ほそかわ農園の食卓

サラダ大好き

この秋はサラダ用の野菜をいろいろと作ってみました。昨年ルッコラ(ロケット)を作って食べたのが衝撃的で、サラダが大好きになってしまったのです。今菜っ葉の畑はグリーンと紫の美しいじゅうたんのようです。近くで見ても、細かい模様がとても素敵で、いつまでも見飽きない。まずはレタス、そしてゴマの風味のするルッコラ、レース状の切れ込みが美しい緑のカラシナと赤いカラシナ。赤いラディッシュもかわいくて、サラダの大切なアクセントになってくれます。 そんな野菜たちを見ているだけで、自然と心が和んで幸せな気分になれる。野菜は癒しの効果があるのかも。

今、わが家では毎日サラダが食卓に上ります。サラダは夏のイメージがありますが、葉物は暑さに弱く、やっぱり寒くなってからの方が断然おいしいです。生野菜は体を冷やすからいけないとか、ローフードなんて生のほうが酵素が壊されないから体にいいとか言いますけど、本当のところはどうなのでしょう。 私はただ美味しいから、ついたくさん食べてしまいます。

レストランのシェフは、ほんの少しずつ絵画のように美しく盛り付けしますよね。我が家は見た目より量、お皿の上が菜っ葉畑になったような、てんこ盛りのサラダです。大人はいろんな味のハーモニーを楽しめますが、子供たちはピリッとするルッコラやカラシナなどは苦手で、もっぱらレタスばかり食べています。(ひ)

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ほそかわ農園の家族

研修生、ウーファーさん、みんな大切なうちの家族です

研修生、ウーファーさん、みんな大切なうちの家族です

畑仕事をすること以外にも、農業をやっていて良かったなと思うことがあります。それはいろんな人との出会いがあり、どんどんつながりが広がってゆくことです。私たちは人づきあいが苦手なので、自分からなかなか人の輪に入れないのですが、不思議といろんな人が向こうから来てくださるのです。有機農業は人を呼ぶ“打ち出の小槌”みたいなかんじです。

毎日通ってきてくれる研修生のTさんは、最初いろいろ迷いがあったみたいですが、今では一つ一つ農作業を覚えてとても頑張っています。彼が将来新規就農できるよう、できる限り応援してゆきたいです。また、ウーフ(宿泊と食事を交換に労働力を提供してもらうシステム)で手伝いに来てくれる国内外のウーファーさんたちも、頼もしい助っ人です。今年は海外から台湾の女性とアメリカの男性が来てくれました。台湾のエミリさん(ニックネーム)は、おしゃれでとても気がきく、日本が大好きな25歳のお姉さん。アメリカのカイヨーさんは18歳で、小さい頃日本に住んでいたため、日本語ぺらぺら和食が大好き。スポーツマンで礼儀正しい好青年です。国内のウーファーさんも皆、いろんなことにチャレンジしている素敵な人ばかりで、私たちも子供たちも大いに刺激を受けました。

そして、私たちの一番の支えになっているのが、野菜をお届けしている皆さんです。直接配達にうかがう方や、作業の日などに来てくださる方はまさに「顔の見える関係」。お会いしたことのない方も、メールや通信欄で「子供が野菜好きになりました。」とか「たよりを楽しみにしています。」とか書いてくださると、それだけで苦労が報われたというか、流通に出荷しているだけでは決して味わえない幸せです。もちろん要望・改善点等も、ほそかわ農園を良くしてゆくためとても大切ですので、これからもいろんなご意見をお寄せください。(ひ)

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これからするべきことは何だろう?

