2011年

12月下旬のはたけのようす

畑仕事も、大詰めで、あちこちの片付けや、野菜の囲いが終わり、大根も、菜も漬け終わった。 師走になっても、ずっと暖かい日が続いた。天気は、三寒四温ではないが、常に、波打ちながら進んでゆくし、毎年、少しずつ違うのは当たり前だ。でも、あんまりいつもと違うと、心配になる。ほうれん草や、小松菜も、例年より、ずいぶん大きくなってしまった。これも暖かかったせいだ。ちょうど良いところでとまって欲しいのだが、すくすくと育ってしまった。

  12月19日、ここに来てぐっと寒くなった。急に土が凍り始める。今日は、凍った土に鎌を突き刺して、どうにかホウレンソウを収穫した。ついに冬が着た。やはり野菜の出荷は、12月いっぱいがやっとみたいだ。

 今年起こった大災害。そして大事故。故郷を追われ、田畑を耕すこともできない多くの方々。その思いは察するに余りあるが、実際に自分の身に起こるまでは、その痛みは、本当にはわからないのかもしれない。世の中、これからいろんなことが変わってゆく気がします。そして、変えなくていけないこともたくさんある。

ほそかわ農園も、この地で農業ができる限り、本当に持続可能な農法を求めて取り組んでゆきたいと思います。シーズン中は、ただひたすら畑仕事をするだけなんですけどね。

それでは、今年も一年、大変お世話になり、ありがとうございました。良いお年をお迎えください。(か)

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12月の畑のようす

ターサイ 座布団のように地面にはりついている

今年も、もう師走。一年あっという間だ。やっといくらか寒くなってきた。

小松菜や、ターサイ、ホウレンソウは寒いほどおいしくなる。甘くなる。寒さに対抗して自らの糖度を上げるのだという。

姿も変わる。いつの間に変わるのだろうか、葉っぱがぶあつくなる。それから、ロゼッタ状に広がって地面に張り付く。こういう野菜はふつうお店には売っていない。なぜかって、収穫するのも、袋に詰めたりするのも、とってもやりにくくて大変だから。でも本当においしいのは、この形なのだ。

今年は、11月が暖かかったので、おいしくなるのはこれからだ。

とはいえ、寒いほどおいしいにも限度がある。高冷地のこのあたりは、1月に入ると、小寒、大寒と、ぐんぐん気温が下がってゆく。暖冬の年もあるが、この時期になるとあまり関係ない。マイナス10度でも、15度でも同じく寒いのだ。この頃には、さすがの小松菜やホウレンソウもぼろぼろになってしまう。そもそも、地面はカチカチに凍って取れない。でも枯れてしまうわけではなく、春になると、再び伸びてくるのだが。

農業を始めた最初の頃、1月、2月にも野菜を出荷しようと頑張ったことがある。でも、よい物が取れないし、大変なので、やめてしまった。必要なら、ビニールや、いろんな資材を使うのはかまわないと思う。でも、その土地の気候にあまりに合わないことをするのは、なんだか、やっていて楽しくない気がします。

以前、冬の間、酒蔵で働かないかと誘われたことがある。夏、田んぼで働き、冬は酒蔵に入る。厳しくても風土にあった生活のように思え、心惹かれましたが、まる半年勤めなくてはならないので田んぼだけならまだしも、畑との両立はちょっと無理でした。

今は、冬の間はお休み、というか、いろいろ勉強する!ということになっている。シーズンオフの期間も、これまた、あっという間にすぎてしまうのだが。(か)

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福島へ野菜を

たくあん用に干した大根

前にも少し書きましたが、以前から福島のほうへ野菜を送りたいと考えていたところ、そういう組織があることを知り、9月から畑で余った野菜を届けています。このボランティアを主催されている方は教会の牧師さんで、野菜を集めたり、カンパを募集したり、受け入れ先に連絡したりされています。毎回彼に届け先を聞いて、その時にある野菜を箱詰めし、福島県内の教会や保育園などに送ります。そこから給食に出したり、お母さん方や仮設住宅の方に手渡されたりしているそうです。送料は寄付金でまかなわれているので、今までにうちから40箱以上送ることができました。

先日、その野菜を送った保育園から丁寧なお手紙をいただきました。子供たちの健康のことを考えると、とても不安な気持ちで毎日を過ごされていること。以前は園の関係者の畑でとれた、無農薬のおいしい野菜で給食を作っていたが、事故のあとは県外産のものを購入されていることなどが綴られていました。手紙の中に折り紙がいくつも入っていて、それを開けるとかわいい字で「みずながおいしかったです。いまおすもうにはまっています」といった園児たちのメッセージが書かれていました。給食を食べている園児たちの写真も入っていて、じんわり涙が出てきました。

