山梨県の大泉に「ごぱん」という、マクロビオティックのレストランがある。そこで出されるお料理や販売しているパンは、厳選した材料でとても丁寧に作られているので、すごくおいしい。そのお店のKさんからお料理教室の案内をいただき、先日参加してきました。講師は穀物菜食料理の第一人者である大森一慧先生。6人のお子さんを育てられ、たくさんの難病の人を食事と手当て法で救ってきたすごい方らしい。実際お会いすると小柄な方で抱いていたイメージとは少し違っていたが、気さくで大らかな人柄がとても素敵でした。
その日はサツマイモの餡にかぼちゃの皮で作る田舎まんじゅうをメインに教わった。まず、蒸したかぼちゃを少しずつ取り、裏ごしする。次にその中に粉を少しずつ、こねないようにへらで切り混ぜてゆく。そして、ひとまとめにして分割したものを、薄くのばしてさつまいもの餡に包み込んでゆく。先生の年季の入った手つきにほれぼれと見とれてしまう。一つ一つの工程がとても丁寧で、心がこもっているというか、料理に気が入ってゆく感じなのだ。
その蒸しあがったおまんじゅうを一口食べると、体の中から「あーおいしい」ってわき上がってくるような幸福感。砂糖を使わないので、かぼちゃとサツマイモ自体の甘さが引き立って、何ともいえない優しいおいしさだった。他にもKさんが作られたゴーヤチャンプルーや野菜スープも、食べると指先まで血の巡りが良くなるような、元気がわいてくるおいしいお料理でした。
偉そうなこと言うようですが、料理のおいしさって、素材の良さが7割を占め、後の2割はその素材の良さを最大限生かせるかどうか、最後の1割は作り手の心によって決まる、と勝手に私は思っている。例えば、お肉や砂糖やだしの素などをどばっと入れると、素材の繊細なおいしさはわからなくなってしまう。また、いらいらした気分の時や、時間がなくて焦って料理すると、味がうまく決まらなかったりしますよね。大地のめぐみに感謝し、丁寧に心を込めて料理することを、あらためて教わった貴重な1日でした。あわただしい時でもおろそかにしないように気をつけたいです。
2010年
オクラ
関東平野の真ん中で、研修をしていた時、夏も盛りになると、毎日きれいな花を咲かせ、実をつけ、すくすくと伸び、あっという間に背の高さを超えてゆくオクラの姿が印象的でした。また、素手でオクラを収穫していると、少し時間がたってから、猛烈にかゆくなったのを思い出します。
自分で農園を始め、長野の高冷地で、オクラを作ってみると、これがうまくできない。初期生育が悪く、すぐにアブラムシが、びっしりつくのです。本当に、寒いのが嫌いな野菜です。それでも家族みんながオクラ好きなので、毎年植えるのですが、ろくに収穫できませんでした。ところが今年はけっこう良くできました。そうです、30年に一度というこの暑さのせいです。今、もうじき背の高さに並ぼうとしています。とはいえ、植えた数が少ないので、量はそんなに取れません。よし、来年は、たくさん植えるぞ・・・。来年は、どんな夏になるんでしょうか。うってかわって冷夏になったりして・・・。
雑穀を育てる・・・その後
6月に雑穀の苗の定植直後の様子をご紹介してから、ずい分と間があいてしまいました。
おかげさまで、順調にすくすくと育っています。
まず、アマランサス。ケイトウの仲間だそうで、鮮やかな赤色が美しい。この実が食べられるなんてちょっと不思議な気がする。穂を握って手に種がついたら収穫時。種がものすごく細かいため、収穫・乾燥はごみが混じらぬよう、とても気を使う。
次は黒小豆。8月はじめころ黄色い小さな花をいくつもつける。
そして8月下旬、さやが黒くなってきたので収穫して、今ハウスの中で干している。
