2003年

ジャガイモ畑をしきりに荒らす動物がいる。まだイモもこれから大きくなるところだというのに、すでに2セ(60坪)ほど食べられてしまった。食べた分より、少しかじったり、掘り返して散らかしたほうが多く、よけいに腹が立つ。そういえば、去年はすぐ隣の畑にジャガイモを植えて、イノシシにずいぶんやられたのだった。すっかり忘れていた。うかつでした。でも今年は去年に比べると、荒らし方がややおとなしい。イノシシではなく、もっと小さな動物みたいだ。何だろう?

とりあえず、畑の4隅に暗くなると電池でピカピカ光るライトをつけた。道路工事の現場で使っているものとまったく同じもので、JAの店で獣よけようとして売っているのだ。しかし、去年イノシシには効果があったのだか、今回はだめみたいで、平気で荒らしてゆく。仕方がないので、今度はぐるっと畑じゅうネットを張りました。1.5m幅のネットを150mぶん。2、3日後に見に行くとネットに直径30cm程の穴が二つあいており、2坪くらい食べ散らかしてあった。さて、こうなったら今度は少し痛い目にあってもらうよりほかはありません。足をパチンとはさむワナを4ヶ仕掛けました。それから一週間、誰もかからず、幸いにも畑によりついたものはいないようだ。

それにしてもいったい何の動物だろう?このへんはまだ自然が豊かということでしょうか。いろんな動物を見ます。キツネ、イタチ、サル、シカ、ニホンカモシカもいます。去年は例のハクビシンも目撃した。出会ってないのはクマくらいです。農業をやっていなければ何も悩ましく思うことはないのですが、害獣を駆除してもらうのも仕方ありません。動物とヒトがうまく住み分けできるといいのですが。むずかしい問題です。

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キュウリのつる

ちょっとむし暑く感じる夜が続くと、夏野菜はぐっと大きくなる。カボチャのつるが伸びる早さにはおどろくばかりだ。つる先を持ち上げて、みるみる畑をうめつくしてゆく様子は、何か動物的ですらある。カボチャはここまでくればあとは、実がなって収穫できるようになるまで放っておくだけなので手間なしだが、トマト、キュウリは少しめんどうだ。トマトは支柱を合掌に立てて、伸びた茎が倒れないように誘引し、キュウリは高さ2mくらいのアーチパイプにネットをはって、そこにつるを誘引してゆく。伸びた分だけ、ひもでくくりつけてあげなければいけないのです。

トマトにはつるがはないので、いわば人間の都合によって支柱にくくりつけられているわけですが、キュウリもうっかり誘引をサボっていると伸びたつる先が垂れ下がってきて、時にはポキッとおれてしまうことも。「そのりっぱな巻きヒゲはいったい何のためについているのだ!」といいたくなる。

近所のおばあさんが「今のウリ(キュウリ)はずくなし(なまけもの)でだめだけど、昔のウリはひとりで巻きついてのぼっていったよ」といっていましたが、本当でしょうか。ちなみにゴーヤはキュウリより野性的で、ひとりで巻きついてのぼってゆくので人の手をわずらわすことはまったくありません。

今、畑ではいろんな野菜が伸びざかり、そして花ざかりです。

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みどりの親指

畑づくり、野菜づくりには作っている人の性格がよく出ます。長野県内で、同じく有機農業をしている人の畑を見学する機会が年に何回かあります。おおらかな人、あるいはおおざっぱな人、そして几帳面な人と畑の様子、作物の姿、野菜の味までおどろくほど違います。そして一種の才能でしょうか、英語で「Green thumb(みどりの親指)を持っている」と言って植物を育てるのが生まれつき上手な人と、なぜだかどうしても下手な人がいるような気がします。同じ生き物とは言っても、植物と人間とは生きてゆくリズムがまったく違うとつくづく感じます。もちろん、何もしゃべってはくれないし、いったいこの作物はもっと肥料がほしいのか、もういらないか、それとも他に何か気に入らないことがあるのが、「いったいどうしたいのだ!」と聞きたくなることがたびたびあります。

