贅沢な時間

15cmほど芽を出したニンニクの株元に、ハコベがこんもりとはえている。一見やわらかく、たよりなさそうに見えるが、油断してはいけない。 来年まで放っておくと、たいへん立派なハコベに育ってしまう。しゃがみこんで草取りを始める。たぶんこれが今年最後の草取りだ。やれやれ…。 そうはいっても11月になれば、夏のような忙しさはない。指先にハコベのもしゃもしゃした感触を感じつつ、ぼーっと草を取る。 単純作業である。 何か有意義なことでも考えればよいのだろうが、あまりややこしいことを考えると、こんどは手が動いてくれない。さっさっと手を動かしていると、 頭はたいしたことを考えてくれない。ふと気が付くと、同じことをくり返し考えていたり、あるいはいつのまにか古いフォークソングかなにかうたっていたり…。 そして小鳥や虫が目に入れば、なんだろうとじっと目をこらす。飛行機が飛んでくれば、口を開けて見上げる。ついでにそのまましばらく雲を見ていたりする。 ただ見ているだけ。きれいとか、なんとか思う以前の状態。そういえば昔から、ぼーっとしていると指摘されることが多かった気がする。 しかし、空の色や雲の色、木々の色づきぐあい、昨日と今日では、ほとんど変わらないように見えるが、まったく同じではない野菜の姿。 普段あたりまえに見ている光景も、その微妙さはとうてい言葉では言い表せないとも思う。 

写真:収穫の適期を過ぎつつある大豆
早く収穫しないとこんなふうにパチンとさやがはじけ、実が飛び散ってしまう。 マメのさやって自分のタネをなるべく遠くに飛ばすための道具でもあるのです。

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