今年は地震、台風と災害の多い年になりました。まだまだ不自由な生活をされている方がたくさんおられることを考えると、これから寒さに向かうのがとても心配です。 

原発の事故があってから、「放射能の影響の少ない野菜が食べたい」というお客様からの問い合わせが増えました。私たちはもちろん原発反対の立場にあるので、事故のせいで注文が増えるというのは、正直言って複雑な心境です。もちろん注文が増えても、収穫量が増えるわけではないのでお断りすることもあったのですが。福島の方からも何件も注文をいただいていて、それでうちが利益を得ることも、何だか申し訳ない気がしています。

ここ富士見町はたまたま運が良かっただけで、風向きが違っていたらもっと汚染されていたかもしれない。そうしたら、同じように丹精込めて作った野菜が見向きもされなくなる・・・、それって誰が責任を取ってくれるのでしょう。この事故は明らかに人災なので、東北や関東の農家の方や福島に住んでいる方たちを、単に「気の毒だ」ですましてはいけないと思うんです。こうなってしまったのは自分たちにも責任があるわけだし、もっと国や東電に怒りをぶつけるべきだと思う。ただ産地を選んでいたのでは、日本の農業・漁業はだめになってしまいます。

その一方で子供を持つ親の立場としては、放射能汚染の可能性がある物は食べさせたくない、という気持ちもあります。自分自身どうすればよいのかわからないくせに、偉そうなことを言ってすみません。被災地へ行って支援をすることはできないので、福島の子供たちに汚染の少ない野菜を食べてもらおうと、少しですが野菜を届けることをはじめました。そして日本中の原発が廃炉になるように、運動を続けてゆきたい。また、こうして家族が健康で過ごせること、農業を続けられること、自然のめぐみに感謝して、1日1日を丁寧に過ごそうと思っています。

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野菜の生命力

10cmくらい伸びた人参。一ヶ所にたくさん生えているので、このあと1本に間引く。

毎日野菜の育つようすをながめたり、収穫したり、料理に使ったりしていると、野菜の生命力ってすごいなーと感心することがよくあります。

例えば人参ひとつをとってみてもいろんな発見がある。大根なんかとは違い、種まきしてからゆっくりゆっくり育つため、お世話するのが大変で、だから余計に愛着がわくのです。芽をだしてひと月くらいは、針のようにひょろりんとした細い茎で、草取りしてあげないとすぐに雑草に負けてしまう。でもその後は、まっすぐに地面深く根っこを伸ばして、オレンジ色のみずみずしい人参となるべくたくましく大きくなってゆく。どうしてこんなに太くて甘い根っこができるんでしょう。もちろん品種改良されてきたのだが、花を咲かせて種をつけるため栄養をためこんでいるからです。たまに畑で早くに花が咲いてしまった人参を引っこ抜いてかじってみても、栄養が吸われてしまっているから、ちっともおいしくない。

また皮もすごくて、乾燥や病原菌などから守るためにがんばっている。皮をむいてしまうとあっという間にしなびてしまうので、わかりますよね。虫やねずみにかじられた所も自ら修復して表面が硬くなる。あと、へた(茎の付け根のところ)は「生長点」といって細胞分裂が盛んで、ここも大切な部分だ。

だからお料理する時、野菜の皮をむいてしまっては申し訳ない気がする。中身より栄養も美味しさも香りもぎゅっと詰まっている野菜の皮。あと、人参や大根のへたとか、キャベツの芯とか、タマネギの根っこの付け根のところとかもとても栄養があります。へたのところも、気になる黒い部分だけえぐり取って使ってみてください。野菜の命を丸ごといただくということは、生ごみも減らせるし、栄養もたっぷり取れる、いいことずくめです。たわしでごしごしと、表面をきれいにしてあげると、とってもかわいくなってきますよ。あるいは、皮を集めて煮出してスープにするのもいいかも。ただし、ジャガイモの芽と日に焼けて緑色になった皮は毒なので、取り除いてくださいね。(ひ)

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不便で素敵な暮らし

私は大阪の郊外で生まれ育ったので、信州に来るまでまったく農業の経験はなし。でも、母の実家が大阪南部の山の中の田舎で、子供のころよく遊びに行きました。

家は古い茅葺の民家で、母の子供のころは、土間で農耕牛を飼っていたそうだ。お風呂は、蓋を入る時に沈めて底にするいわゆる「五右衛門風呂」で、薪をくべるのが楽しくてずっと眺めていた。トイレは外に出て20mくらい離れたところにあり、夜に行くのがとても怖かった記憶がある。家の中も夜は古民家特有の、部屋の隅っこが暗いというか、座敷わらしが出てきそうな、何だか少しおどろおどろしい雰囲気だった。

