ほそかわ農園の食卓

みんな元気になってね

時々「細川さんの野菜を食べて夏ばてしなくなった」とか「体調が良くなった」など話してくださることがある。そう言っていただけると、私たちも「ああ、こうやって有機で野菜作りを続けてきて本当によかったな」としみじみうれしい。
だからといってうちの家族がみなバリバリに健康かというと、残念ながらそうでもない。とくに4年生の息子は重度のアレルギーがあり、子供なのに冷え性で、体も小柄な虚弱体質だ。こんなに食べるものに気をつけ、有害な化学物質などできるだけ避け、いろんな手当て法も実行しているのにどうしてだろう・・・。たぶん私もアレルギーがあり、冷え性で、疲れやすい体質なので、そのまま息子に遺伝したせいかもしれない。
以前は庭で鶏を飼って、毎日卵を食べていた。それがいけなかったのか、息子は生まれてすぐ、卵と牛乳のアレルギーがあることが判明した。その日から動物性たんぱく質は極力控え、野菜と穀物中心の食生活に変えざるをえなくなる。卵・乳製品を使わないとなると、食事やおやつで市販のものがほとんど使えず、調理にも制限が出てくる。最初は面倒だと感じていたが、いろいろ工夫して作っているうちだんだん楽しくなってきた。卵なしのマヨネーズやプリン、牛乳なしのアイスクリームやシチューなどを作って「おいしい」と言ってもらえると、ますます張り合いが出てくる。そうして約10年、息子は体質改善したとまではいかないが、少しずつ元気になってきている。私自身も、よく体がだるかったり、胃腸の調子が悪いことが多かったのが、知らないうちに良くなってきた。
今のところ、うちの家族みんな大病もせず、穏やかに暮らせているのは、きっと息子のおかげだと思う。彼が調子よくなる食べ物や、生活の仕方が、家族の健康にもつながっているから。そして子供たちには、自分でちゃんと料理ができて、健康管理もできる技を身に付け、大人になってもらいたいと願っている。(ひ)

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みんなで稲刈り

cimg4025.jpg今年の稲刈りは、野菜セットを買ってくださっている会員のご家族、大阪に住む私の両親と弟の子供たち、隣村に住む知人など、たくさんの方たちに手伝っていただいた。今年は田んぼを5枚も 作ったのに思ったより早く済んで、本当に人手のありがたさを感じた。
なぜか、バインダー(稲刈り機)で次々刈られた稲束が田んぼ一面に横たわっているのを見ると、みんな「全部掛けてしまうまではやめられない」みたいな感じで、一生懸命になってしまうのが不思議だ。稲束を集めて運んではぜ棒に掛ける、という作業を黙々とやってくださる。そうやって半日もがんばって働くと、かなり体にこたえるにもかかわらず、皆さんとっても楽しそう。子供たちも一輪車で稲を運んだり、バインダーで刈るのを体験してみたりと、楽しみながら結構手伝ってくれた。稲刈りというのは大人も子供も楽しめる一大イベントなのだ。たくさんの人たちと収穫の喜びを分かち合えるのもすばらしいですよね。
大型のコンバインで一気に刈って、灯油を使って乾燥機で乾かすのなら、一人でもすぐにできてしまうが、刈った稲をはぜ棒にかけて天日で乾燥させ、脱穀するとなると、何倍もの時間と労力がかかってしまう。それだけの労力に見合うかどうか・・・機械乾燥より天日乾燥のお米のほうがおいしいと言われているので、よかったら食べ比べてみてください。(ひ)

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栗三昧の日々

cimg4022.jpg 前回と同じような話になりますが、うちの庭には大きな栗の木が一本あり、毎年たくさんの実をつけてくれる。先日子供たちが、つやつやした栗をかごいっぱい拾ってきてくれた。
 さて、このたくさんの栗、どうしよう。もちろん、消毒も何もしていないので、虫食いが多く売り物にはならない。とりあえず夫と皮むきし、一時間ほどでボールいっぱいになる。それで、栗ご飯と甘露煮の瓶詰めなどを作った。それでもまだまだ大量に残ったので、今度は柔らかめに茹でて、スプーンで中身をくりぬいて冷凍保存することにした。子供たちのいいおやつになりそうだ。
皮むきしながら「お茶作るのが面倒だから、みんな自販機で飲み物を買うような時代に、よくこんなことばかりしてるよね。」なんて愚痴ると、夫は「いや、ちょっと面倒なことはつらいけど、うんと面倒くさいことは楽しいんだよ」と言う。確かに言われてみれば、自分にとっては栗の皮むきより、掃除や後片付けの方が面倒に感じる。手間ひまかけた後の達成感が、楽しいのかもしれない。
お百姓になり、自分たちで食べ物を得ることができるようになると、自然の恵みの素晴らしさを身にしみて感じるようになった。黄金色に輝く稲や、雨上がりのきのこの美しさに感動する。秋になって順番に収穫の時期を迎える穀物、果実、豆などに自然と感謝の気持ちがわいてくる。だから、やっぱりすててはおけないのだ。
 先日家族で林の道を散歩していると、クルミがたくさん落ちていた。真っ黒いヤニのような実に包まれたクルミを、夫と子供たちはせっせと拾って袋に入れている。「えっ、また仕事が増えるよー」と言いつつ、クルミ和えもおいしいよなーとにんまりするのだった。単に欲が深いだけ?保存食ばかりため込むのが忙しく、お金はいっこうに貯まらない細川家です。(ひ)

