醤油作り

syouuyu.jpg自給自足の視点から、お米の次に大切な作物は大豆だと思う。大豆はそのまま煮ただけでは消化が悪く、アレルギー性も強いので、昔から様々な加工品が工夫され、人々の大切な蛋白源となってきた。また大豆を醗酵させることにより、蛋白質がアミノ酸に分解され、うまみも増してくる。わが家でもお味噌、醤油の原料として、また豆腐、納豆、きなこもたまに作ったりして、大豆は大活躍している。
○山梨に住む友人で、あらゆる雑穀を育て、味噌・醤油などの加工品を作るのがとても上手なIさんという女性がいる。雑穀の作り方や麹の作り方など、わからない時はいつも教えてもらっている。私たちにとってありがたい先生のような存在。彼女は有機農業でお金を稼ぐというより、自分の好きなものを作って、自給自足を思う存分楽しまれているふうにみえる。そんなIさんたちと一緒に、昨年の春から醤油作りの仲間に入れてもらった。それぞれの家で収穫した大豆と小麦、そして道具とお昼ご飯を持ち寄って、朝から仕事に取りかかる。大量の大豆を蒸し、小麦を炒って挽き割り、それらと麹菌を均等に混ぜる。ここまでが一日がかりの仕事。一人ですれば絶対嫌になるが、みんなでおしゃべりしながらの作業はとても楽しい。さらにこれを丸4日くらい、手作りの麹むろの中で温度管理をしながら醤油麹を作る。できた醤油麹をそれぞれの家に持ち帰り、塩水と一緒に樽に入れて混ぜる。それから1年半もの間、表面にカビが浮かないよう時々かき混ぜながら寝かせる。
○先日初めて醗酵させた醤油麹を布袋に入れて重石をかけ、搾ってみた。じわじわしみ出てくる醤油に感動しつつ、味見をしてみる。ん?熟成されたうまみはたっぶり感じられるが、何だか味噌っぽい味だった。電話で聞いてみると、Iさんちの醤油は味噌の風味はしないという。同じ醤油麹を使っても、樽を置く場所や搾り方などによって、味が微妙に違うようだ。買ったほうが安上がり、と言ってしまえばそれまでだが、それでもわが家の貴重な手作り醤油第一号、大切にいただこう。