害虫と益虫

梅雨入りしたというのに、よいお天気が続いています。雨ばかりの梅雨も仕事ははかどらないし、いろいろ不都合なことがあるのですが、農業にとってより本質的には雨が降ってくれない方が困るのだな、と思いしらされています。もうこの先どんなに大雨が降ろうと決してお天気に文句はいいませんから…。
「降れば病気、照れば虫」なんて言い方があります。雨の多いときは作物に病気が多く、日照りが続くと虫が多く発生すると言う意味です。どっちにころんでもいいことのない、みもフタもない言い方ですが、基本的にはこのとおりです。今年は今のところ日照り年なのでうちの畑にもアブラムシ、それからキャベツやブロッコリーが大好きなアオムシ、コナガの幼虫、ヨトウムシなどの害虫がやや多いようです。
虫を害虫、益虫と分けるのは、まことに人間の勝手とは思うのですが、畑や田んぼではどうしても植物を食べる、ベジタリアンの虫が害虫、他の虫を食べる肉食の虫が益虫(天敵)となってしまうのです。虫を観察することによる減農薬運をはじめた宇根豊さんによると、害虫、益虫の他に「ただの虫」というのがいるそうです。例えば、田んぼには600種くらいの虫が住んでいるそうですが、害虫あるいは益虫とよばれているのはその10パーセント以下で、後は直接作物に害もしなければ、益もない、人間から見ればいわゆるただの虫だそうです。しかし、このただの虫が益虫のエサになったり、有機物を分解したり、自然のサイクルの中で目には見えなくても大きな役割を持っている、というお話でした。今、「絶滅危惧種」などとよばれる生物が確実に増えているようですが、おそらく生物の種類が多ければ多いほど、人知の及ばないバランスにより、環境は安定するのでしょう。
畑の上空を自在に乱舞して虫を捕まえているツバメの群れ。思わず見とれながら歩いていると、大きなシマヘビとばったり鉢合わせする。田んぼのあぜには、今しっぽが取れたばかりの小さなカエルが無数にはねまわっている(ヤマアカガエルか?)。
水中に目をこらせば、そこには小さな生き物が満ちあふれている。多くの生き物に囲まれているという感覚…それは一種の幸福感です。
イネとウキクサ
次第に増え、ついに全面ウキクサにおおわれた田んぼ。光をさえぎり、水温が上がらないと嫌われるのだが、逆にそのことにより雑草を抑えたり、また水を浄化する働きもあるという