2007年

秋の種まき

アマランサス○ 秋の種まきは、けっして遅れてはならない… 
いつ頃、何の種を播けばよいのか、これは、畑仕事をするのに一番重要なことなのですが、こういうことはお年寄りが詳しい。
たとえば、野沢菜は、9月5日ころ播けと、私の母が言う。9月2日に播こうとすると、まだちょっと早いな、と言う。ころ、と言うわりには、なかなか厳密なことを言う。
そしてこれが9月の7日、8日にまだ播いてないとなると、大騒ぎになる。ただちに播かなくてはならない。
野沢菜は、何回か霜にあて、11月下旬に収穫し、野沢菜漬けにする。用途がはっきり決まっているので、よけい播き時も厳密なのかもしれない。早く播くと、こわい(かたい)し、遅れると、大きくならないというのだ。
大きくならないと言うのは、ほんとです。これから先は、日に日に気温が下がってゆく。1日種まきが違うと、1ヶ月後には、数日とか1週間の差になる。私も、かつて、葉っぱだけで玉の部分がないキャベツや白菜、ベビーリーフのような小さなレタスなど、数々の失敗作を作ってしまいました。
 さて、これから皆さんにお届けする野菜は、もうしばらくは、夏野菜が続くのですが、秋冬物のキャベツ、白菜はすでに畑に定植し、大根は、なかなか雨が降らず、やや遅れたものの、何とか播きおわり、これからは、(お盆過ぎから)9月下旬まで、数日おきにカブやホウレンソウや、小松菜、チンゲンサイ、水菜などの葉物類をまいてゆくところです。
※写真:アマランサスの穂

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違いのわかる味覚

cimg2551.jpg○ヒトの味覚って、子供のころにほぼ決まってしまうのでしょうか。それとも、大人になっても日々のトレーニングで敏感になるのでしょうか。夫は収穫する時は必ず、畑で野菜を生でかじって味を確める。あまりおいしくない場合は、出荷を見合わせることもある。だけど私が同じようにかじってみても、味の微妙な違いがいまいちわからないことが多い。
○前回ご紹介した、わが家で野菜作りを勉強されている櫻子さんが今月も4日間お見えになった。今回はうちで泊まられたので、3食助手をしながらお料理を教えていただいた。全く同じ食材を使っているのに、いつもよりおいしい。子供たちも、ほとんどお肉なしの野菜料理なのに、「櫻子さんのお料理はみんなおいしい!」と言ってぱくぱく食べる。たしかに、どれも体の中からじんわり伝わるやさしい味。きっと年期のはいった手から出てくるパワーと愛情が、お料理に伝わるのでしょうね。前の日の残り物だって、ひと手間かけて新たな一品にされるところも心憎い。
○お料理の最後に味見して、「んーここに味噌を加えて味にコクを出しましょう」とか、「醤油をちょっと焦がして香りを出しましょう」とか、「ちょっと酢を入れるといいんじゃない」などと言って味をぴたっと決める。料理は大好きだけど、悲しいかな味音痴の私はその微妙な味加減がよくわからない。「毎日やってると、だんだんわかってくるわよ」とは言われましたが…。野菜はその時々によって味がみんな違うし、調味料もメーカーによって違う。料理本のとおりに作っても「ん?」って思うことがあるのは、そのせいなのかもしれない。それぞれの素材の良さを最大限に生かす、本だけではわからないことをいろいろと学ばせていただき、とても勉強になった4日間でした。