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WOOF(ウーフ)初めてみました

cimg3905.jpgほそかわ農園では、1年で一番忙しいのは8月です。夏野菜が一気に実をつけ、収穫・出荷に追われるからだ。そのため、いつも秋野菜の準備や、ねぎ・雑穀などの草取りが間に合わなくて困っていた。夏の間だけお手伝いの人に来てもらいたくても、収入が少ないためお給料を支払うのは難しい。
そこでWWOF(ウーフ)という制度を利用することにした。ウーフとは、主に有機農業をしている農家などがホストとなり、食事と宿泊場所を提供し、働き手(ウーファーと呼びます)は労働力を提供するという仕組みで、世界各地にあるそうです。
8月に入ってから登録し、インターネットで募集すると、すぐに問い合わせの連絡が入ってびっくり。最初に来られたウーファーはAさんという50代の男性。彼は会社を早期退職され、全国を旅する「寅さん」みたいな自由人といった方で、あまり気をつかうこともなく、自然とうちの家族となじんでくださった。子供たちもすぐに彼が大好きになり、お散歩するのもついていくし、寝る間際までつきまとう始末。あまり遊びに連れて行けなかったのに、彼のおかげでとっても楽しい夏休みになった。私たちも旅の話などをいろいろと聞かせてもらって、2週間の滞在期間があっという間に過ぎました。
次は、香港からGさんという20代の男性が来られた。スポーツマンで礼儀正しい好青年だ。日本のアニメが好きで、また香港は畑などない大都会なので、日本の田舎に来てみたかったそうだ。彼はほとんど日本語が話せないので、英語と漢字の筆談でコミュニケーションをとる。海外へ行ったことのない自分にとって、英語で会話するというのは生まれて初めての経験。単語を並べただけのめちゃくちゃ英語でも、結構通じるのが面白く、いろいろ質問してみる。中国の食べ物のことや香港のことなど、何となーく知ることができた。夫は晩酌の友ができ、上機嫌で私よりいくらかましな英会話をしている。夫がいくらお酒を勧めても、彼はまったく酔う気配がないのにも驚いた。聞くと香港の人は60度のお酒を飲んでいるんですって!
最初は、食事と宿泊のみで手伝ってもらえるのはありがたいが、まったく知らない人と一緒に暮らすなんて、大丈夫になんだろうか・・・とかなり不安があった。しかし実際始めてみると、自分たちとは違うタイプの人との交流がとても新鮮で、仕事以上に得るものが大きく、子供たちにもよい影響をもたらしているようです。(ひ)

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今年も芋ほり大会

cimg3846.jpg今、畑や自宅の周辺でブタクサの花粉が猛威を振るっている。輸入された家畜の飼料に混じってきた外来種で、高さ4mほどにも成長する巨大な雑草があっちにもこっちにも、年々増えている。家族中ひどい花粉症に悩まされて、ほとほと困っています。
さて、先日行ったジャガイモ掘り大会の話。昨年は炎天下の中、延々とイモ掘りしてもらっただけだったので、きっとがっかりされたのでは・・・今年はやめようかと思っていた。しかし、去年参加された方から「今年もぜひ参加したい」と連絡をいただき、それではと急きょ行うことになった。
今年は4家族(うち大人7人子供5人)の計12名の方々が参加してくださった。去年の反省を踏まえ、今年はジャガイモ掘り、ブルーベリー摘み、トウモロコシの収穫、畑と田んぼの見学と、少しずつだが盛りだくさんな内容に。作業の後は、採りたてのトウモロコシやジャガイモを焼いて、お昼ご飯を食べながら皆さんとゆっくりお話をした。子供たちもチョウやらカブトムシを捕まえたり、トウモロコシからにゅるっと顔を出したイモムシ君に大騒ぎしたり、家の前の用水路で水遊びしたりと、それなりに楽しんでもらえたのではと思う。
私自身、野菜をお届けしている会員の方たちはみんな家族で、家庭菜園の延長のような形で野菜とお米を自給している、という風なイメージを描いている。私たちは皆様のおかげで有機農業を続けることができるし、皆さんはうちの野菜を食べて元気になっていただきたい。なので、これからも皆さんにもっと田んぼや畑の様子を知っていただきたいし、自分の畑の様子を見に行くみたいな感じで気楽に来ていただきたいです。今回参加してくださった方、ありがとうございました。参加できなかった方も、またの機会にぜひどうぞ。(ひ)