ついでに言いえば、お百姓は一人一人が経営者でもあるわけで、経営センスのある人とない人がやはりいます。一番もうけている人と、そうでない人では2ケタくらい収入が違うみたいです。ただし、どちらがより楽しそうに生活しているかは何ともいえません。それに、あまり経営者としてセンスのある人は、おそらく有機農業などしていないかもしれません。農業は基本的に、お日様と水と土がたよりの「スロー」な営みだからです。

さて、人のことはよく見えても自分のことはわからないものですが、ほそかわ農園の野菜はどうでしょうか。ひとつだけ私が人に勝てると思うのは、「人間は食い物が基本だ」という戦中派の人のような信念。そして野菜を食べるのが好きなこと。食い意地の強さです。おいしい品種があると聞けば、作ってみずにはいられません。そろそろズッキーニやキュウリなどの夏野菜が採れはじめます。だれより私が楽しみです。

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お野菜のお届けが始まりました。

今年も何とか、皆様に第1回目の野菜をお届けすることができました。この時期、暑かったり寒かったりしますが、着実に季節はめぐっているようです。今日は真夏のように暑い1日でした。そういえば梅雨入り直前の頃、みょうに暑い日がありますよね。

 さて、早いものでほそかわ農園としてこの地で野菜を作りはじめて、今年で8年目になります。ほそかわ農園の野菜作りには、これだけはぜったい守るという約束がひとつあります。それは「農薬と化学肥料を一切使わない」ということです。安心して食べられるということが、食べ物に求められる第一の条件と思うからです。そしてこの「やくそく」をかたくなに守り続けていると、畑の野菜がいろんなことを教えてくれます。季節はずれに作ろうとすればさんざん虫に食われたり、いろんな病気になったりします。農薬にたよらずに栽培すると、野菜がみずから旬を、一番おいしい時期を教えてくれるのです。ただ、無農薬野菜にも弱点があります。それは野菜の中に虫が入っている可能性があること。仕分けの時に気をつけて、できるだけ取り除くようにはしていますが、「当たり」を引いた方はどうかお許しください。

 今の農作業…5月下旬から6月の始めに苗を植えるもの、種をまくものが集中するのでひたすら植えて、まいてばかり。ようやくひととおり終わって畑には小さな芽が出そろったところ。そろそろ草が伸びてきた。今度は草取りと土手の草刈だ。 

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6月からの野菜出荷に向けて、ただいま準備中!

ここ、標高約千メートルの我が家のあたりでは、春はとてもあわただしく、あっという間に季節がすすんでゆきます。今年は春先やや寒い日が続いたのですが、暖かくなりはじめたと思ったら、梅と桜が同時に咲き、ツバメも南の国からやってきて巣づくりに飛び回っています。

農作業のほうも、春先はにわかに大忙しになります。最近は朝、空が明るくなれば(5時ころ)起きて、暗くなれば寝る(とはいっても10時ころ)という生活。起きるとまず、苗の様子が気になるの で、ビニールハウスへ行きます。ハウスの中はいろんな苗でいっぱいです。夜間苗の保温のためにかけておいたマットを取り、川につないだポンプをまわして水をかけます。温度管理と水のやりかげんがとてもむずかしいのですが、日一日と生長してゆく苗を見るのはとても楽しみです。ちなみに苗の名前をあげれば、トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、ししとう、パプリカ、とうがらし、きゅうり、かぼちゃ、ズッキーニ、ゴーヤ、ゆうがお、キャベツ、レタス、ブロッコリー、サラダ菜、セロリ、水菜、チンゲンサイ、ルバーブなど。それから、ムスクラン(数種類の香草がまざったもので、摘み取ってサラダに使う)というのを試作中です。畑はトラクターで耕し、肥料をまいて、順番に苗を定植してゆきます。田んぼは田植えの準備中。苗代の苗もすくすく育っています。さらに、ビニールハウスを新たに2棟建てている最中です。

今年から両親にも手伝ってもらえるようになり、畑に十分手をかけて気持ちよく野菜作りができるようになると思います。3歳の長男も父のあとをついてまわり、一人前にお手伝いしたつもりでいます。そんなわけで、去年よりたくさんの種類の野菜を、おいしく食べていただけるようがんばっています。今年もよろしくお願いいたします。

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