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田畑の仲間たち

cimg2472.jpg○昔から言い伝えられている生物暦がある。カッコウが鳴いたら豆(大豆)を播けとか、ノダフジが咲いたらもう絶対遅霜はこないとか、うちのばあちゃんも、そんなような事を言っていました。百姓の仕事は、一言で言えば、その季節にあった種を次々と播くこと。だから、梅が咲くから始まり初雪に至る自然のリズムと、生活のリズムがぴったりと重なってくる。
○例えば土手に咲くなにげない野の花。カンゾウ、アヤメ、アザミ、アマドコロ、ツユクサ、トラノオ、ナツズイセン。毎年同じ所に出てきてくれるので、ああ今年も咲いてくれたなとうれしくなる。ていねいに土手の草を刈りながら、花だけをのこしてゆくと、なんだか気分がよい。これが仕事におわれて慌てていると、ついばっさり切ってしまうこともある。今年は、アヤメがずい分増えて、畑にゆくたびに楽しませてくれた。ヒルガオやカラスノエンドウ、クズの花なんかもけっこうきれい、私は好きです。でもこいつらは草刈の時には、ばっさり刈ってしまいます。
○借りている田んぼの土手の3か所に、毎年スイセンが咲く。これは、以前この田んぼを作っていたおばあさんが植えたものなのだが、田んぼを4等分する位置に植えてある。春先、ちょうど肥料をまく時分に黄色い花を咲かせ、むらなく撒くための目印になってくれるのだそうだ。花もきれいだし、なかなか優雅な知恵ですね。
○田んぼや畑には、あまり歓迎したくないお客もやって来る。タヌキやイノシシ、とくに近頃シカが増えた。昼間から堂々と目の前に現れる。夜は畑中歩き回っておいしそうなものを探す。困ったものです。とはいえ、私にとって、田んぼや畑で仕事をする楽しみの何割かは、花や虫や野鳥や動物たち、作物以外のいろんな生き物と出会うことなのだ。

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庭でのランチタイム

なん○最近、休日のお昼は自宅の庭でランチタイムを楽しんでいる。休みごとに子供たちを遊びに連れて行くのは大変だし、息子は卵・乳製品のアレルギーがあり、外食したくても食べられるお店がほとんどないので思いついた。作るものは、バーベキュー、カレーとナン、焼きそば、ほうとうなど、1時間もかからずにできる簡単なものばかり。今まであまりご飯作りなど手伝わなかった子供たちだが、野外料理となるとがぜん張り切っている。火起こし、野菜を切るのや混ぜるのなど、「ぼくが先だよー」「あっちゃんもー」とけんかしながら手伝ってくれる。煮込んだほうとうに味噌を入れ、味見しながら「まだちょっと味が薄いなー」なんて言っている。またフライパンの上で、パンがぷっくりふくらんでゆく様子を見るのは、大人でもわくわくする。そして軒下に置いたテーブルを囲んで、草ぼうぼうの庭を眺めつつ、自分たちで作ったものをいただく。台所から少し移動するだけで何だかいつもより楽しく、おいしくなるから不思議だ。
○今、はやりの食育というのでしょうか。なるべく子供たちと畑に出て野菜の旬や育つ姿をじかに感じとってほしい。また、うちで採れた野菜がどのようにして食卓にのぼるのかも知ってほしいと願っている。人間食べることが基本ですものね。最近は畑仕事やお料理もよく手伝ってくれるようになった。うちの小2の息子は勉強や体育は苦手、お友達作るのも苦手で、親としては心配でついつい小言を言ってしまう。だけど、細かいことはうるさく言わず、そうやって生きてゆくための生活力をつけてくれればよいのかなー、のびのびと育てなければなぁーと自戒している。