お次はごま。8月上旬、ピンクのとってもかわいい花が咲く。野菜の花って意外ときれいなのが多いんですよ。
8月下旬、ひとつの木にずらずらと実がつく。一番下の実がはじけたら、大急ぎで刈り取らなくてはいけません。次々とはじけて地面にこぼれてしまうから。
最後はタカキビ、その名のとおり高さは2メートル以上。実は赤くて丸く、お米より大きい。
実は、雑穀はここからが大変なんです。収穫、乾燥、脱穀、選別、すべて手作業で、ホコリはすごいし時間もかかる。それだけに、できあがったものは、とてもいとおしく、1粒たりとも無駄にはできない。
また、その後の様子も紹介したいです。(ひ)
虫は助っ人
本当に暑い夏らしい夏でした。とゆうか、いまだ夏ですね。まだ当分の間、暑さが続くということです。皆さん、どうかお体に気をつけて、お互いに無理はしないようにしましょう。暑くて、野菜は大丈夫ですかとよく聞かれます。さすがにここは、標高1,000mですし、今は夏野菜ばかりなので、どの野菜もおかげさまで、おおむね元気にしています。ただ、ここしばらく晴天が続き、だいぶ土が乾いてきました。ひと欲雨しいなというところです。
先日、冬にお届けするキャベツ、ブロッコリーを畑に定植したのですが、いつになく、葉を食べるイモムシの類が多く、ちょっと困っています。(高温で少雨だと、虫が多くなりがちです)
つくづく思うのですが、農薬を使わずに作物を育てていると、畑や田んぼに、どれだけ多くの生き物がいるかがとても大切です。土の中の微生物や、ミミズ、いろんな昆虫類、クモやカエルなど、小さな生き物たちのことです。
これは、何かきれいごとみたいな話をしようというのではありません。こういう小さな生き物がどれだけ多く畑にいるかが、はっきり言うと、わが家の収入に直結しているのです。有機農家ほど、虫にお世話になっている職業はないかもしれません。
まずは、土の中に生き物がたくさんいてくれること(良い土の条件の一つ)。あたりまえですが、土がよければ何を作ってもうまくゆくし、よくなければ、何倍も苦労しなくてはなりません。実は単に有機栽培をしてさえいれば、土がよくなるというわけではなく、本当に良い土になるには、長い時間が必要なのに対して、ちょっと手抜きをしたり(ちょっとだけなのですが・・・)、輪作に無理があったりすると、すぐにトラブルがおこります。
それから、地面の上にも、たくさん生き物がいてくれることが大事。一足歩くごとに、カエルがぴょんぴょん、クモやいろんな虫がそこらじゅうで目につくようなら一安心。彼らの働きはすばらしいです。
今年のキャベ、ブロ畑は、残念ながらカエルやクモが少なく、今、私がせっせとイモムシを取っているわけです。来年は、草生栽培にしてみようかな。(か)
夏野菜のゆくえ
ほそかわ農園の農繁期は3回ある。まず、田植えとハウスで育苗した苗をいっせいに植える5月。そして夏野菜の収穫・出荷のピークを迎える8月。最後は稲刈り、他の穀類、イモ類などを収穫する10月。中でも8月はいちばん忙しい。言い訳がましいですが、しばらくブログをお休みしてすみません。
夏野菜は7月半ばころからぼちぼち取れ始め、だんだんと収量が増え、お盆のころが最盛期。収穫は早朝の涼しいうちに始める。標高1000mの朝の畑は、朝露にぬれてひんやりとしていて気持ちがいい。私は家の近くの畑でズッキーニとミニトマトをもぐ。夫は5キロほど離れた畑に行き、ナス、ピーマン、シシトウ、キュウリ、トマトなどを収穫する。すごいスピードでコンテナ(箱)の中にひょいひょいと入れてゆき、2時間ちょっとで軽トラックいっぱいにして帰ってくる。夫はよく「畑から毎日10円、20円を拾い集めているような気分だ」なんて言ってます。