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給食とお弁当

cimg3798.jpg以前「たより」にも紹介したように、アレルギーのある息子に毎日お弁当を作って持たせていた。うちのお米と野菜たっぷりで、しかもお肉とかも入った、わが家にしてはけっこう豪華版。息子も毎日「おいしかった」と言って空の弁当箱を持って帰るので、ずっと続けようと思っていた。ところが、3年の終わりころ「ぼくも給食が食べたいな」とポツリ。幸い肌の調子も良くなってきたし、娘の入学にあわせて、息子も4年生から給食を再開することになった。卵と乳製品完全除去なので、栄養士や調理の先生方にも負担をおかけすることになるが、本人の意見を尊重することにした。
実際給食が始まってみると、家では毎日給食献立ながめながら給食の話ばかりして、学校でも何だか生き生きしてきたような気がする。あんなに給食を楽しみに学校へ行っている息子を見ると、親の考えを押しつけてはいけないんだなぁーと考えさせられました。私自身は学校給食の内容に疑問を感じることは多々あるし、「みんなと一緒じゃないとかわいそう」という考え方もおかしいと思っている。日本はお米が余って困ってるんだから、ポストハーベストたっぷりのパンなどやめて、せめて学校給食は毎日ご飯にしてほしいと思う母です。(ひ)

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豆の魅力

cimg2075.jpg○「まめに仕事をする」など、手間を惜しまないことに「まめ」という言葉が使われるが、語源は「豆」からきているのだろうか。最近、豆の収穫作業が続いていて、さやを一つ一つ手でむしり取る作業がとても時間がかかるので、ふとそんな疑問がわいてきた。今年も小豆、大豆、花豆、インゲン豆など、いろんな豆を作った。こうして収穫した豆は、まずハウスの中に広げ、からからになるまで乾燥させる。そして棒でたたいてさやから豆を取り出し、ごみを除いて、さらに悪い豆を手選別してようやくお届けできる状態となる。まさに「まめ」でないとできない、根気のいる仕事だ。
○こんなに面倒なのに、やっぱり毎年いろいろ作ってしまうのは、豆って保存性が高く、栄養があって、おいしくて、見た目もかわいいからです。ゆでたての大豆をつまみ食いすると、栗のように甘くてホクホクしたおいしさが、口いっぱいに広がる。収穫した豆を小さなびんに入れて並べて飾ると、その美しさにうっとりしてしまう。また、地域によって代々受け継がれた豆があって、様々な色、形、模様をしている。「パンダ豆」、「まんずなる」、「ぺちゃ豆」などという名前もユニーク。そういったのを道の駅などで見つけるのも楽しい。小さいけれど豆には魅力がいっぱい詰まっている。今年も12月にいくつかお豆をお届けする予定です。面倒と思わず、ぜひまめにお料理してください。(ひ)

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古くて新しい七輪

cimg3409.jpg○洋服やお化粧品などはあまり興味がないのだが、調理器具や料理本はあれこれ欲しくなってしまう。毎回大量に出るはねだしの野菜(虫食いや傷などのあるもの)を、できるだけおいしく料理し、できるだけ無駄にしないよう加工保存したい…いつもそんなことばかり考えているからです。今までお漬物をカビさせて大量に処分する、という情けない思いを何度もしたが、めげずにいろいろと保存食作りに挑戦している。
○保存食ではないが、最近買った大ヒットの調理器具は七輪。2千円ほどで売っている丸くて白い昔ながらのものだが、これがなかなかの優れもの。最初にガスコンロで炭をおこして中に入れればすぐ使え、後片付けも炭を火消しつぼに入れるだけで、洗わなくてもよいので簡単です。また、七輪は珪藻土という土で厚くおおわれているため蓄熱性が高く、少しの炭で長時間もつのでとても経済的。それゆえ熱が外に漏れにくく、底や側面は手で触れるほどなので、いつも食卓の上に置いて使っているが、机が焦げたりすることはない。
○七輪と言えばサンマ。パタパタとうちわであおぎながら焼くのは風情がある。また、バーベキューグリルとしてお肉や野菜、おにぎりなど焼きながら食べるのもいい。今の時期、ネギの白いところや厚めに切ったカブをちょっと焦げ目がつくまで網で焼いて、お醤油をつけて食べるのがとてもおいしい。子供たちはスルメが網の上で踊っているのを見て食べるのがお気に入り。さらにはちょっと取りづらいけど、土鍋を乗せて鍋物のときにも使っている。
○欠点は焼けるのに時間がかかること。お腹を減らした子供たちは「まだ焼けないのー」と待ちきれない様子で、夫は「お酒が進んじゃって困る」と言ってます。でも、ゆっくりおしゃべりしながら、味わっていただくのは何とも贅沢な気分だ。七輪と炭、昔の人の英知に脱帽です。とってもエコロジーでスローフードを楽しめる、そして災害時の強い見方でもある七輪。一家に一台いかがでしょうか。(ひ)

