ねぎの話

ねぎは中国が原産地だそうですが、中国といっても広いです。もともとはどんなところに生えていたものなのか、一度見てみたいと思うのです。ねぎは寒さに強く、暑いのはきらいですが、そのわりによく耐えて、乾燥にも強い作物です。今は畑から収
穫していますが、12月のはじめ頃、畑が凍りつく前には全部抜き取って、一隅にまとめて、また土に伏せておきます。上にわら束などをのせて、多少の保温をほどこしてあげます。ここから皆さんにお届けしたり、また冬中わが家で食べるのです。しかし、これを例えば玄関先になどにひと冬ころがしておいたとしても、マイナス20度近い寒さに耐えて春にはまた青々とした芽を伸ばしてくる、そういう生命力の持ち主です。この信州の高冷地で冬の食べ物として昔から大事にされてきたわけです。今でも家庭菜園の基本は、ねぎとジャガイモという感じ。これだけはみんなきっちりと作っています。その一方、ねぎは大きくなるのは遅いのです。9月のはじめ、まだねぎの出荷が始まったばかりなのに、もう来年用の種まきをしなくてはなりません。今、5センチくらいにのびて、ちょうどつまようじのような姿をしています。これから約一年かけて大きくなるのです。そして草には弱く、種まきしてから収穫まで何回となく草取りをしないと草に負けてしまいます。うっかり草だらけにしておくと、ちっとも大きくならないし、とけてなくなってしまうこともあります。このあたりで作っているのはいわゆる根深ネギなので、後半は土寄せといって根元に土を盛り上げてゆきます。
さて、今年のねぎは思いのほか太くなりました。春植えたとき、株元にわらをしいたのがよかったのでしょうか。「よしよし…」と喜んでいました。8月の終わり頃、追肥をしたくなりました。もともとねぎは肥料にあたりやすい作物なので、少しずつ、少しずつ追肥をしながら育てるものなのですが、いつもの年に比べてもう十分大きくなったしどうしようかと迷いました。アブラムシがこわいのです。でももう少しだけあげれば、もう少し大きくなるかも…。結局、追肥をしました。少し肥料をあげたわけです。すると、アブラムシがつきました。「しまった…」。アブラムシはだいたいにおいて、肥料が多すぎるときに発生します。そして、またねぎはアブラムシにとっても弱いのです。今、広がらないようせっせと手でとったりしていますが、これがなかなかたいへんです。無農薬の場合、病気や虫が出ないようそだててゆくのが基本で、もしでてしまうと対応が難しいのです。欲張りじいさんが結局損をするという、何だかどこかで聞いたことのあるお話になってしまいました。
作物は肥料が多すぎても、少なすぎてもうまく育ちません。そして土自体が肥えていて、肥料にたまる分がより少ないほうが、作物は安定して健康に育ってくれます。本当に土が基本です。フカフカのよい土って、手でさわってもとっても気持ちがよいんですよ。