大豆と枝豆

めっきりすずしくなってしまった。こうなるとキュウリやトマトの夏野菜は、ガクッと取れなくなってしまう。これからは冬に向けて日に日に気温が下がってゆくばかりと思うと、何か寂しい感じがしてしまう。とはいえ、これからイモや豆、そしてお米が収穫をむかえる。みのりの秋だ。
今日は大豆について…。大豆は1反(10a)くらい作っています。大豆はこのあたりでは5月下旬に種をまく。種は去年収穫した大豆の中から悪い豆をよけて使う。豆類は「自家受粉」といって他の種類のものと混ざりにくいので、種とりがしやすい。種まきすると、まずは鳥(ハトとキジ!)対策だ。大豆は豆自体が根っこに持ち上げられて、地面から出てきてぱかっと開き、最初の双葉になる。鳥はこの発芽したての大豆が大好きだ。畝(うね)にそって歩きながら、このもやしの頭の部分だけちぎって食べてしまう。大豆をまいてから、しばらくは毎朝畑に行き、ちょっとでも芽が出ていれば、足で少し土をかけて隠さなければならない。しばらくして、双葉が開ききってしまうと、もう鳥は見向きもしない。次にやってくるのがシカ。シカも大豆が大好き。茂った葉っぱを垣根を刈り込むように食べてくれる。大豆は葉っぱもおいしいんでしょうか。食べて見たくなります。それから除草。機械(管理機)で2回くらい土寄せしたあと、どうしても1回は手で取らなくてはならない。草が小さいうちにやりさえすれば、そんなに大変ではないのだが…。収穫は、すっかり枯れて、手に持ってふるとカラカラとさやの中で音がするようになればOKだ。鎌か草刈機で刈ってしばらく干し、そしてわが家では、いまだに棒でたたいて脱穀する!昔から使っている専用の棒があるのです。最後に手回しの唐みで選別すれば完了だ。
この大豆作りの労力を金銭に換算するととってもキビシイものがある。日本の大豆の自給率が低いのも当然といえば当然だ。このあたりでも少なくなってしまったが、たまに自給用とおぼしき小さな大豆畑を見かけると仲間意識というか、ちょっとうれしいのです。秋には皆さんに大豆をお届けしたいと思います。わが家でも普段大豆を煮て食べるということはあまりありませんが、たまに食べるとあらためて豆っておいしいなと思う。味噌やしょうゆがおいしいのも大豆がおいしいからなんだなーと思うのです。
大豆と枝豆って同じなんですか?と聞かれることがあります。まったく同じ植物なのですが、品種が違います。枝豆は大豆を若取りしたもので、枝豆もそのまま畑に置いておけば大豆になるのですが、枝豆用のものは早くできるように品種改良されたもので、大豆用はたくさん豆が取れるようにつくられたものです。大豆用のは大きく育ってたくさん実をつけるので、その分取れるのが遅くなります。ほそかわ農園でもこれから、大豆用の品種の枝豆、黒豆の枝豆が出てきます。涼しくなってしまってビールのおつまみという感じではなくなってしまったけれど、とってもおいしいですよ。甘みが落ちてしまいますので、届いたらできるだけ早くお召し上がりください。