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雨ニモアワテズ

cimg1750.jpg○雨って降るときは思いきり降るし、降らない時はさっぱりだ。最近異常気象というべきか、極端な気候が世界的に日常となっているようですが、しかしお天気なんて大昔からそもそも気まぐれ、人間の都合になんか気にかけてくれるはずもない。
 自然のお恵みがあってこその私たちの暮らしとは思うのだが、百姓仕事は、ほんとに天気次第。雨で収穫が半減とか、日照りで芽が出なくて種の播きなおしなんて当たり前。農業を始めたばかりの頃はそのたびに、お天気に文句を言っていた気がする。
その点先輩のお百姓さん、特にお年よりは、どんなお天気だろうとあわてず、さわがず、悠然としたものだ。こういう境地に至るには、頭で考えてもムリ。日々自然と付き合ってきた長年の経験あってこそなんでしょうね。
  何年か前、台風だったか、やはり大雨が降ったとき、田んぼの水をためるため池の土手が崩れそうになったことがある。水路が増水し、水路からため池に入る水量の限界を上回り、上流の土手からあふれだしたのだ。あふれた水は土手を洗い流しながら池に流れこんでいる。見回っていた水利係の人が見つけ、そのため池の水を使う田んぼの持ち主みんなが急きょ集められた。夕方で、もう暗くなりかけていた。雨はまだ降り続いていて、みんなカッパ姿だ。これから土手に土のうを積むというのだ。
 発電機がまわされ、投光機がつけられる。土のうをかつぎ、数十メートルさきの土手まで運ぶ。ため池と増水した水路の間の足場の悪い狭い場所だ。女性もいる。70を過ぎたおばあさんもいる。おばあさんと言ったって筋金いりの百姓だ。しかしおばあさんは、重くて土のうを肩にかつげない。すると当然のように背中を向け、土のうをのせてもらい、そのまま背負ってもくもくと運ぶのだった。やがて何とか水を食い止め、作業終了。
 おそらくずっと昔から、こうして田畑は守られてきたのでしょう。忘れられない光景です。

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いつも心に太陽を

cimg2291.jpg今年は月に2〜3日、櫻子さんという女性がお手伝いに来て、野菜作りの勉強をされている。年齢は私の親の世代だと思うのだが、とにかく気持ちが若々しい。手も口もよく動き、農作業をしながら疑問に思ったことを次々質問される。常にいろんなことに興味を持って生き生きとされているので、一緒にいるとこちらまで楽しい気分になる。
 また彼女はマクロビオティック料理(玄米菜食)も本格的に学ばれたそうで、お料理上手。家にある野菜をざっと見て、瞬時にメニューを考え、手早くお料理されてゆく。私は助手をしながら、必死にノートに作り方を走り書きしてました。料理の合間には「冷え性の人はショウガや葛をたくさん使うと身体があったまるよ」とか「身体を冷やす夏野菜なんかは火を十分に通したり、味噌で和えたりするといいのよ」、など健康のアドバイスもいただく。それでいて、お魚や甘いものなどもおいしそうに食べられたりと厳格でないところもいい。
 私も彼女を見習わなければとつくづく思う。たよりには調子のいいことばかり書いていますが、子供のことや人づきあいなど様々なことでいらいらしたり、落ち込んだりの毎日。子供たちに当り散らしたりした日にゃー最悪の事態。「私は幸せ、感謝しています」と自分自身に暗示をかけて、いつも自分や家族をハッピーな状態にしたい。同じことでもいやいやするのと、楽しんでやるのとでは大違い、何でも前向きに取り組みたいと思う。

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レタス

cimg3266.jpg レタスは地中海あたりが原産のキク科のやさいです。リーフレタスなど、収穫せずそのまま畑においておくと、茎がどんどん伸びてきて高さ1m程のりっぱなクリスマスツリーのような形になり、やがて先端に、小さな花を咲かせる。よく見るとたしかに菊の花に似ている。初めて見たときは、これがレタスのホントの姿なのかと驚きました。
 レタスは、夏の野菜っていうイメージですが、ほんとうは、あんまり暑いのは苦手です。それから雨がきらい。暑くてじめじめした日が続くとすぐに傷んでしまう。
夏のものは、長野県では標高1300〜1400m位の高冷地で作られる。ほそかわ農園も標高1000m位だが、8月の暑さはレタスにとってけっこうきびしい。しかし、私もレタス大好き、夏も少しは食べたいというわけで、いろいろ試しながら挑戦中です。サンチュや、ロメインレタスのほうが暑さに強いと聞いて植えてみたのですが、どうでしょうか。おいしいのができるといいのですが。