採れたてのナスはつやつやで、ピーマンはピカピカ光っている。そんな野菜たちをできるだけ無駄にせず、新鮮なうちに食べていただきたいと、会員のみなさま、町内の保育園、レストラン、お店などにお届けしている。休みの日には子供たちにも手伝わせて、延々と野菜の袋詰め、箱詰め作業、そして配達の毎日だ。
農業って子供たちと一緒に仕事ができるところがすばらしいと思う。わが家は子供たちのお小遣いはなく、その日の働きによって100円前後のアルバイト代をあげている。こんなこと書くと細川家の子供は働き者だなぁーと思われるかもしれませんが、かなりめんどくさそうに、しぶしぶやってくれている。ちなみに息子の今年の夏休みの自由研究は、野菜の収穫から、袋詰め、お店に並べるまでの体験をまとめました。
8月も終わりになると、夏野菜の採れ方ががっくり減って忙しさも一段落。ちょっと寂しいが、次は秋野菜に向けての準備が待っている。(ひ)
農家のお年寄りから学んだこと
富士見でお百姓を始めた10年以上も前のころは、近所に元気なお百姓のお年寄りがたくさんいた。若い同業者の私たちが珍しかったんでしょう、何かとめんどうを見てくれた。「このささぎ(いんげんの方言)の種くれる(あげるの方言)で、まいてみな。」とか、他にも自家製のお漬物などよくいただいた。私たちの田んぼや畑の様子もよくチェックされていて、「今年はナスがばかに調子いいじゃん」とか何とかよく声をかけてくれたのだが、草ぼうぼうの畑を見られるのはちょっと恥ずかしかった。子供の頃から百姓仕事をしてきて、様々な苦労をされてきたと思うが、みんな田んぼや畑が大好きで、好奇心旺盛で、いきいきとしていた。家でのんびりしていられなくて、老人車を押しながら毎日畑に通っていたおばあちゃん。突然道端でしゃがんで平気で用足しをするおばあちゃん。そんなお年寄りたちを見てたくましさを感じ、「地に足をつけて生きるとは、まさにこのことなんだ!」と、強いあこがれを抱いていた。
それから何年も経ってひとり、またひとりとお百姓をリタイヤされ、亡くなられるのを見てきて、本当に寂しい。空いている田畑も随分増えた。どうりで私たちも40代半ばになり、年をとったわけだ。しかし相変わらず近所のお百姓の中で最年少に変わりない。
農村部は過疎化し、耕作放棄地は増加している。一方で就職できない若者がたくさんいる。また、日本は食料自給率が低いけれど、いつまで食料を輸入できるかわからないし、海外には食料が足りなくて困っている国も多いのに、搾取していいのだろうか。それなら若者がどんどん田舎に来てお百姓を始めるよう、うまく仕組めないものか。各地で少しずつ始まってはいるが、農家のお年寄りからいろんなことを学べる時間は、もうそんなに長くない。 (ひ)
カモはどこへ…
大雨で大変な所もあるようです。このあたりは、さいわい、降ったりやんだりで、わりと晴れ間が多い梅雨でした。
日がさせば、いつの間にか緑が濃い。
畑の草もよく伸びる、伸びる。
田んぼに流れ込むせんぎの水も、冷たさが心地よくなりました。
ところで、田んぼのそばに巣を作ったカルガモは、ある朝見に行くと、母ガモも卵もすっかり消えていました。
(真ん中の少しへこんだとこが巣)
ひながかえったのでしょうか。
ものの本によると、カルガモは、草むらに営巣し、ひながかえると、川や池に誘導し、そこで生活するとあります。
ニュースなんかで見たことのあるカルガモのお引越しだ。
それから何日かたちますが、近くでカモの親子は見かけません。
このあたりには、キツネやイタチもいるし、タカやカラスもあぶない。
考えてみると、こんな中で、よちよち歩きのヒナを育てるのって大変。
この田んぼ、卵発見以来、土手草刈をしてないので、すっかり草だらけになってしまいました。
もう少し、そっとしておいたほうがいいんでしょうか。