夏はいとこ達と弟と一緒に近くの川に行って、沢がにを捕まえたり、澄んだ湧き水を手ですくって飲んだり。冬は伯父の所有するみかん山へ行って、みかん狩りをさせてもらったり。とても楽しかった。祖母が作った野菜もたくさん食べさせてもらった。河内弁のとても優しい祖母で、私がお百姓になった時も喜んでくれた。今は93歳で寝たきりになってしまったが、先日も会いに行ってきた。

その頃の体験したことと同じような暮らしを幸運にも現在しているわけだが、自分が突然農業をやりたい!と思ったのも、その楽しかった記憶があったからなのかもしれない。

そんな生活が日常になっているうちの子供たちは??たぶん、とりあえず都会にあこがれるんじゃないかな。特に6年生の息子は、新しい家と、ボタンひとつでお風呂が焚けちゃうような便利な暮らしがうらやましい、とよく言っています。(ひ)

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新しい品種に挑戦

うちのようにたくさんの種類の野菜を少しずつ作っていると、いろいろなメリットや楽しみがある。例えば今年は人参のできはいまいちだけど、ナスやトマトは豊作みたいだとか。その年の気候などによって、出来・不出来いろいろあっても、トータルで毎年安定して収穫できるのが強みです。

また、毎年試しにいろんな品種の野菜の種をまいてみるのは、わくわくする楽しみです。種選びのポイントとしては、①病気や虫に強く収穫量が多いこと、②味がおいしくて多くの人に好まれること、③輸送で傷みにくいこと、④できれば種取りできる品種。あとは、遊び心でしょうか。今年は黒いトマト、クッキングトマト、水ナス、グリーンピースをつくってみました。夫はこのクッキングトマトが生食でもおいしいと大絶賛。たしかにずっと作っているミニトマト(アイコ)と食べ比べてみると、甘みは少なめだけど濃厚でうまみが強いような気がする。黒トマトはおいしいけれど、皮が柔らかいので傷みやすくて、いまいちかなぁー。水ナスはえぐみが少ないので、ナスを浅漬けやサラダ感覚で食べるおいしさを知りました。グリーンピースは豆ご飯にすると最高!!このように試しに少し作ってみて、良ければ次の年から定番の品種になるわけです。さて、来年は何を作ってみようかな。

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夏野菜のお料理

わが家の食卓は、収穫したての野菜の味をチェックする場でもある。野菜の味は畑の中でも日々変化してゆくので、自分たちの舌をたよりに真剣勝負です。例えば、前回はおいしかった枝豆が、今日収穫したのは実が入りすぎて硬くなっているから出荷は無理かな・・・とか。トマトも取れたての時期より、8月に入ってからの方が甘さが乗ってきておいしいです。子供たちは正直なので、おいしい時期の野菜はいっぱい食べる。そんな野菜の味の微妙な変化も、ぜひ楽しんでみてください。

うちの子供たちは意外と好き嫌いがあり、息子はなすやミニトマトが苦手で、娘はタマネギやニンニク、ネギなど香りの強いものが苦手。いつもテーブルにいろんな野菜料理を並べて、自由に取るようにしているので、なかなか好き嫌いが直らないのかも。そうは言っても、毎日毎食同じ夏野菜ばかりが、これでもかと並びます。どうしたら苦手な野菜も喜んで食べてくれるかな~と考えながら料理して、「おいしい!」と言ってくれれば、私もにっこり!!

〇ピーマンのおひたし・・・ピーマンは千切りにして、短めにゆでてざるにあげる。ボールにピーマンを入れ、醤油、かつお節、ちぎったのりで和える。

〇伏見唐辛子の炒め物・・・伏見唐辛子は小口切りにする。フライパンに油をしいて、伏見唐辛子を炒める。塩とみりん(又はお酒)を加えて混ぜ、仕上げに醤油を回しかけて香りをつける。※万願寺甘とうでも同様に作れますが、種を取り除いてください。