原発を遠くの地方に押し付けて、今も快適に暮らしている自分も加害者かもしれない。危険を冒してまで手に入れなければいけない便利な暮らしって、いったい何なのでしょうか。どうか福島のすべての子供たちが、元気ですくすくと大きくなってください・・・と心から祈っています。(ひ)

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お米のはなし

   田んぼの向こうは八ヶ岳

田んぼの話になると、いつも、トンボやカエルの話ばかりしている気がします。いろんな生き物を観察するのはとっても楽しいのですが、たまには、お米自体のはなしを。

八ヶ岳のふもとに広がる我が富士見町の田んぼ。見渡すと、田んぼがずうっと八ヶ岳の裾野を登ってゆく。一番上は標高1300メートル以上か。

長野県の中でも高冷地といわれるこのあたりは、稲作りにも、いろんな苦労がある。今でも、冷害の年の被害は大きい。じいちゃんや、ばあちゃんたちは、本当に苦労して、工夫して、米を作ってきたはずだ。

保温折衷苗代がはじめて使われたのも、たしか隣の原村だったはず。

 そんな高冷地の米、昔は美味しくなかったと、よく母が言う。うちで作った米と、買った米と、家族の食いっぷりが、ぜんぜん違ったそうな。最近のお米は美味しくなったね、ともよく言う。うまいとかまずいとか、ぜいたくな話ですが、たしかに、味の違いはある。美味しくなったのは品種のおかげかもしれません。

ほそかわ農園では、ここ数年、ひとめぼれ、あきたこまち、ゆめしなのと毎年違う品種を作ってきました。多くの品種がそうですが、この3品種も、みんなコシヒカリの子供にあたり、いわば兄弟です。どのお米も美味しいです。ひとめぼれは、ここでは、晩生すぎ。

やはり、適した品種を無理なく作り、のびのび育ってもらったほうが美味しい米が出来るようだ。ゆめしなのは、ブランド米ではありませんが、あきたこまちより粘りがあり、わらを分解して土に返す全体のサイクルからみても、ここに適している気がします。しばらくゆめしなのを作ってみようかと思っています。

ぜひ一度、食べてみてください。(か)

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サラダ大好き

この秋はサラダ用の野菜をいろいろと作ってみました。昨年ルッコラ(ロケット)を作って食べたのが衝撃的で、サラダが大好きになってしまったのです。今菜っ葉の畑はグリーンと紫の美しいじゅうたんのようです。近くで見ても、細かい模様がとても素敵で、いつまでも見飽きない。まずはレタス、そしてゴマの風味のするルッコラ、レース状の切れ込みが美しい緑のカラシナと赤いカラシナ。赤いラディッシュもかわいくて、サラダの大切なアクセントになってくれます。 そんな野菜たちを見ているだけで、自然と心が和んで幸せな気分になれる。野菜は癒しの効果があるのかも。

今、わが家では毎日サラダが食卓に上ります。サラダは夏のイメージがありますが、葉物は暑さに弱く、やっぱり寒くなってからの方が断然おいしいです。生野菜は体を冷やすからいけないとか、ローフードなんて生のほうが酵素が壊されないから体にいいとか言いますけど、本当のところはどうなのでしょう。 私はただ美味しいから、ついたくさん食べてしまいます。

レストランのシェフは、ほんの少しずつ絵画のように美しく盛り付けしますよね。我が家は見た目より量、お皿の上が菜っ葉畑になったような、てんこ盛りのサラダです。大人はいろんな味のハーモニーを楽しめますが、子供たちはピリッとするルッコラやカラシナなどは苦手で、もっぱらレタスばかり食べています。(ひ)

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11月の田んぼと畑のようす

畑のようす

 暖かい日が続いています。今、秋野菜の最盛期で、畑はにぎやかです。この時期、暖かさが続くと、とってもうれしい。いろんな野菜を長くお届けできるから。今のうちにと欲張って、野菜セットも、つい盛りだくさんになりがちです。

でも来週あたりから寒くなりそう。もうすぐ立冬ですもんね。寒くなってゆくと、野菜の種類が減ってゆく。ブロッコリー、春菊、かぶ、など寒さに弱いものからなくなってしまう。そのぶん、小松菜や、ホウレンソウなどは、これから美味しくなります。

 畑では、これから、大根、人参、ネギを取らなくてはならない。野菜を囲うって言ってますが、通常の収穫と違い、凍ってしまわないように、全部畑から取ってしまい、土に埋めたり、ビニールハウスに伏せこんだりするのです。

