8月の初め、成長した稲が、いっせいに穂を出し始めます。穂が出ると、すぐに小さな花を咲かせます。今、お米の一粒ずつが、少しずつ大きくなり、その重さで、稲の穂が、毎日ほんの少しずつ垂れ下がってきています。緑色の葉も、次第に色が抜け、黄金色を帯びてきました。
穂が出てから、お米が実るまでに、一日の平均気温の合計で1000度くらい必要です。
平均気温が20度とすると、50日くらいかかるのです。このところ、低温とぐずぐずしたお天気が続いてるので、ちょっと心配です。思えば、今年は、照ったり、雨が続いたり、急に寒くなったり、あちこちで、すごい豪雨は降るし、何かめまぐるしいような天気でした。でも、ここまでくれば、立派に実ってくれると思います。9月下旬から稲刈りを始め、天日で乾かし、10月半ば前には新米をお届けできそうです。
お米も、農薬、化学肥料を使わずに作っていますが、今年は、一部に「ひえ」がたくさん生えてしまい、何回か手で取りました。ついこの間も、慶さんと二人で、軽トラ一台分ほど抜き取りました。他の草も抑えるのは大変です。それでも農薬を使いたくないのは、特にここ数年、ハチやトンボ、カエルなど小さな生き物が激減しているから。こういう生き物の助けがなければ、有機農業なんてとてもできません。
私自身は、恥ずかしながら、お米の味の違いがよくわからないのですが、うちのお米を食べた方は、美味しいといってくれます。ミネラルを整えたり、地道に土作りをしてきたからでしょうか。有機栽培でうれしいのは、毎年少しずつ稲の出来がよくなってゆくことです。土に貯金をしている感じです。皆さんもぜひ一度食べてみてください。
菜園たより
お届けしている野菜について
○野沢菜・・・うちの野沢菜漬け、いかかでしょうか。原材料は、野沢菜、塩、自家製の醤油のみです。私の母をはじめ普通は、みそ、昆布、酢、砂糖などいろんなものを入れて味をつけるのですが、うちは野沢菜の味自体が好きなので、シンプルなレシピです。冷蔵庫で保存し、洗わずに軽く絞って、できるだけ早くお召し上がり下さい。
そう、野沢菜って、おひたしでも、炒め物でも、さっと浅漬けにしても、とてもおいしい野菜なのです。来年は、野沢菜そのものをお届けしてみたいですね。
○メキャベツ・・・久々に作りました。個人的にメキャベツが好きなのですが、実は作るのが面倒な野菜なのです。普通のキャベツより、大きくなるのにすごく時間がかかるし、なりが大きくて肥料食いなので倍くらい離して植えなくていけない。しかも大きな姿の割りに、ちょっぴりしか取れない。その分濃い味がする気がしますが・・・。今年は、いろんな人に手伝ってもらったおかげで、どうにか出来たという感じです。
○ケール・・・食用のケールを2種類作ってみました。ゆでると濃い緑色になり、ビタミンの含有量が野菜の中で最高というだけあって、見た目どうりの濃い味がします。決して食べやすくはないですが、かなり甘みもあります。ちりめん状のほうは、パセリみたいでお料理の飾りにきれいだとおもいます。いかがでしょうか。こちらは、寒さにも強く丈夫で、ごく作りやすい作物です。 ケールは、キャベツやブロッコリーの先祖にあたる野菜ですが、ヨーロッパの伝統品種のカタログなど見ると、驚くほどいろいろな姿の品種があり、とてもおもしろいです。また来年も、ちょっと変わった野菜を試作してみていいでしょうか。
今年もお世話になりました。一年の終わりとともに、ほそかわ農園も店じまいです。
期間限定、セット野菜のみ。 メニューがおまかせしかない、わがままな店みたいで恐縮です。でも主役の野菜に、最高においしくなってもらうには、これがベスト。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。
大収穫の一日
寒波がきました。じわじわと寒くなる年と、急な年があるのですが、今年は急な年でした。明日の朝の最低気温マイナス6度の予報を見て、大慌てでいろんな野菜を取り込みました。あらかじめ、少しずつやっておけばよいのですが、前日は雨、その前の日は、一日用事でだめ。そうかといって、一週間前では早すぎるのです。
まず、大根を全部抜いて葉を切り落とし、軽トラックに山盛りつんで運びます。大部分家の近くの畑に溝を掘って埋め、すぐお届けする分は、ビニール袋にいれ倉庫に置きます。
様子を見て、寒さがきびしくなってきたら、家の地下のムロに入れます。すぐに入れると、ムロが暖かすぎて「す」がはいってしまいます。ついでキャベツを大部分収穫。これも車一台分です。赤カブも全部収穫。ブロッコリーも出来る限り収穫。家に帰ると、ついでに庭の柿を全部収穫。数百キロの野菜を収穫した一日でした。
