秋野菜の言い訳

今年の秋の葉物類はできが悪い。何か所かの畑に分けて作付けしているので、畑によって多少違いはあるのだが、全体に肥料が足りない様子で顔色が悪い。たとえば、トマトなどはできる限り少ない肥料で育てたほうが、玉は小さくてもおいしくなってくれる。しかし、葉物は肥えた土でないとおいしくならない。ある程度肥料分がないと、どうしてもかたくなってしまう。小松菜などはタネをまけば、早ければ30日で収穫できる。作るのは簡単な気がするのですが、本当においしいものを作るのはなかなか難しいです。また、よい野菜ができるようになるまでには、時間がかかるものだなと、あらためて感じます。これは言い訳ですが…。

畑のほうは今年の役目を終えて、あとは片づけるだけというところが増えてきました。この片づけがどうもめんどうくさくて、ついつい後回しになってしまいます。しかし、ここががんばりどころ。早く片づけて、緑肥用のえん麦をまくのと、まかないのでは、来年の畑のできが違います。あとは、落ち葉を集めたり、堆肥を積んだり、ぼつぼつ来年の準備が始まっています。

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有機野菜の作りかた・売りかた

今、11から12月にとれる小松菜の種まき時期です。このあたりでは9月25日頃が種まきの限界で、それより遅くまいても今年中には大きくなりません。あとはニンニクと玉ねぎを植えれば、春からひっきりなしに続いてきた、植えもの・まきものもようやく一段落です。

ほそかわ農園ではいろんな種類の野菜を作って、皆さんに直接お届けしています。現在は約70世帯の方に食べていただいています。ロスを見越して多めに作付けするので、取れすぎた分は近くのスーパーの産直コーナーに置いています。また、今はやっていませんが、契約栽培という形で自然食品店に単品で出荷したこともあります。

同じ有機農業といっても、どんなふうに野菜を売るのかによって作り方まで変わってしまいます。たとえば、ホウレンソウやコマツナは冬の霜に当たると、甘くなり、栄養価もあがりますよね。でも、葉っぱは黄ばんで見た目は悪くなり、スーパーに出してもなかなか買ってもらえません。店頭ではそんな話を詳しく伝えることがむずかしいので、どうしても「味より見た目がすべて」というふうになってしまいます。契約栽培の場合は、決まった量を納期に出荷するということが最優先です。確かにひとつのものを大量に作れば効率が良いのも事実です。しかしそうすると、どうしても畑や作物に無理がかかってしまい、納得のいくような有機農業を続けていくことは困難になります。

たくさんの種類の野菜を作り、畑から直接おとどけする方法は、野菜にとっても畑にとっても最も理想的です。反面、セット野菜は好きなものだけ選べないし、あるときはどっさり、ないときは全然ない、と不便なことばかり。それでも、ほそかわ農園の野菜が食べたいという方に食べていただけ、私たちも農業を続けることができて、本当にありがたく思っています。

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収穫の秋

思いのほか厳しい残暑でしたが、朝夕はさすがに少し肌寒く、秋のけはいです。あんなに採れていた夏野菜がひとつ、またひとつとなくなってゆくのは寂しいですが、さすがにもう十分にいただきました。秋一番に取れた葉物をみそ汁に入れて、フーフーと食べていると夏ばてぎみの胃袋がほっとするようです。

秋野菜は、まず小松菜などの葉物が採れだします。続いて小カブやホウレンソウも出てきます。根菜類は、ジャガイモを堀り終わって倉庫に積み上げたところです。次にサツマイモとサトイモ。この二つは暑いのが好きなので、今年はちゃんとできているか心配です。最後にゴボウと山イモ。霜が降りて葉っぱが枯れてから掘り出します。それから豆類の収穫。インゲン豆、小豆、大豆など。さやをもいで、あるいは茎ごと刈り取ってから日に当てて干し、たたいてさやから出し、手回しのとうみで風選別するという具合です。