12月はじめ頃、野沢菜を漬け込むまで、しばらく冬支度が続きます。

野菜セットは12月下旬までお届けしますのでよろしくお願いします。

 田んぼのようす

 田んぼのほうは、作業というのはもうほとんどありません。秋起こしがすんだら、あとは静かに来年の春を待つだけ。ひとつだけ・・・クログワイという草があります。他の雑草は、いろいろな努力により、減る方向にあるのですが、この草だけはうちの田んぼの一部で、ふえているのです。そこだけもう少し寒くなって、土が凍り始めた頃、もう一度トラクターで耕したい。球根を寒さに当ててやっつけるのだ。

 あとは冬の仕事ですが、土壌検査。土さえ採取しておけば、検査は冬行えばよい。昨年入手した土壌検査の道具だが、いまいち活用方法をマスターしていないので、みんなで講習会を行う予定です。

 それから、除草用の機械の改良をしたい。自作の除草機を、もらった古い田植え機に取り付ける。口で説明してもちょっとわかりにくいと思いますが、自分で作った道具が、すんごく役に立ってくれたりするのが、農業の面白いところ。まあスモールイズビューティフルというか規模にもよると思いますが。でも、かなりの大規模でも、いろんな技と工夫でオーガニックな農業を実現している人は多いのです。

そもそも、田んぼそのものが、とてもすぐれた、環境にやさしいシステムなのだと思います。日本の田んぼ、大切にしたいです。(か)

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ほそかわ農園の家族

研修生、ウーファーさん、みんな大切なうちの家族です

研修生、ウーファーさん、みんな大切なうちの家族です

畑仕事をすること以外にも、農業をやっていて良かったなと思うことがあります。それはいろんな人との出会いがあり、どんどんつながりが広がってゆくことです。私たちは人づきあいが苦手なので、自分からなかなか人の輪に入れないのですが、不思議といろんな人が向こうから来てくださるのです。有機農業は人を呼ぶ“打ち出の小槌”みたいなかんじです。

毎日通ってきてくれる研修生のTさんは、最初いろいろ迷いがあったみたいですが、今では一つ一つ農作業を覚えてとても頑張っています。彼が将来新規就農できるよう、できる限り応援してゆきたいです。また、ウーフ(宿泊と食事を交換に労働力を提供してもらうシステム)で手伝いに来てくれる国内外のウーファーさんたちも、頼もしい助っ人です。今年は海外から台湾の女性とアメリカの男性が来てくれました。台湾のエミリさん(ニックネーム)は、おしゃれでとても気がきく、日本が大好きな25歳のお姉さん。アメリカのカイヨーさんは18歳で、小さい頃日本に住んでいたため、日本語ぺらぺら和食が大好き。スポーツマンで礼儀正しい好青年です。国内のウーファーさんも皆、いろんなことにチャレンジしている素敵な人ばかりで、私たちも子供たちも大いに刺激を受けました。

そして、私たちの一番の支えになっているのが、野菜をお届けしている皆さんです。直接配達にうかがう方や、作業の日などに来てくださる方はまさに「顔の見える関係」。お会いしたことのない方も、メールや通信欄で「子供が野菜好きになりました。」とか「たよりを楽しみにしています。」とか書いてくださると、それだけで苦労が報われたというか、流通に出荷しているだけでは決して味わえない幸せです。もちろん要望・改善点等も、ほそかわ農園を良くしてゆくためとても大切ですので、これからもいろんなご意見をお寄せください。(ひ)

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10月下旬の畑のようす

畑のようす

うちは大豆の収穫したよ、と言われて、そういえばと大豆畑に行くと、すっかり枯れてちょうど取り時だ。いや、よく見るとすでにはじけている莢もある。大豆は、取り遅れると、カリカリになった莢が、ぱちんとはじけてねじれ、実をばらまいてしまう。あの莢は、種を遠くに飛ばすためのものでもあるんですね。

急きょ、大豆の収穫をすることにした。軽トラックの荷台にコンパネを立てて、刈った大豆の枝をどんどん積んでゆく。3~4畝くらいの面積なので、まあ、そんなに大した仕事ではないんです。軽トラがいっぱいになったら、ビニールハウスに運んで干す。畑でそのまま干してもいいのだが、うちは、稲の育苗に使うハウスが空いているので、いろいろ干すのに使っている。多種類の作物を作っていると、米、麦、豆類、玉ネギ、ニンニク、ゴマとか、一年中、実にいろいろ干すものがあるんですよ。

とりあえずハウスに持ち込んだら今日は終了。後は、よく乾いたら、足踏み脱穀機か棒でたたいて脱穀、手回しの唐箕で選別と、大豆に関しては、うちでは、ぜんぜん機械化されてないので、えんえん手作業が続く。面倒くさいと思うが、でも大豆作りはやめられない。

