2010年9月

ばっかり食

お百姓をしていて一番の特権は、とれたての野菜をたくさん食べられること。夏の太陽をぎゅっと閉じ込めたようなトマト、土の香りのするニンジン、寒さにあたって糖分をたっぷり蓄えたホウレンソウ。旬の野菜だからこそ味わえるぜいたくだ。しかし裏を返せば、その時期は毎日同じ野菜しかとれないので、毎食同じ野菜を食べ続けることでもある。今は傷のあるトマトとバナナピーマンがどっさりあるので、早く使っちゃうか保存してしまわないと・・・と焦っています。
 同じ野菜をいかにして家族に飽きずに食べてもらうか。悩むところでもあり、料理の工夫のしがいのあるところでもある。例えば「ピーマン、なす、トマト、ズッキーニがあるのでラタトゥィユが作れる!」とか「傷みかけたかぼちゃがあるから、何か子供のおやつは作れないかな?」などとパズルを解くみたいに考えるのは楽しい。料理本をながめながら、次はこれを作ってみようかなーと思索にふけるのもまた楽しい。
 ここで、久しぶりにおすすめの料理本を紹介します。

“ゆるベジ流 万能やさい炒めで53品!あな吉さんの「つかいまわし」レシピ”

浅倉ユキ著 主婦の友社 本体1500円

浅倉さんの発想の豊かさには本当に感心します。“肉・魚・卵・砂糖・だしを使わない”というと、かなり限られた料理しか作れないと普通は思いますよね。でも、彼女にかかれば和・洋・中からエスニックまで何でもおいしく、しかも簡単に作れてしまう。うちは子供がアレルギーで卵と乳製品が食べられないので、チーズや卵のコピー料理は子供たちに大好評です。さて、この本は家にある野菜なんでもを「やさい炒め」にし、これを「おかずのもと」としてあらゆる料理に展開してゆくという画期的なものです。わが家のように「野菜がどっさり余っている」「料理がワンパターンで困っている」という人にはぴったり。ここではうまく説明できないので、興味を持たれた方はぜひ本屋さんで手にとってみてください。
 私にとって、旬の野菜を楽しく料理して、おいしくいただいて、家族が元気になれたら、それだけで他に何もいらないと思えるくらい幸せです。(ひ)

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田んぼに草がいっぱい

田んぼの稲の葉が、何とも言えないきれいな黄金色になってきました。黄金色の時期を過ぎると、今度はだんだん枯葉色になってゆきます。きれいな黄金色のうちが稲刈りの適期なのです。それと稲の穂のもみの色の具合をみて、刈り取りの判断をします。いよいよ稲刈りの季節になりました。隣の田んぼを作っているSさん(70代、ベテラン農家)は、今年のもみはあんまりでかくは  ねえと言っていました。去年のに比べてということです。私が見ても、ぜんぜんわかりません。去年のが目の前になくては、比べようがないです。こういう方の頭には、稲の基準の姿がしっかりとインプットされているんでしょうね。もちろん、今年は、稲のできは良いのですが、暑ければ暑いほど良いというわけでもないのでしょうか。上の稲の写真に稲ではない植物が写っていますが、お分かりになるでしょうか。小さいつぶがたくさんついたのが、ヒメミソハギ、もうひとつがタマガヤツリという草・・・要するに水田雑草です。今年は、田んぼに、この2種類の草と、ヒエがたくさん生えてしまいました。特にこの田んぼは、草だらけ。これらの草はみんな、田んぼに、水が十分にあれば生えない草なのですが、今年は、いろんな事情により稲の初期生育が悪く、やむを得ず早くから水を抜いたため、こんなことになってしまった・・・。草が生えたぶんお米の収量は減ってしまいます。品質には影響はないのですが、遠くからでも、草だらけなのが目立ってちょっと恥ずかしいです。(か)