落葉松(からまつ)の林が近くにある畑があり、葉が落ちる前にトンネルをかけようと思っていたのですが、ぐずぐずしているうちに、木枯らしが吹いて葉っぱだらけになってしまいました。小さな松葉、洗っても取れにくく、お手数をかけます。すみません。
お届けしている野菜について
○大根 今度から、貯蔵したものになりますので、葉はつきません。適切に貯蔵すれば一冬もつのが大根のえらいところです。一年でいちばん甘くおいしい時期です。普通の大根(耐病総太りという昔からの品種です)と、丸くて中が赤い「紅芯大根」は、毎年お届けしているものです。
○赤カブ 今年は久しぶりに赤カブ漬けを作りたくなり、種まきしました。普段お届けしている小カブは、やわらかくて甘いのですが、赤カブはごつごつしていて野生的。肉質もかたいのですが、浅漬けにして食べてみるとおいしいんです。甘みよりうまみがつよい、アミノ酸が多い感じです。いかがでしょうか。
○ジャガイモ 夏前からお届けしているジャガイモですが、だんだんおいしくなってきた気がします。ジャガイモの旬は冬かもしれません。ニンジンやサツマイモも、寒くなると明らかに甘くなります。根菜類のおいしい季節です。
冬じたく
季節はずれの台風が過ぎ、少しずつ冬が近づいてきました。寒い地方の方にはわかっていただけると思いますが、気が引きしまるというか、気が重いというか、そんな季節です。霜の降りる時期は,年によってだいぶ違うのですが、二十四節季の霜降の頃か、もう少し後です。それからは、坂を転げ落ちるように、これでもかと寒くなってゆきます。
同じ葉物類でも、寒さに弱いものは、今のうちにお届けしなくては痛んでしまいます。弱い順番にお届けという感じです。小松菜やほうれん草など寒さに強いものは、ちょっと後回しです。またこれらは、もう少し後のほうが甘くおいしくなります。
お届けしている野菜について
○長ネギ
今年は太くなりました。こんなに太くなったのは、初めてです。野菜作りも、50種類以上作っていると、相性の良し悪しがあって、もうひとつ、うまくいかないのがあるわけです。長ねぎがそうで、なかなか、ふっくらと太らせることができませんでした。今年は、何年もほっておいた古い堆肥をたくさんあげたのがよかったみたい。
細いと味がわるいというわけではないですが、やっぱり、鍋に入れたりするには、ある程度太いほうが、食べ応えもあるし、ねぎの甘みが感じられます。先日、鍋に入れたら、この時期にしては、結構やわらかくておいしかったです。ねぎに関しては単純で、寒くなるほどおいしくなります。今より12月のほうがおいしいし、2月になるともっとおいしい。ただし、枯れ果てたゴミのような姿になってますが。
下仁田ネギと、松本一本ねぎを作っています。この二つは、ごく近い親戚のようです。意外ですが、あの太くて短い下仁田ネギから、松本一本が分かれて出来たようです。ねぎは、こういった在来種のほうがやわらかくて断然おいしいです。
野菜セット
いつもほそかわ農園の野菜を食べてくださりありがとうございます。
季節の野菜を詰め合わせたセットでのお届け、不便なことも、いろいろあるかと思いますが、おかげさまで、いちばんおいしい時期に作ってお届け出来(それはスーパーでその野菜がいちばん安い時期です)、そしてどうしたらもっとおいしくなるか、もっとおいしい品種はないかなど、そんなことばかりにかまけていられて、本当にしあわせです。いちばん手のかからない時期に育った野菜は、資材も、燃料も、最小ですみ、環境にもいいんです。
お届けしている野菜について
○サラダセット
ルッコラ、からし菜、ラディッシュなどレタス類を組み合わせてお届けしています。
サラダというと夏のイメージですが、ルッコラも、からし菜も、もちろんラディッシュもみんなアブラナ科という野菜の仲間です。こいつらはおおむね涼しい気候を好みます。
レタスも、あんまり暑いのは苦手です。自分で農業を始める前、標高1400メートルの野辺山の農家でアルバイトをしていたことがありますが、そこでさえも真夏のレタス作りは気を使うと言ってました。そういうわけで、うちのサラダのいちばんおいしい季節は秋です。先日、サラダセットと、ブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、ちょっと味は落ちてきましたが、トマトとミニトマトを入れたサラダをボールいっぱい作りましたが、我ながらとってもおいしかったです。昨年買った、くるくるハンドルを回す野菜の水きり器は、少量の油分でもよくからんで、なかなかよいです。
○試作している野菜
いつもいろんな野菜を試作しています。
