2006年

ニンジンの草取り

先日の大雨でうちの畑も田んぼのようになった。幸い大きな被害もなかったが、野菜にとってはかなりのストレスではあったので、この後病気などに要注意だ。 雨が続いている間は、ずぶ、ずぶと長靴をひきぬきながら野菜の収穫をした。 トマトやキュウリ、カボチャなどの果菜類は、うねまに草を生やして刈り込みながら栽培しているのだが、この草生の部分は、こんな時でも何とか歩くことができた。 土がむきだしの畑は川のように水が流れ土を押し流していったが、草が生えていると土をしっかりつかんでくれる。 大雨には威力を発揮した草生栽培だが、しかし何の野菜にも取り入れられるというわけではない。中には徹底的に草取りをしなくてはならないものもある。
ニンジンは草とりに手のかかる野菜だ。5寸ニンジンで、種まきから収穫まで100日くらいかかるのだが、まず種まきしてもなかなか芽がでない。 のんびりしているのだ。その間に雑草が次々芽を出し、ぐんぐん伸びてゆく。「雑草のように」というたとえのとおり彼らはたくましい。 そしてすばやい。一方ニンジンは、ようやく芽をだしたものの、ゆっくりと双葉をひろげ、ゆっくりと小さな本葉を一枚づつのばしている。 今、種まきから1ヶ月たったところだが、ようやく10cmくらいになったところだ。これで雑草にかてるわけがないのだ。 かくしてニンジンが芽を出すか出さないうちからせっせと草取りをしなくてはならない。秋冬にお届けするニンジンは量も多いし、ここが草取りの勝負どころという感じだ。 まずは、エンジンつきの管理機、2種類の手押し式の除草器具、3種類の草かきなどの道具を駆使して除草する。 可能な限り、ぎりぎりまで、道具を使うのだが、最低1回は手で取ることになる。 しゃがみこんで、2条づつ草を取り、こみ合ったところは間引きしながらずるずると前進してゆく。 そのうち腰が痛くなってくると、ひざをつく。そのうちに手もついて、四つんばいになっていることもある。通りがかりの人から見ると、 畑の中をはいはいしているおじさんというのは、かなり変な光景かもしれない。「たいへんですね。」とかなんとか声をかけられたこともある。 なにかこう悲惨な労働と思われたようなのだ。当人は、ぜんぜんそんなつもりはないのですが…。ただ、進むスピードの遅さはこたえる。 今年は細長い畑に種まきしたので、うねの長さが70メートルくらいある。しゃがんで見てみると、はるかかなたというかんじだ。 草のはえかたによるが、70メートル進むのに半日くらいかかる。夕方になり後ろをふりかえると、1日かかってこれだけかという思いがこみあげてはくる。 しかし考えようによっては、1日ひたすら草取りをして過ぎてゆくというのは、このあわただしい世の中で、 一種の贅沢かもしれないとも思う…思うことにしておこう。

写真:ニンジン畑
種まきから1ヶ月たったところ

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自然から学ぶこと

先日「でばらい」があった。村の皆が集まって、区で所有する共有財産の山林などの手入れをするのだ。林に分け入りカマをふるって下草ややぶを刈る。ひと休みして周りを見回していると、周り中いろんな植物にかこまれているのだが、その名前がほとんどわからないということに気がついた。百姓という職業がら、畑にある野菜はだいたいわかる(あたりまえか)。畑や田んぼの草、いわゆる雑草もだいぶ名前をおぼえた。しかし、林の中に来るとほとんどわからない。これがサワラだと言われても、ヒノキとどこがちがうのか…。まして、雑木や草、シダなどさっぱりだ。 

一般に、年かさの人ほど植物に詳しいように思う。とくに農村で生活してきた人ほど知識が豊富だ。木や草の名前、性質、利用方法などを熟知している。かつて、自然とともに生活してゆく上で必要な知恵だったのだろう。野生のニホンザルは、森の中で百種類以上の植物を食べて生活しているそうだが、そのうち約3割が和漢薬のもととなる植物だそうだ。植物にかんする知識は、どう見てもサルのほうが、私より上のようだ。反省。そんな私でも、百姓を始めて10年、必要にせまられて少しずつ植物が識別できるようになってはきた。ひとつずつ植物の名前をおぼえてゆくと、ほんの少しずつ、なにか生活が変わってゆくような気がするのだ。

写真:味噌蔵
右側は去年の春仕込んだ味噌の樽。左は今年の味噌樽。左手前は今年春仕込んだ醤油の樽。醤油は仕込んでから毎日かき混ぜ、そのあと絞る作業もあり、味噌よりかなり手間がかる。

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もっと楽しく農業を

みなさま、たいへんごぶさたいたしました。この長いお休み、なんとかならないのでしょうか。農園の経営上も都合が悪いのですが…。とりあえず、またこれから半年、ほそかわ農園のめくるめく畑に、どうぞおつきあいください。

ほそかわ農園の約束、それは農薬と化学肥料をつかわないこと。わが家は家族みんなが、それぞれいろんな強いアレルギー体質の持ち主で、いつだれが化学物質過敏症になっても少しもふしぎではない。まして子供たちはまだまだこれからの人生。この約束は、まずは自分と家族のためのものでもあるのです。

最近、いくらか年をとってきたせいでしょうか、なにごとも、ていねいにやりたいと思うようになりました。同じやるなら、なんでもゆっくりていねいにしたほうが、気持ちよいし、楽しい。昔かたぎの職人さんの手仕事、いいですよね。そんなわけで、野菜作りも、じぶんの思い通りに、ますますあれこれと手をかけてやっています。効率は悪くても、納得のゆくよいものをつくりたいのです。そんなわがままができるのもみなさまにほそかわ農園の野菜を食べていただいているからこそです。今シーズンもどうぞよろしくお願いします。

写真:ねぎぼうず

去年の秋とりのこした長ネギにねぎぼうずがついた。ねぎぼうずはネギの花だ。こうなると、もう食べることはできないが、ネギとしては、2年近くかけて生長し、やっとひと花咲かせたというところか。せっかくなのでタネをとり、こいつらの子孫を育ててみようと思っている。

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