小さな生き物

cimg4069.jpg田や畑で仕事をしていて、いろんな小さな生き物に出会うのは楽しい。
畑に、しばらく置いておいたわらを持ち上げたら、サワガニが一匹出てきたことがあった。一番近い川からも何百メートルか離れている畑なのだが、どこから来たんでしょうか。お腹には卵を抱えていた。
田んぼの水面からじっとのぞきこむと、水草の間を小さな生き物がうごめいていて、アクアリウムのようだ。ミズカマキリがオタマジャクシを襲って体液を吸っていたりする。じっと見ていると思わず引き込まれる。  
考えてみると、有機農家ほど、昆虫をはじめ小さな生き物のお世話になっている仕事はないかもしれない。例えば、野菜にアブラムシがついたとき、ヨトウムシが大発生したとき(それは肥料のやりすぎとか、たいてい何かバランスがくずれたサインなのだが)そんなときは、結局、天敵昆虫の力を借りてバランスを取り戻すしかしようがないのだ。そして、最近、農家にとってだけでなく、すべての人にとって、普段、気にとめていないような小さな生き物の大切さが明らかになってきた。
世界中でミツバチが突然大量に失踪した事件は記憶に新しい。その結果、思いもよらないほど広い範囲で影響があった。イチゴやリンゴをはじめ、じつにいろんな作物が、花を受粉させ、実を結ぶのにミツバチのお世話になっていたのだ。花の受粉をしてくれるのは、ミツバチだけではない。夏の早朝、キュウリや、インゲンンの収穫をしていると、大きなクマバチが実に忙しそうに飛び回っている。小さな花アブもよく見かける。ミツバチは人が飼育しているから、大量失踪がわかったのだが、これら野生の小さな昆虫がいろんなストレスでどれだけ数を減らしているか、誰にも確かなことは、わからない。
私の周りでも、昆虫や、魚類など小さな生き物が、明らかに数を減らしている。庭のブットレアに集まるすべてのチョウ、明かりにくるすべてのガが、年々減っている。いろんな種類のチョウが群がる、むせ返るような様子は最近まったく見ることはできない。
みんなで、何とかもう少しなかよくしてゆく方法を探してゆきたいものです。(か)