去年、ちょっと作ってとてもおいしかった、「たねの森」のパープルスプラウティング。がんばって早く種まきしたのですが、やっぱり晩生で、紫色の小さいブロッコリーは今年も出来そうにない。葉っぱだけでもおいしいのですが。
カタログにおいしいと書いてあった2種の食用ケール。この間畑で食べてみると、うーん・・・。霜が降りるようになるとおいしくなるというので期待したいです。こういう試作品をみなさんにお届けしてもよいものでしょうか。ちなみにこの2種の野菜もアブラナ科です。よく似た1ミリくらいの小さな種から、驚くほど多様な品種が育つのが本当に不思議です。
これから出る野菜・そしてお米
夏野菜もそろそろ終わりに近くなってきました。キュウリはなんだか例年より調子が悪くいつもより早めにおしまいになりました。トマトも、からからに乾いたと思ったら、台風の急な雨で割れてしまい、あまりよい年ではなかったです。こういう、作物の出来不出来は、近所で野菜を作っている人誰に聞いても共通しています。ほんとに作物は、気候しだいです。
変わって秋の野菜が、順番に登場してきます。これからでる野菜です。
○スティックブロッコリー・・・すでにお届けしています。寒くなると茎の甘みがより増してきます。有機のブロッコリー、手間はかかりますが、子供もみんな大好きなので力が入ります。
○キャベツ・・・そろそろお届けできそう。
○カリフラワー・・・オレンジと白いのと、2種類が、いろどりを添えます。
○みぶ菜・・・去年から作り始めました。京野菜です。水菜から分かれてできたと言われています。水菜よりおいしい気がして気に入っています。ただ、水菜は一年中スーパーに並んでいますが、それほど品種改良されていないみぶ菜は、作ることの出来る時期が限られます。まあ、それがおいしい理由のひとつではあるのですが。
○カブ・・・いま、直径1cmくらい。もう少しです。
○山東菜・・・おいしい山東菜、あるいは、丈夫で作りやすく、虫に強い白菜を探して、今年もいろんな品種を試作しています。長崎白菜、竹の子白菜など・・・。どうなるでしょうか。ご期待ください。
○大根・・・産直野菜ならではの間引き大根をお届けしていますが、肝心の大根は、10月半ばからお届けします。いつもの青首大根と丸くて中の赤い紅芯大根のほかに、今年は、緑色の濃い中国大根や、小さくて赤い大根を何種類か作ってみました。
○その他葉物類、小松菜、チンゲンサイ、春菊など。サラダ野菜の、ルッコラ、からし菜なども、実はこれからがおいしいです。
お米について
農薬、化学肥料はつかいません。うるち米品種は、「ゆめしなの」です。田舎のプレスリーみたいな言い方でいやなのですが、高冷地のコシヒカリなんていわれることもあります。まあ、最近の品種は、ほとんどがコシヒカリの地を引いていいるのですが・・・。
お日様当てて天日で乾燥しています。これは規模が小さいから出来ることです。ほそかわ農園も、少しずつ田んぼの面積が増えているので、先のことはわかりませんが、今のところ、なんとかがんばっています。
いよいよ稲刈り
稲刈りを控えて田んぼにはもう水はない。いろんな生き物がいた夏のにぎやかさはなくなったが、よく見ると小さなクモが沢山いる。稲刈りが終わり、しばらくたった、天気のよい、風の吹く日、このクモがいっせいに飛立つ日がある。お尻を持ち上げて糸を出してゆくと、糸が風に乗って斜めに空中に伸びてゆく。十分に伸びたら、稲の株をつかんでいた手を離す。と、小さなクモはそのまま糸に引っ張られ風に乗ってとんでいってしまう。バルーンニングというそうだ。すごいのはその数の多さだ。クモの糸が太陽の光に反射して田んぼ全体がきらきら光って見える。はるか空たかくまで飛んでいってしまうのもいるが、すぐ近くの電線にひっかっかてしまうのもいる。その数もやたら多いので、電線にレースのカーテンをつったようにひらひらして見える。ちょうどその日田んぼのわら片付けなどの仕事をしていると見られる光景だ。それが終わるとすっかり静かになる田んぼだが、赤とんぼは卵で、冬を越し、来年代掻きでまた田んぼに水が入ると、トンボの卵はヤゴになり、カエルは待ちかねるようにやってきて卵を産むはず。
なんだかいつも田んぼの生き物の話ばかりですが、肝心のお米の出来はどうか。今年の夏は猛暑でしたが、もともと涼しいこのあたりでは、稲には良い気候だった。去年よりよい出来のようです。気候と別に農薬を使わない田んぼならではの課題もある。できの良い田んぼと悪い田んぼ、草の生えないきれいな田んぼと、草だらけの田んぼ。微妙な差をコントロールするのが難しい。ただ、稲作りは一年一回しかできないが、幸いこのペースなら私の頭でも、なんとか経験を蓄積できるし、試行錯誤しながらも、どの田も少しづつよくなっているようだ。
なんだか新米が食べたくなってきました。いよいよ稲刈です。