先日、夫の姉のお誘いで伊那市の旧長谷村へ行ってきました。向かったのは、長谷の中心地から車で15分ほど走った山の中にある、86歳のオサムさんのお宅です。オサムさんはおじいさんと呼ぶには失礼なくらい、お元気で若々しい方です。彼は奥さんに先ただれてから一人暮らしをされているそうですが、炭焼きの名人なんです。彼が焼いた1メートルもある立派な炭で、贅沢にもバーベキューをいただきました。その炭は煙がちっとも出ないし、何時間もずっと火力が衰えない最高級品です。
そんな炭で焼いたおいしいお肉や野菜をいただきながら、オサムさんのお話をずっと聞いていました。山で木を切って炭を焼き、田んぼでお米を作り、畑で野菜を作り、猟で動物をしとめ、川で魚を獲り・・・というように自然を知り尽くされていて、自分の家の周りですべてが循環しているんです。市場経済とは違う次元で暮らしているので、お金をたくさん稼ぎたいとかいう欲が無く、自分の生活する分だけ自然の恵みをいただく質素な暮らし。話し方は穏やかだけれど、世の中の矛盾を冷静に見る目があって、自信に満ちた生き方をされているのが伝わってきます。
うちの子供たちも彼の話を聞いて、何かを感じ取ってくれたように思います。そんな周りに流されない価値観を持ち、身の丈にあった暮らしをする、そういう人に私はなりたいし、子供たちにもそんな技と感性を身につけてもらいたいです。オサムさん格好よすぎ。今度は炭焼きしているところを見せていただきたいな。
日々のできごと
日本ミツバチさんからの贈り物
昨年、うちの夫が作った巣箱に日本ミツバチが入ったんです。でも春になって暖かくなっても、活動し始める気配がない。
逃げちゃったか、全滅した様子なので、思い切って蓋を開けてみることに。
すると中にはたっぷり密の入った巣がぎっしり。十年以上前からミツバチ飼って、蜂蜜搾りたいねって言ってたんです。長年の夢がかなって、本当に感動しました。
甘いだけじゃない、いろんな味がしてミネラルたっぷり、すっごくおいしい蜂蜜です。
残った巣をお湯に溶かして、蜜ろうを作りました。実はこの作業、ろうがあっちこっちにべたべたくっついて後片付けが大変でした。でも黄金色で甘い香りのする、うっとりするようなミツロウができたので、がんばっただけの価値は十分あります。今度蜜ろうクリームを作ってみようと思います。
昨年から一生懸命働いて、冬の間の食料をためこんでいたミツバチさん。どうして全滅しちゃったんでしょうか。蜜なくてもいいから、元気に冬越ししてほしかったな。今度はもっとちゃんと飼ってみたいです。
ミツバチってすっごくかわいくて、ペットのような、お友達のような感じ。ぶんぶん飛んでいるのをず~っと見ていても見飽きないです。
ミツバチさんが残してくれた蜂蜜、ありがたく大切にいただきます。
八ヶ岳の高山植物
梅雨の晴れ間をぬって、家族で八ヶ岳へ登ってきました。
私の隠れた趣味は登山と高山植物を見ることなんです。夫と子供たちを無理やり(?)誘って、日帰りの強行軍。
桜平を6時前に出発し、オーレン小屋から硫黄岳、横岳往復で、桜平に戻ってきたのが3時半ころ。小5の娘にはちょっときつかったかな。
稜線はガスがかかっていてあまり展望はよくなかったのですが、たくさんのお花に出会えてびっくり。はじめて見たツクモグサやチョウノスケソウに感動!!
名前違ってるかもしれないですが、たくさん写真を撮ったので見てください。
本当は泊まりでゆっくり歩きたいのですが、仕事で無理なんです。でも家から近いところにこんなすばらしいところがあるなんて、贅沢ですね。
桶の修理
我が家のお蔵の中には、たくさんの大きな桶があります。
今までずっと使っていなかったのですが、思い切って修理に出すことに。茅野市の柿澤桶店さんにお願いしました。柿澤さんは桶作り60年という、職人さんです。今まで知らなかったのですが、近所にそんな方がいらっしゃるとは感激です。
こちらが修理前のもので、100年くらい昔の桶かも。サイズも大きすぎるので、少し小さくしていただくことに。
こちらが修理していただいたもの。新品みたいです!! 修理の手間は、新しく作るのとほぼ同じなんですって。
3月に仕込んだお味噌を、早速この桶に入れ替えました。木桶で作ったお味噌はすごくおいしいのだそうです。今までのお味噌だって十分おいしいと思うんですけど・・・とっても楽しみ。
麹作りや味噌作りのときに使う飯台も、底の部分を取り替えて修理していただきました。
古いものを修理しながら永く使い続けるって、豊かで幸せなことですね。
脱原発パレードに参加
昨日は3月11日。北杜市で行われた脱原発パレードに参加しました。
こうやって、同じ思いを持った方々と集まれる機会があることが、とても心強く、感謝しています。
平日にもかかわらず、約120人が参加。それぞれの思いのこもったプラカードを掲げながら、3キロほどの距離を1時間少しかけて歩きました。
こんな人も登場。わらぞうりで歩いていたので大変そうでしたが、すごくインパクトがありました。
お天気もよく、八ヶ岳や南アルプス、富士山を眺めながらのパレードでした。
原発のこと、環境のこと、子供たちの未来のことなど、歩きながらあれこれ考えることができました。
日々の暮らしで忘れてしまいがちですが、今もなお被害に苦しんでいる方々がたくさんおられることを忘れないでいたい。
一人の力はとても小さいけれど、多くの仲間を増やして少しでもよい世の中に変えていくことを願っています。
本の紹介
このたび「農家かあさんのおいしい365日」(塩沢槙 著・淡交社)という本が発売されました。
いろんな野菜、果物、卵など、全国の農家を取材して、それらのこだわった作り方や作物に込められた思い、農家の暮らしぶりなどが綴られています。そして農家ならではの意外なレシピ・おいしいレシピもたくさん掲載されています。
その中の”細川さんのにんじんと大根” というテーマで10ページほど掲載していただいています。
作者の塩沢さんが取材に見えたのは11月半ばころ。畑はもう終わりかけの時期だったので、野菜の写真がどうかなと不安でした。
畑を数か所回って写真を撮り、料理を5品作って撮影、話をしながら録音、と塩沢さんも私も超ハードな一日。
でも、段取りよくてきぱきこなされる彼女の仕事ぶりを見て、さすがプロだなあ~と感心しました。足手まといにならないように必死で料理を作り、カメラの前で作り笑いを浮かべる私・・・。取り留めのない私の話を、語ったような文章にうまくまとめられていて、写真もとても美しくてびっくり。ちなみにレシピは、うちの野菜を買って下さっているお客様から教えていただいたものが多いです。
他の方々のところも、作物を作る情熱や農家の厳しくも豊かな暮らしぶりなどが、ひしひしと伝わってきて、とても興味深いです。自分のところは少し恥ずかしいのですが、ぜひ手にとってごらんいただければうれしいです。