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ズッキーニ

cimg3264.jpg 最近だいぶ皆さんの顔なじみになったのではないでしょうか。私も初めて食べたときは、何だかキュウリとカボチャの中間みたいだなと思いました。キュウリを煮て食べているような、なんだかたよりなーい感じがしたものでしたが、慣れてくるとおいしいですね。炒め物、天ぷら、フライなど油と相性がいいようです。ベーコンやチーズなんかとも良くあいます。ぬか漬けもけっこういけます。最近は、近所のおじいさんやおばあさんの自家用畑でも定番みたいです。 
 ズッキーニはカボチャの仲間ですが、カボチャのようなツルはありません。葉っぱもやつでのような形で、その大きな葉の付け根に花をつけ、花が咲いた4〜5日後にはもう収穫です。丈夫で手がかからず、育てるほうとしては、ありがたい野菜です。実のなる野菜の中で一番早くできるのも魅力です。ただ収穫は、毎日しなくてはなりません。うっかりしていると、ほんとにびっくりするくらい早く大きくなってしまうのです。 

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毎日が楽しい修行!

cimg2342.jpg○私の農作業タイムは娘を保育園で預かってもらっている間の正味4時間くらいで、夢中で仕事をしているとあっという間にお迎えの時間になってしまう。出荷が始まるまでは、ひたすら種まきと苗植えの毎日だったが、これからは収穫・出荷作業や草取りの時間が増えてくる。畑の師匠はまったくムダのない動きで、何でも手際よく作業をこなしてゆき、我が夫ながら見ていて感心する。一方の私はといえば、苗をまっすぐ等間隔に植えることや、収穫したタマネギを束ねてひもで縛ることすらたどたどしく、情けないやら悔しいやら。早く一人前のお百姓になりたい!農作業のひとつひとつを師匠に教わりながら修行の毎日。それでも畑で作業している時は幸せで、日々大きくなってゆく苗をみているだけで元気になれる。実は農作業よりこのたよりを書くことのほうが難行苦行だったりして…。
○私たちがいつも心がけているのは、作る人も、食べる人も健康でいられ、そして環境にもできるだけ負担をかけない野菜・お米作りです。野菜は種をまいてから収穫するまで数ヶ月、その野菜を料理するのに数時間、けれども食べるのはほんの数十分…。何だかむなしくて料理に時間をかけるのはもったいないと思うことがある。でも、心を込めて作った野菜を心を込めて料理すれば、食べた物は確実に身体と心の栄養として蓄積されてゆくと信じて今日も台所に立っています。

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ほそかわ農園のポリシー

cimg2407.jpg○みな様、大変ごぶさたいたしました。今年は、春先、寒い日がつづきましたが、ようやく、畑の野菜も大きくなってきました。これから12月まで、またうちの畑の野菜たちと、よろしくおつきあいください。
 ほそかわ農園の野菜作りの、一番大事な約束、それは農薬、化学肥料を使わないこと。
15年前、あまり深く考えもせず、やってみようと思った有機農業。以来どうにかやり続けるうちに、子供も生まれ、日々家族で暮らすうち、ほんとうに大事なことだと思うようになりました。子供たちが、それぞれアトピーやアレルギー、発達障害をもっているということもあります。それに、世の中、どこへゆくのか最近ますますめまぐるしく、とてもついていけない(年のせいか?)。もうしばらくすると、今の花粉症のように、化学物質過敏症が国民病になるなんて話もありますが、我が家はホント他人事ではありません。  
 それから、もう一つ大事なことは、ていねいに仕事をすること。野菜は、手間をかけた分おいしくなってくれる、ありきたりですが、そんな感じです。ゆっくり、ていねいにするほうが、なによりやっていて自分が気持ちがいい。これは何かと気ぜわしい毎日の戒めでもあるのですが…。
 

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