田んぼのワラ集め

「豊作年は秋の長雨」と言うそうですが、何だか雨ばかりで、やっと田んぼのワラ集めが終わった。自分の田と近所の人の田から合わせて5反分(50a)くらいのワラを運ぶ。このうち半分は堆肥の置き場所にしている5セ(5a)ほどの畑に運びこむ。そして近所の酪農家から分けてもらった牛フン堆肥と混ぜて積み上げる。エゴマの実をとった後の茎、大豆を収穫した後の豆がらなんかもいっしょに混ぜてしまう。トラクターで切り返すたびにもうもうと湯気が上がる。今はうず高い山になっているが、半年もたてば何分の1かの量になる。これで堆肥の完成。来年には畑にまかれることになる。
 もう半分のワラはしきわら用だ。こちらはまず、田んぼに散らばっているワラ束を4つか5つずつ円すい状に立たせて、上のほうをワラでくくる。そのまま2週間くらい乾かす。乾いたら今度はひとかかえくらいに束ねる。それをワラ小屋に運びこむ。古い木造の、ワラを入れるための小屋があるのです。このワラは、来年畑でトマトやキュウリ、カボチャなど主に果菜類の株元や畝間に敷いてあげる。はだかの土より何か地面の上に敷いてある方が植物はうれしい。何ヶ月かすると、敷いたワラはすでに下のほうから腐り、分解し始めている。ミミズやいろんな虫も増えてくる。そして収穫が終われば、またトラクターで耕されて畑にすきこまれる。
 また、野菜の収穫・出荷のたびに、キャベツの外葉やネギの皮などの「ゴミ?」がコンテナ何ばいか出る。これらも堆肥置き場に運び込まれ、また別のひと山に積まれる。台所の生ゴミもいっしょだ。これも何度か切り返し、一年ほどたつとすっかり土みたいになる。こっちの方は田んぼに運ばれて、わが家で食べるお米にかわる。
今、紅葉も終わり、ハラハラと木の葉が散っている。全部落ちれば、今度は雪がふる前に落ち葉集めだ。くまででかき集めて軽トラに積み、運ぶ。わりとのどかな仕事
ですが、一週間ほどかかる。落ち葉は来年の春、ハウスの中で「踏みこみ温床」に使う。まずは発酵熱で野菜の苗を育ててもらうのだ。そのあと運び出し、またまた積み上げ、切り返す。二年たつとすっかりさらさらの土になる。今度はそれをポットに詰めて、ナスやトマトの苗を植えるのに使う。苗を定植すると、この土もいっしょに畑に入る。
農業というのは、化学肥料にたよらない有機農業では特にそうなのですが、こんなふうな炭素分の多い、ガサガサかさばるものをせっせと運んだり、積んだりする仕事
かもしれません。ワラや落ち葉がだんだん貴重な宝物のように思えてくるのが、われながらおかしいです。よく手入れされ、落ち葉のとりやすそうな山を見かけると「いいなー」とうらやましくなってしまうのです。