収穫といえば稲刈りもあります。お米は自家用に1反5セ(450坪)ほど作っているだけです。スーパーにいけば、お米なんて10キロ3000円くらいから売っていますよね。お金にすればたいしたことはない、というより春からの代かき、田植え、草取りそして毎日の水管理と、かかった労力にまったく見合っていません。お金に換算してはいけないということでしょうか。今の世の中、何でもお金に換算してしまいがちですが、特に食べるものに関しては経済性ばかりを追求すると、ますます自給率が下がり、安全性もないがしろにされてしまいます。ともかく、家族が一年間食べる主食の収穫というのは秋のメーンイベントという感じです。今年は残念ながら、やや不作のようですが。

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地方の野菜と赤カブ漬け

今年の夏、飛騨高山へ日帰りで行ったのですが、そこで食べた赤カブ漬けがおいしかった。
赤カブ漬けは高山の名物だそうです。どこのお土産やさんに行っても、各メーカーの様々な種類のものがおいてありました。独特の酸味があり、これは本来、塩と砂糖と米ヌカだけで漬け込んだものが、時間とともに乳酸発酵したものだそうです。私は個人的に酢と砂糖の「甘酢あじ」は嫌いなのですが、乳酸発酵した酸っぱさは大好きです。家で漬けた野沢菜漬けも、一冬越して春先になってくると少しづつ酸っぱくなってきます。子供の頃からそんなものを食べさせられてきたせいでしようか。京都のすぐき漬けもおいしいですね。そういうわけで、今年は少しだけ赤カブのタネをまきました。自分で漬けてみようというワケです。今ちょうど芽が出たところです。どうなることやら楽しみです。

今、野菜は大きな種苗メーカーのF1品種が中心で、全国どこへ行っても同じ種類のものが作られるようになってきました。しかし、それぞれの地方には、多様な独特の品種が受けつがれ、残っているのです。大根やカブの種類の多さはおどろくばかりだ。赤カブでは、山形のあつみ温海カブや木曽の開田カブ、飛騨紅カブなどいろいろある。ナスもたとえば、ナスどころの新潟などでは、小ナスの漬物用のものや、焼きナス専用のその名も「ヤキナス」という品種、「白ナス」といううす緑色のナスもある。残念ながら、経済的に合わないという理由ですたれつつあるのが多いようですが…。確かに毎年良い種を選び、自分で種をとり続けてゆくのは手間のかかる、技術もいる大変な作業です。また食生活が変わってくれば、なくなってゆく野菜があって当然かもしれませんが、食べ方まで含めて生きてゆく知恵として長年伝えられてきたものは大切にしたいと思うのです。

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お天気と作物

百姓はお天気の話ばかりですが、今年の梅雨は長かったですね。久しぶりにお日様が出て、「やれやれ、やっと梅雨明けか」と思ったら、週間予報はまたくもりや雨マーク。今年の夏は冷夏なのでしょうか。そういえば、去年はまた記録的な暑い夏でしたよね。観測史上最高とか最低とか、最近はそんな話ばかり聞く気がします。お天気ってそんなものなのでしょうか。それとも、地球の温暖化やオゾン層の破壊とか何か重篤な原因があるのでしょうか。

一般に作物は、雨の多い年は病気が出て、日照りの年は虫(害虫)が多いといいます。今年は確かに病気が多いようです。ジャガイモの葉が枯れるのがいつもよりずいぶん早かった。これは「エキ病」のせいだ。野菜も生長のさかりを過ぎて体力が落ちてくると多少なりともいろんな病気におかされつつ、最後には枯れてゆくのですが、今回は激発!という感じでした。今年のイモは小さそうです。うどん用の小麦も病気が出て、皆さんにお届けできるかどうか何ともいえません。また、酪農をやっている友人と共同でパン用の小麦も試しに作ってみたのですが、こちらはさらに病気がひどく、刈り取り途中で断念。収穫なしです。気を取り直して、また今年も種まきします。暖地なら梅雨前に刈り取ってしまう小麦も、高冷地では梅雨の晴れ間に刈り取りをしなければいけないので、今年のような天候ではきびしいです。そしてナス。例年なら今ごろ取れているはずなのですが、今年はほとんど枯れてしまいました。多少はお届けできるでしょうか。いったん病気になつてしまうと、もうしてあげることがないのがつらいところです。