こうして収穫した大豆は、味噌と、自家用の醤油になる。たまに豆腐を作る。納豆はなかなかうまくいかないが・・・。

5畝~1反の田んぼ、2~3畝の大豆、同じくらいの野菜畑があれば、一家族が生きてゆける。それに自給分程度の大豆を作るのはぜんぜん難しくないんです。それにしても、日本の大豆の自給率は低すぎるな。大豆ってほんと日本人の食事の基本なのに。皆さんもどうですか、大豆作り。

畑では、秋野菜が最盛期をむかえています。ブロッコリー、キャベツ、小松菜、水菜、チンゲンサイ、山東菜など、アブラナ科の野菜をあれこれ届けします。今年初めて作ったものもあります。また、ご感想を聞かせてください。(か)

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これからするべきことは何だろう?

今年は地震、台風と災害の多い年になりました。まだまだ不自由な生活をされている方がたくさんおられることを考えると、これから寒さに向かうのがとても心配です。 

原発の事故があってから、「放射能の影響の少ない野菜が食べたい」というお客様からの問い合わせが増えました。私たちはもちろん原発反対の立場にあるので、事故のせいで注文が増えるというのは、正直言って複雑な心境です。もちろん注文が増えても、収穫量が増えるわけではないのでお断りすることもあったのですが。福島の方からも何件も注文をいただいていて、それでうちが利益を得ることも、何だか申し訳ない気がしています。

ここ富士見町はたまたま運が良かっただけで、風向きが違っていたらもっと汚染されていたかもしれない。そうしたら、同じように丹精込めて作った野菜が見向きもされなくなる・・・、それって誰が責任を取ってくれるのでしょう。この事故は明らかに人災なので、東北や関東の農家の方や福島に住んでいる方たちを、単に「気の毒だ」ですましてはいけないと思うんです。こうなってしまったのは自分たちにも責任があるわけだし、もっと国や東電に怒りをぶつけるべきだと思う。ただ産地を選んでいたのでは、日本の農業・漁業はだめになってしまいます。

その一方で子供を持つ親の立場としては、放射能汚染の可能性がある物は食べさせたくない、という気持ちもあります。自分自身どうすればよいのかわからないくせに、偉そうなことを言ってすみません。被災地へ行って支援をすることはできないので、福島の子供たちに汚染の少ない野菜を食べてもらおうと、少しですが野菜を届けることをはじめました。そして日本中の原発が廃炉になるように、運動を続けてゆきたい。また、こうして家族が健康で過ごせること、農業を続けられること、自然のめぐみに感謝して、1日1日を丁寧に過ごそうと思っています。

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10月上旬の田んぼと畑のようす

 田んぼのようす 

  

 稲刈りが終わった。まだハゼにかけて干している田もあるが、8割は土蔵の貯蔵庫におさまった。今年の米は、あまり良い出来ではありませんでした。近所のお百姓さんも、みんないまいちだと言っています。刈ってみると見た目よりどうも取れないそうです。ここは、高冷地なので、作柄が、やや不良の時は、かなり不良となりやすい。こういうときこそ、有機稲作。有機は出来が悪い年にこそ威力を発揮するといわれていますが、・・・残念ながらそうは行きませんでした。うちの田んぼもいまいちでした。 

今年は育苗方法を変え、機械も変えてで手一杯で、管理が行き届かなかったということにしておきたいと思います。稲作りは、1年に1回。10年でも10回・・・まだまだのようです。  

稲刈りが早く終わったので、わらも早くすきこめた。まだ稲刈りが終わったばかりですが、何だか来年は、根拠はないですが、とてもうまくゆきそうな気がしています。 

 先日、新米をいただきました。私は、お米の味があまり識別できないのですが、毎年、新米だけは、はプチプチしていて美味しいなと思います。 

  畑のようす 

 先日、最後の、小松菜、冬菜の種をまいた。これで、今年の種まきはすべておしまい。今、畑に点線のように小さな芽を出したところ。じっくり育って、12月にはおいしい菜っ葉になってくれるはず。 

後は、ニンニクを植えタマネギを植える。ニンニクは1個を手で6~7個に割り、りん片一個ずつを植える。少し植えるのが遅れてしまったが、寒さには強いのでまあ大丈夫。 

タマネギは8月下旬に種をまき、鉛筆ほどに育った苗を植えるのだが、こちらは枯れないようにいろいろ注意が必要だ。まずは良い苗が不可欠だが、タマネギの苗作りは、これがなかなか難しい。畑には、入念にマルチを張り、しっかり押さえて植えつける。うねの北側は、できれば少し高くして、北風を防ぎたい。だいたい、この辺は、タマネギには寒すぎる。こんな小さな苗がマイナス15度の寒さに耐えられることのほうが、むしろ驚きだ。(か) 

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