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日々感動

 3月、苗箱にトマトの小さな種をまく。外は氷点下でも温床のベッドの中はあたたかい。そのうち、かわいい双葉がひょっこり顔を出す。それをひとつずつポットに移植して、ハウスの中にずらりと並べる。苗を育てるのは小さな子供を育てるのと似ていて、毎日顔色をうかがいながら、細心の注意をはらって世話をする。水をあげすぎても少なすぎてもだめ、その日の天候によっても違ってくる。苗が大きくなったら、いよいよ地面に植えつけだ。トマトは自分では上に伸びてゆかないので、棒を立ててひもを張り、茎をしばりつけてゆく。そのころにはかわいい黄色の花もちらほら咲くようになる。葉っぱと茎の間から芽が出てくるので、それを一つ一つ手で折り取ってゆく”芽かき”という作業もある。肥料をあげたり、草を取ったり、手をかけて世話をして、7月半ばようやく緑色だった実が真っ赤に色づいてきた。今年初めてのトマト、ひとつもいで、がぶり!!まさに夏の味。毎年同じことの繰り返しなのに、感動する瞬間です。(ひ)

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みんなが幸せになりますように

また原発事故の話になりますが、私たちが今、享受している便利で贅沢な暮らしと引き換えに、子供たちの未来がおびやかされていると思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。若いころ読んだレイチェル・カーソンの「沈黙の春」の不気味な光景が現実になりつつある気がして、本当に暗い気持ちになる。怖いのは放射能だけでなく、農薬も、遺伝子組み換え作物も、携帯電話などから出る電磁波も、ごみの焼却によって出る有害物質も・・・数え上げるときりがない。私が長野に来た17年前と比べてみても、あちこち開発が進み、蝶が減り、蜂が減り、いろいろな異変を感じています。

たぶん“今”が子供たちに豊かな自然と、安心して暮らせる将来を残してあげられるかどうかの「最後の分かれ道」なのではないでしょうか。私たちもここ富士見町で農業を続けることができる幸せを噛みしめつつ、せめてもの恩返しとして、原発のない社会、豊かな自然を守るための活動をしてゆくつもりです。幸い有機農業をしている仲間は、環境問題や社会問題に関心が高く、黙っちゃいられないと精力的に活動している人が多くて心強いです。できるだけ多くの人々がつながって、良い世の中にしてゆければと願っています。(ひ)

 

家の近くにも道祖神があります

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小学校の収穫祭

 前回は保育園の話でしたが、今回は小学校の話。先日の日曜日、学校で5年生の親子が集まり、収穫祭をした。子供たちが田んぼで大切に育て収穫したもち米を、お餅にしてみんなで食べる、という一大イベントだ。
6月、素足で田んぼじゅうを踏み歩いて代かきをし、手で田植えをした。そして10月、鎌で稲を刈り、足踏み脱穀機で脱穀。100キロ以上のもち米が収穫できた。収穫祭の前々日、子供たちがお米をといで水につけ、当日はかわるがわる杵でぺったんとお餅をつき、丸めて「きなこ・ごま・あんこ」に味つけした。杵が重くてよろける子も多かったが、とってもおいしいくつきあがったお餅にみんな大満足。「自分たちで育てたものを、自分たちで調理し、食べたことがうれしかった」という感想を書いていた子がいた。うちの息子は家でも毎年田んぼの仕事を手伝わせてはいるが、親に言われてしぶしぶやっている。今回クラスの友達と共に作業し、みんなで田んぼのことを調べて発表することができて、ひと回り成長したように思う。
子供のころの農業体験ってとても大事なことだなぁーと子供たちの笑顔を見ていて感じた。稲籾をまいてからお米になるまで、長い月日と手間がかかっているということを、身をもって知ると、自然と食べ物に感謝の気持ちがわいてくるだろう。作物を育てる喜びを知ることで、将来農業をやってみたいという子が増えるかもしれない。そこまでいかなくても、家庭菜園をすることならすぐにできる。
私たちも来年は、セットを買っていただいている皆さまに、もっと農業に触れていただける機会を増やしたいと考えています。お客様としてご招待するのではなく、援農という形がよいのかなと思案中です。大人も子供もみんなで畑仕事を楽しめればいいですね。(ひ)  

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