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おいしい料理との出会い

 山梨県の大泉に「ごぱん」という、マクロビオティックのレストランがある。そこで出されるお料理や販売しているパンは、厳選した材料でとても丁寧に作られているので、すごくおいしい。そのお店のKさんからお料理教室の案内をいただき、先日参加してきました。講師は穀物菜食料理の第一人者である大森一慧先生。6人のお子さんを育てられ、たくさんの難病の人を食事と手当て法で救ってきたすごい方らしい。実際お会いすると小柄な方で抱いていたイメージとは少し違っていたが、気さくで大らかな人柄がとても素敵でした。
 その日はサツマイモの餡にかぼちゃの皮で作る田舎まんじゅうをメインに教わった。まず、蒸したかぼちゃを少しずつ取り、裏ごしする。次にその中に粉を少しずつ、こねないようにへらで切り混ぜてゆく。そして、ひとまとめにして分割したものを、薄くのばしてさつまいもの餡に包み込んでゆく。先生の年季の入った手つきにほれぼれと見とれてしまう。一つ一つの工程がとても丁寧で、心がこもっているというか、料理に気が入ってゆく感じなのだ。
 その蒸しあがったおまんじゅうを一口食べると、体の中から「あーおいしい」ってわき上がってくるような幸福感。砂糖を使わないので、かぼちゃとサツマイモ自体の甘さが引き立って、何ともいえない優しいおいしさだった。他にもKさんが作られたゴーヤチャンプルーや野菜スープも、食べると指先まで血の巡りが良くなるような、元気がわいてくるおいしいお料理でした。
 偉そうなこと言うようですが、料理のおいしさって、素材の良さが7割を占め、後の2割はその素材の良さを最大限生かせるかどうか、最後の1割は作り手の心によって決まる、と勝手に私は思っている。例えば、お肉や砂糖やだしの素などをどばっと入れると、素材の繊細なおいしさはわからなくなってしまう。また、いらいらした気分の時や、時間がなくて焦って料理すると、味がうまく決まらなかったりしますよね。大地のめぐみに感謝し、丁寧に心を込めて料理することを、あらためて教わった貴重な1日でした。あわただしい時でもおろそかにしないように気をつけたいです。

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オクラ

アフリカ原産。暑ければ、暑いほど元気に育ちます。

関東平野の真ん中で、研修をしていた時、夏も盛りになると、毎日きれいな花を咲かせ、実をつけ、すくすくと伸び、あっという間に背の高さを超えてゆくオクラの姿が印象的でした。また、素手でオクラを収穫していると、少し時間がたってから、猛烈にかゆくなったのを思い出します。

自分で農園を始め、長野の高冷地で、オクラを作ってみると、これがうまくできない。初期生育が悪く、すぐにアブラムシが、びっしりつくのです。本当に、寒いのが嫌いな野菜です。それでも家族みんながオクラ好きなので、毎年植えるのですが、ろくに収穫できませんでした。ところが今年はけっこう良くできました。そうです、30年に一度というこの暑さのせいです。今、もうじき背の高さに並ぼうとしています。とはいえ、植えた数が少ないので、量はそんなに取れません。よし、来年は、たくさん植えるぞ・・・。来年は、どんな夏になるんでしょうか。うってかわって冷夏になったりして・・・。

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雑穀を育てる・・・その後

6月に雑穀の苗の定植直後の様子をご紹介してから、ずい分と間があいてしまいました。
おかげさまで、順調にすくすくと育っています。

まず、アマランサス。ケイトウの仲間だそうで、鮮やかな赤色が美しい。この実が食べられるなんてちょっと不思議な気がする。穂を握って手に種がついたら収穫時。種がものすごく細かいため、収穫・乾燥はごみが混じらぬよう、とても気を使う。

次は黒小豆。8月はじめころ黄色い小さな花をいくつもつける。

そして8月下旬、さやが黒くなってきたので収穫して、今ハウスの中で干している。

お次はごま。8月上旬、ピンクのとってもかわいい花が咲く。野菜の花って意外ときれいなのが多いんですよ。

8月下旬、ひとつの木にずらずらと実がつく。一番下の実がはじけたら、大急ぎで刈り取らなくてはいけません。次々とはじけて地面にこぼれてしまうから。

最後はタカキビ、その名のとおり高さは2メートル以上。実は赤くて丸く、お米より大きい。

実は、雑穀はここからが大変なんです。収穫、乾燥、脱穀、選別、すべて手作業で、ホコリはすごいし時間もかかる。それだけに、できあがったものは、とてもいとおしく、1粒たりとも無駄にはできない。

また、その後の様子も紹介したいです。(ひ)

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