を咲かせて種をつけるため栄養をためこんでいるからです。たまに畑で早くに花が咲いてしまった人参を引っこ抜いてかじってみても、栄養が吸われてしまっているから、ちっともおいしくない。
また皮もすごくて、乾燥や病原菌などから守るためにがんばっている。皮をむいてしまうとあっという間にしなびてしまうので、わかりますよね。虫やねずみにかじられた所も自ら修復して表面が硬くなる。あと、へた(茎の付け根のところ)は「生長点」といって細胞分裂が盛んで、ここも大切な部分だ。
だからお料理する時、野菜の皮をむいてしまっては申し訳ない気がする。中身より栄養も美味しさも香りもぎゅっと詰まっている野菜の皮。あと、人参や大根のへたとか、キャベツの芯とか、タマネギの根っこの付け根のところとかもとても栄養があります。へたのところも、気になる黒い部分だけえぐり取って使ってみてください。野菜の命を丸ごといただくということは、生ごみも減らせるし、栄養もたっぷり取れる、いいことずくめです。たわしでごしごしと、表面をきれいにしてあげると、とってもかわいくなってきますよ。あるいは、皮を集めて煮出してスープにするのもいいかも。ただし、ジャガイモの芽と日に焼けて緑色になった皮は毒なので、取り除いてくださいね。(ひ)