ばっかり食

お百姓をしていて一番の特権は、とれたての野菜をたくさん食べられること。夏の太陽をぎゅっと閉じ込めたようなトマト、土の香りのするニンジン、寒さにあたって糖分をたっぷり蓄えたホウレンソウ。旬の野菜だからこそ味わえるぜいたくだ。しかし裏を返せば、その時期は毎日同じ野菜しかとれないので、毎食同じ野菜を食べ続けることでもある。今は傷のあるトマトとバナナピーマンがどっさりあるので、早く使っちゃうか保存してしまわないと・・・と焦っています。
 同じ野菜をいかにして家族に飽きずに食べてもらうか。悩むところでもあり、料理の工夫のしがいのあるところでもある。例えば「ピーマン、なす、トマト、ズッキーニがあるのでラタトゥィユが作れる!」とか「傷みかけたかぼちゃがあるから、何か子供のおやつは作れないかな?」などとパズルを解くみたいに考えるのは楽しい。料理本をながめながら、次はこれを作ってみようかなーと思索にふけるのもまた楽しい。
 ここで、久しぶりにおすすめの料理本を紹介します。

“ゆるベジ流 万能やさい炒めで53品!あな吉さんの「つかいまわし」レシピ”

浅倉ユキ著 主婦の友社 本体1500円

浅倉さんの発想の豊かさには本当に感心します。“肉・魚・卵・砂糖・だしを使わない”というと、かなり限られた料理しか作れないと普通は思いますよね。でも、彼女にかかれば和・洋・中からエスニックまで何でもおいしく、しかも簡単に作れてしまう。うちは子供がアレルギーで卵と乳製品が食べられないので、チーズや卵のコピー料理は子供たちに大好評です。さて、この本は家にある野菜なんでもを「やさい炒め」にし、これを「おかずのもと」としてあらゆる料理に展開してゆくという画期的なものです。わが家のように「野菜がどっさり余っている」「料理がワンパターンで困っている」という人にはぴったり。ここではうまく説明できないので、興味を持たれた方はぜひ本屋さんで手にとってみてください。
 私にとって、旬の野菜を楽しく料理して、おいしくいただいて、家族が元気になれたら、それだけで他に何もいらないと思えるくらい幸せです。(ひ)

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