田んぼの生き物

cimg2663.jpg○うちのキャベツ畑は、自慢じゃないが、いろんな生き物がいる。青虫、ヨトウムシ、コナガ…(汗)、アマガエル、クモの仲間、イトトンボ、カマキリ、それからなぜかトノサマガエルが多い。
 しかし、田んぼの生物の多様さは、畑とは比較にならない。水があるだけでこんなにも多くの生き物が生まれてくるなんて、驚きだ。春、数え切れないオタマジャクシが泳ぎ回り、手足がはえて今度は無数の小さな子ガエルが跳ね回る。わらわらとわきかえるミジンコ、それが他の生物のエサになってゆくのだろう。ある朝、いっせいに稲によじ登るヤゴ、そして羽化し飛び立つトンボ。やがて稲刈りが終わると、お尻から出した糸を風に乗せて、次々と空に飛び立ってゆく無数の小さなクモ。
 田舎で生まれ育った私にとって、田んぼなんてありふれた光景だった。自分で田んぼを作るまで、こんな驚異の世界があろうとは、まったく知らなかった。そして十年たった今でも、毎年、新たな発見に驚かされ、子供といっしょに、あぜ道にしゃがみこんでは、田んぼをのぞきこんでいるのだ。
○今、農家と農業をとりまく状況は、厳しい。
私はまがりなりにも専業農家だが、周りの田んぼは皆、兼業だ。お勤めにいって、土日に作業しておられる。休日のほとんどとまではいかなくても、かなりを費やすことになる。自分の田の仕事の他に、ため池や水路の草刈、整備、農道の普請など共同の作業もある。
お米を買ったほうが安いとみんな言っているが、おそらくそのとうりだろう。ほとんどボランティアだ。当然、毎年休耕田が増えていく。
 世界には、満足に食べられない人々もいるのに、自国の農地を遊ばせ、食糧を輸入する。こんなことが続けられるのだろうか。そんな思いは年々強くなる。
しかし、わたしが毎年田んぼを作る理由は、使命感でもなんでもなく、実はなにより、とっても楽しいからなのだ。