しかし、不作には天候のせいだけではなく、必ず何かしら人為的なミスがあります。今年は畑の作物のローテーションが失敗だったようです。反省です。

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野菜の味が決まるのは

今年はどうやら寒い夏のまま秋になにってしまいそうだ。暑いのが好きな野菜は、やはりあまり元気がないようです。今はちょうどほうれん草やカブ、小松菜、大根など秋野菜の種をまく時期なのですが、こう雨ばかり降り続くと、畑に入ることができず、ちょっと困っています。あさって(8/20)からお天気になると天気予報では言ってますが…。

モロコシや枝豆も遅くなりましたが、やっととれ始めました。これからしばらくはお届けできそうです。枝豆というとビール!、夏!、というイメージですが、ほんとうはこれから出るもののほうがおいしいです。作物には早生(わせ)~晩生(おくて)まで、できる早さの違ういろんな品種があるのですが、じっくりと育つ晩生のもののほうが、おいしい品種が多い気がします。

野菜の味が決まるのには、いろんな要素があります。品種の違いもありますが、もっと大きいのは「土」です。ほんとうに肥えたよい土なら、わずかな肥料を補ってあげればスクスクと育ってくれますし、味もおいしい。反対に土がよくなければ、さ
んざん苦労して何とか作っても、あまりおいしくなってくれません。それから、旬のものであること。これはぜったいです。時期はずれのものはどうがんばってもおいしくありません。

ただし、無農薬で作るということは、味を追求することと矛盾することも、実はあります。品種にしても、作りにくい野菜はとくに、味より丈夫さで選ばなくてはなりません。また、病気になってしまって、葉っぱが枯れたり、元気がなくなったとき、農薬をかけたほうが少しはましな味になるだろう、という場合もあります。でも、食べ物はまずは安全であるべきと思うのです。

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ジャガイモ畑をしきりに荒らす動物がいる。まだイモもこれから大きくなるところだというのに、すでに2セ(60坪)ほど食べられてしまった。食べた分より、少しかじったり、掘り返して散らかしたほうが多く、よけいに腹が立つ。そういえば、去年はすぐ隣の畑にジャガイモを植えて、イノシシにずいぶんやられたのだった。すっかり忘れていた。うかつでした。でも今年は去年に比べると、荒らし方がややおとなしい。イノシシではなく、もっと小さな動物みたいだ。何だろう?

とりあえず、畑の4隅に暗くなると電池でピカピカ光るライトをつけた。道路工事の現場で使っているものとまったく同じもので、JAの店で獣よけようとして売っているのだ。しかし、去年イノシシには効果があったのだか、今回はだめみたいで、平気で荒らしてゆく。仕方がないので、今度はぐるっと畑じゅうネットを張りました。1.5m幅のネットを150mぶん。2、3日後に見に行くとネットに直径30cm程の穴が二つあいており、2坪くらい食べ散らかしてあった。さて、こうなったら今度は少し痛い目にあってもらうよりほかはありません。足をパチンとはさむワナを4ヶ仕掛けました。それから一週間、誰もかからず、幸いにも畑によりついたものはいないようだ。

それにしてもいったい何の動物だろう?このへんはまだ自然が豊かということでしょうか。いろんな動物を見ます。キツネ、イタチ、サル、シカ、ニホンカモシカもいます。去年は例のハクビシンも目撃した。出会ってないのはクマくらいです。農業をやっていなければ何も悩ましく思うことはないのですが、害獣を駆除してもらうのも仕方ありません。動物とヒトがうまく住み分けできるといいのですが。むずかしい問題です。

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キュウリのつる

ちょっとむし暑く感じる夜が続くと、夏野菜はぐっと大きくなる。カボチャのつるが伸びる早さにはおどろくばかりだ。つる先を持ち上げて、みるみる畑をうめつくしてゆく様子は、何か動物的ですらある。カボチャはここまでくればあとは、実がなって収穫できるようになるまで放っておくだけなので手間なしだが、トマト、キュウリは少しめんどうだ。トマトは支柱を合掌に立てて、伸びた茎が倒れないように誘引し、キュウリは高さ2mくらいのアーチパイプにネットをはって、そこにつるを誘引してゆく。伸びた分だけ、ひもでくくりつけてあげなければいけないのです。

