ヤマトイモの話

寒くなってきました。それもそのはずで、いつのまにかもう11月です。いろいろあっても季節が巡るのだけは確実です。サツマイモを掘り、稲刈りをし、花豆や大豆など豆類も収穫が終わり、畑のほうもだいぶ片付いてきました。先週からヤマトイモを掘りはじめ、今ぼちぼちと掘りすすめているところです。今年はビニールマルチを張るのをやめて(なるべく使いたくはないのです)、畝の上にわらを敷くだけにしてみたのですが、何の畑なのかわからないくらい草だらけになってしまいました。やはりそれがよくなかったのでしょうか。今年のイモは残念ながらだいぶ小さめみたい。イモ掘りはまずその草を引き抜いて、次に手でイモの頭というか首というのかそのあたりを少し掘り、位置を確認します。それからスコップでまわりから掘りすすめ、準備オーケーと引き抜こうとすると、さわるかさわらないかのうちに「ポロリ」と小さいのしかとれないこともしばしば。おかげでほるのは楽なのですが…。
ヤマトイモはヤマイモの仲間です。長イモより水分が少なくてねばりが強く、色も白くて上品な感じです。長イモの方は、野性的というか、あの口のまわりや手がかゆくなる成分が多い。その分特有のうまみも多い気がします。ほそかわ農園でも以前は長イモとヤマトイモの両方を作っていたのですが、今はヤマトイモだけです。長いもは専用の機械なしには掘るのがとても大変なのと、このあたりは石も多くて耕土も浅く、深くて柔らかい長イモに適した畑がなかなかないのです。とはいえ、かたい土を押しのけて苦労して大きくなったイモの方が、形は悪くてもねばりが強くおいしそうです。
これから日ごとに寒くなってゆきます。今は朝霜がおりる日とおりない日があります。じきに毎朝真っ白に霜がおりるようになり、最低気温がマイナスになります。次第に畑の土も凍ってきます。大根や人参、キャベツ、白菜なども貯蔵しなくてはいけません。貯蔵は土にうめるか、ムロに入れるかなのですが、これはいわば天然の冷蔵庫ないしは保温庫なので、あまり早く入れすぎてもいけません。暖かすぎて傷んでしまいます。そうかといって畑でカチカチに凍ってしまってはもちろんいけません。もうしばらくは、天気予報でこの秋もっとも強い寒気が来た、なんていわれるとちょっとドキッとするのです。