寒さに強い野菜

寒くなるにつれて畑にある野菜の種類は少なくなってくる。寒さに弱いものから一つずつなくなってしまうのだ。葉物野菜で最後に残るのはこの三種類。コマツナ、ホウレンソウ、ターサイだ。
コマツナは作りやすいといえばたいへん作りやすい野菜だ。タネをまけば、気候のよいときならば1ヶ月弱で「コマツナ」ができあがる。作業としては(1)タネまき、(2)収穫、という感じだ。しかし、生育期間が短い分、途中でどうこうすることはできない。例えば、トマトならばどの畑に作ったとしても、あげる肥料を吟味し、足りないようならばもう少しあげようかと、顔色をうかがいながら育てることもできる。しかしコマツナは、途中であまりよくないかも…と思ってももうどうしようもない。よい土でなければよいものができない。正直です…。土の味がそのまま出てしまう、という感じでしょうか。
ホウレンソウは、実は葉物の中ではもっとも作りにくい。肥料もたっぷりじゃないといやだし、酸性の土は大きらい、雨もきらい、とかなりわがままだ。ホウレンソウがよくできるようになれば、よい畑になったというくらいだ。うちでは最近は石灰の類もぜんぜん使わないようになった。ホウレンソウは特に大量の石灰を畑に入れないと育たないということになっている。かわりにカキガラ(牡蠣殻)の粉末を使用しているのだが、畑によってはうまくいかないことも多い。土作りもまだまだ半ばという感じです。
ターサイがこの3つのなかではもっとも寒さに強い。その秘密はこの形、緑のザブトンだ。初めて見た人は必ず驚いてくれる。この形をロゼットといいます。道端のタンポポなんかも冬はこんな形をしている。でも9月頃の姿はぜんぜん違う。ちょっと葉っぱが多いけどコマツナかなーという感じだ。寒くなるにつれ、次第に地面にはりついてくる。もっと寒くなると、あんまりぴったり地面にはりつこうとするせいか、チョキッと収穫すると、裏側に反り返ってしまうくらいだ。
これら3つとも寒ければ寒いほどおいしくなる野菜だ。今年の秋はずいぶん暖かかったので、まだまだこれから柔らかく甘くなってくれるはずです。