肥料のこと

ほそかわ農園で使っている肥料は牛ふん堆肥、カキガラ、ボカシ肥の3種類です。堆肥は作物にあげるというより、フカフカで微生物いっぱい、元気いっぱいの土にするために「土」にあげるというかんじです。カキガラは名前のとおり、カキの貝殻の粉末です。以前は石灰を使用していたのですが、そのかわりに使っています。ホウレンソウ、トマトなど石灰分を特に必要とする作物にまいてあげます。
 作物にまく、いわゆる「肥料」は3年ほど前からすべて自家製ボカシ肥にしています。ボカシというのは有機質肥料を発酵させたものです。原材料は米ぬかが全体の2/3、ナタネ油の絞ったあとの油カスが1/3、魚カスとカニのこうらの粉末が少々(1/10~1/20くらい)、あとはモミガラです。これらの材料を混ぜ合わせ、水をかけると、今の時期なら数日でたちまち温度が上がってきます。発酵熱で60℃くらいになるのです。そしてなにやら甘酸っぱい、いい匂いがプーンとただよいます。酵素風呂ではありませんが、入ったら気持ちよさそうです。春先、まだ寒いころノラ猫が上に乗って温まっていたこともありました。1日1回まんのうぐわやスコップで切り返し、混ぜます。最初は水分が多く、ずっしりと重いのですが、次第にサラサラになり、温度も下がってきます。これででき上がりです。現在はこういう肥料を500~600kgずつ年に4回作って使っています。ボカシをあげると虫の出かたは安定するし、野菜も甘くおいしくなるような気がします。とはいえ、たとえどんな肥料を使ったとしても、人間の思いどおりに野菜に味付けすることはとうていできません。
「トマトを作る、ジャガイモを作る」という言い方をついしてしまいますが、本当はトマトやジャガイモが自分で育った、と言うほうが正確ですね。でも、だからこそ
野菜っておいしく、慈味なのでしょう。

写真:キュウリの花
ウリ科のカボチャ、ズッキーニ、キュウリなどは、雄花と雌花がある。雌花にはもう小さなキュウリがついている。