野菜の健康管理

6月29日台風が去って、畑の水分がちょうど良くなったのをみはからって人参のタネをまきました。これは、10~12月にお届けするものです。同じく、秋から冬にかけてお届けするキャベツ類も6月中にはタネをまきます。いろんな野菜をお届けできるようにシーズンを通じて、常に何かのタネをまいているのですが、これからしばらくはタネまきも一段落です。かわって畑の管理作業が増えてきます。
まずは、除草―草取りです。「草さえ生えてこなければ畑なんていくらでも作れるのに…」と、つい思ってしまいますが、もちろんそんな都合の良い話はありません。それに、畑によって生えてくる草は違うのですが、自然農法などの考え方では、その土地を肥やすのに最も適した草が、生えるのだといいます。うちにも1か所スギナがびっしりと生えてくる畑があります。スギナはやせ地に生え、地中深くから様々なミネラルなどを吸い出して、地表を豊かにし、そして土が肥えてくると自然に少なくなってゆき、他の草にかわってゆくのだそうです。このスギナ畑をどうやってよい畑にしてゆくのかは、しばらく実験が続きそうです。ともあれ、この時期草の育つ早さは、毎年のこととは言え、驚くばかりです。放っておけば間違いなく、草が野菜に勝ってしまうので、少し手を貸してあげなくてはならないのです。
他には、追肥といいますが、野菜のすがたをよく見て、栄養状態が良くないようなら、肥料をあげます。この見きわめが、何度やってもむずかしいものです。肥料が多すぎて、太りすぎてしまうと、病気にかかりやすくなります。害虫にも好まれます。
わが家には「作物病害虫辞典」というぶ厚い本がありますが、野菜にも実にいろんな病気があります。反対に、肥料が少なすぎたり、あるいは土がやせていると、収穫が少ないですし、また、栄養失調状態になるとかかる病気もあります。
野菜が芽を出し、生長し、自立し、実をつけ、やがて老いてゆく…その一生を1シーズンのうちに見とどけるわけですが、管理がうまくゆけば、そして土がよければ寿命も長く、病気も少なく、美しく老いてゆきます。老境に達した時に違いがいちばんはっきりと出てしまうのです。人間もいっしょでしょうか。