昨年の9月から今年の7月まで娘がカンボジアに留学していましたが、不思議なことにちょうどその間入れ替わりで、10か月間リノさんというスイス人がわが家に居候していました。私たちは15年ほど前から国内外の方を受け入れていますが、1か月以上滞在した人はいなかったので、すっかり本当の家族のような存在でした。
彼の夢はスイスで味噌工場を作ることで、日本の食文化に触れたいこともあり、ワーキングホリデービザで日本に来たんです。まずはウーフでしばらくわが家に滞在のつもりが、なぜかうちと富士見町のことが気に入って、ずっといることになりました。その間に各地の味噌工場を見学して、麹・味噌づくりのノウハウを学んでいました。
彼は28歳ですが16歳の時からシェフをしているので、料理の腕前がすごいんです。山に行ってキノコを採ってきてパスタやリゾットを作ってくれたり、川に行って魚を釣ってきてソテーと骨のスープ作ってくれたり。近所の猟師さんからいただいた鹿肉で美味しいステーキを焼いてくれたこともありました。うちの野菜と組み合わせて、ここの土地で採れたものを使いこなして、まさに地産地消、身土不二です。
料理のことだけじゃなくて、有機農業のこと、環境問題のこと、戦争のことなど、彼とたくさんのことを話しました。親子ほども年が離れているのに、しっかりした考えを持っていて、こちらが学ばせてもらうことも多くて話が尽きなかったです。
最後に高価な麹を作る機械を注文してスイスに送る段取りをし、7月30日に帰国。工場を立ち上げるのに借金をしたので、これから忙しい毎日が待っていることでしょう。でもまたいつか、いつものように「ただいまー」って言ってうちに帰ってきてくれるような気がします。