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稲刈り大会

cimg3393.jpg○8月の芋掘りに続いて、10月13日に稲刈り大会をした。今回は事前に日にちを決められなかったので、ちょっと参加しづらかったかもしれません。反省しています。秋晴れで絶好の稲刈り日和の中、幼児3名を含む、2家族7名の方が参加してくださった。
○ほそかわ農園の田んぼは4面あり、今回はもち米が半分植わっている5畝ほどの一番小さな田んぼの稲刈りをしていただいた。せっかくなので、少し手刈りもしてみることに。鎌で刈る人と、刈った稲をわらで縛る人とに分かれての作業。参加してくださったHさんはご実家が農家で、子供のころから稲刈りを手伝っていたそうで、手慣れた手つきでしゃかしゃか刈って、くるくるとわらで束ねてゆかれる。恥ずかしながら、こちらの方がコツを伝授していただいた。機械で刈ると、ただ仕事を淡々とこなしてゆく感じだが、ざくざくと手で刈っていると、収穫する感謝の気持ちが湧きあがってくるから不思議だ。それに大勢ですると作業も楽しい。子供たちは最初鎌でしばらく刈っていたが、あとはカエルやバッタを捕まえたり、土手を転がりおりたりして遊んでいた。
○刈り終わったら、今度は稲束を集めてはぜ棒にかけてゆく。一面の黄色い稲穂が、はぜ棒にずっしりと美しく掛けられていくのは気持ちがいい。これから半月ほどお日さまに乾かして、脱穀、もみすり、精米してようやく新米がいただけるというわけ。稲刈りが終わると、今年の仕事も8割がた終わった気分で、ほっとする。参加くださったみなさま、お疲れ様でした。(ひ)

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雑穀の収穫

cimg3367.JPG○「収穫の秋」の言葉どおり9月10月は穀物、豆類の収穫が目白押しだ。毎年春先は欲張ってつい、あれもこれもといろいろ植えてしまうが、秋になって手が回らずに後悔する。今年作った穀物はまず、小麦と大麦で、これは夏に収穫済み。秋の収穫はお米、アマランサス、モチアワと、乾燥豆の大豆、小豆、白花豆、インゲン豆。機械の作業ができるお米や麦類は広い面積で作ることも可能だが、手作業のみの雑穀、豆類は作業効率が非常に悪く、自家用分+α作るのがやっとのことだ。
○例えば、アマランサスができるまではこんな感じ。春、ハウスの中で種まきし、4〜5センチ芽が伸びたところで、畑に定植する。夏に草取りをして、真っ赤な穂が実る9月に鎌で刈り取る。今年は子供たちと軽トラック1台分刈り取った。これを束ねて紐で縛り、吊るしてしばらく乾燥させる。乾燥したら足踏みの脱穀機で脱穀するのだが、実だけがきれいに取れるわけではなく、穂ごと取れたり、葉っぱやら茎やらごみもいっぱい混じっている。これをまず目の粗いふるいで葉っぱや茎をとり、細かいふるいで穂から実を分離させ、「とうみ」という手回しの機械で風選して軽いごみをとり、最後にざるで細かいごみを取り除く。そうしてやっと、けし粒のようなぴかぴかのアマランサスが姿をあらわす。トラック1台分刈り取って、収量は6.8キロだった。
○それはまるで泥の中から砂金を探し出すような作業。時給に換算すると、100円以下なのかもしれないが、その作業ひとつひとつが実に楽しい。子供たちにとっても、作物ができるまでの過程をじかに学ぶことができるのは貴重だ。私はサラリーマン家庭で育ったので、恥ずかしながらお百姓になるまで、トマトやきゅうりが夏の野菜だということすら知らなかった。一年中冷蔵庫の中に入っていたから。また、子供のころ祖母から戦時中の食糧難で苦労した話をさんざん聞かされたが、食べ物のありがたさについて考えたこともなかった。 どうやら子供たちが畑から自然に学んでいるのと同じことを、自分も今頃になって一緒に学んでいるようだ。(ひ)

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