トマトにはつるがはないので、いわば人間の都合によって支柱にくくりつけられているわけですが、キュウリもうっかり誘引をサボっていると伸びたつる先が垂れ下がってきて、時にはポキッとおれてしまうことも。「そのりっぱな巻きヒゲはいったい何のためについているのだ!」といいたくなる。

近所のおばあさんが「今のウリ(キュウリ)はずくなし(なまけもの)でだめだけど、昔のウリはひとりで巻きついてのぼっていったよ」といっていましたが、本当でしょうか。ちなみにゴーヤはキュウリより野性的で、ひとりで巻きついてのぼってゆくので人の手をわずらわすことはまったくありません。

今、畑ではいろんな野菜が伸びざかり、そして花ざかりです。

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みどりの親指

畑づくり、野菜づくりには作っている人の性格がよく出ます。長野県内で、同じく有機農業をしている人の畑を見学する機会が年に何回かあります。おおらかな人、あるいはおおざっぱな人、そして几帳面な人と畑の様子、作物の姿、野菜の味までおどろくほど違います。そして一種の才能でしょうか、英語で「Green thumb(みどりの親指)を持っている」と言って植物を育てるのが生まれつき上手な人と、なぜだかどうしても下手な人がいるような気がします。同じ生き物とは言っても、植物と人間とは生きてゆくリズムがまったく違うとつくづく感じます。もちろん、何もしゃべってはくれないし、いったいこの作物はもっと肥料がほしいのか、もういらないか、それとも他に何か気に入らないことがあるのが、「いったいどうしたいのだ!」と聞きたくなることがたびたびあります。

ついでに言いえば、お百姓は一人一人が経営者でもあるわけで、経営センスのある人とない人がやはりいます。一番もうけている人と、そうでない人では2ケタくらい収入が違うみたいです。ただし、どちらがより楽しそうに生活しているかは何ともいえません。それに、あまり経営者としてセンスのある人は、おそらく有機農業などしていないかもしれません。農業は基本的に、お日様と水と土がたよりの「スロー」な営みだからです。

さて、人のことはよく見えても自分のことはわからないものですが、ほそかわ農園の野菜はどうでしょうか。ひとつだけ私が人に勝てると思うのは、「人間は食い物が基本だ」という戦中派の人のような信念。そして野菜を食べるのが好きなこと。食い意地の強さです。おいしい品種があると聞けば、作ってみずにはいられません。そろそろズッキーニやキュウリなどの夏野菜が採れはじめます。だれより私が楽しみです。

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お野菜のお届けが始まりました。

今年も何とか、皆様に第1回目の野菜をお届けすることができました。この時期、暑かったり寒かったりしますが、着実に季節はめぐっているようです。今日は真夏のように暑い1日でした。そういえば梅雨入り直前の頃、みょうに暑い日がありますよね。

 さて、早いものでほそかわ農園としてこの地で野菜を作りはじめて、今年で8年目になります。ほそかわ農園の野菜作りには、これだけはぜったい守るという約束がひとつあります。それは「農薬と化学肥料を一切使わない」ということです。安心して食べられるということが、食べ物に求められる第一の条件と思うからです。そしてこの「やくそく」をかたくなに守り続けていると、畑の野菜がいろんなことを教えてくれます。季節はずれに作ろうとすればさんざん虫に食われたり、いろんな病気になったりします。農薬にたよらずに栽培すると、野菜がみずから旬を、一番おいしい時期を教えてくれるのです。ただ、無農薬野菜にも弱点があります。それは野菜の中に虫が入っている可能性があること。仕分けの時に気をつけて、できるだけ取り除くようにはしていますが、「当たり」を引いた方はどうかお許しください。

 今の農作業…5月下旬から6月の始めに苗を植えるもの、種をまくものが集中するのでひたすら植えて、まいてばかり。ようやくひととおり終わって畑には小さな芽が出そろったところ。そろそろ草が伸びてきた。今度は草取りと土手の草刈だ。 

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