2007年8月

違いのわかる味覚

cimg2551.jpg○ヒトの味覚って、子供のころにほぼ決まってしまうのでしょうか。それとも、大人になっても日々のトレーニングで敏感になるのでしょうか。夫は収穫する時は必ず、畑で野菜を生でかじって味を確める。あまりおいしくない場合は、出荷を見合わせることもある。だけど私が同じようにかじってみても、味の微妙な違いがいまいちわからないことが多い。
○前回ご紹介した、わが家で野菜作りを勉強されている櫻子さんが今月も4日間お見えになった。今回はうちで泊まられたので、3食助手をしながらお料理を教えていただいた。全く同じ食材を使っているのに、いつもよりおいしい。子供たちも、ほとんどお肉なしの野菜料理なのに、「櫻子さんのお料理はみんなおいしい!」と言ってぱくぱく食べる。たしかに、どれも体の中からじんわり伝わるやさしい味。きっと年期のはいった手から出てくるパワーと愛情が、お料理に伝わるのでしょうね。前の日の残り物だって、ひと手間かけて新たな一品にされるところも心憎い。
○お料理の最後に味見して、「んーここに味噌を加えて味にコクを出しましょう」とか、「醤油をちょっと焦がして香りを出しましょう」とか、「ちょっと酢を入れるといいんじゃない」などと言って味をぴたっと決める。料理は大好きだけど、悲しいかな味音痴の私はその微妙な味加減がよくわからない。「毎日やってると、だんだんわかってくるわよ」とは言われましたが…。野菜はその時々によって味がみんな違うし、調味料もメーカーによって違う。料理本のとおりに作っても「ん?」って思うことがあるのは、そのせいなのかもしれない。それぞれの素材の良さを最大限に生かす、本だけではわからないことをいろいろと学ばせていただき、とても勉強になった4日間でした。

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田畑の仲間たち

cimg2472.jpg○昔から言い伝えられている生物暦がある。カッコウが鳴いたら豆(大豆)を播けとか、ノダフジが咲いたらもう絶対遅霜はこないとか、うちのばあちゃんも、そんなような事を言っていました。百姓の仕事は、一言で言えば、その季節にあった種を次々と播くこと。だから、梅が咲くから始まり初雪に至る自然のリズムと、生活のリズムがぴったりと重なってくる。
○例えば土手に咲くなにげない野の花。カンゾウ、アヤメ、アザミ、アマドコロ、ツユクサ、トラノオ、ナツズイセン。毎年同じ所に出てきてくれるので、ああ今年も咲いてくれたなとうれしくなる。ていねいに土手の草を刈りながら、花だけをのこしてゆくと、なんだか気分がよい。これが仕事におわれて慌てていると、ついばっさり切ってしまうこともある。今年は、アヤメがずい分増えて、畑にゆくたびに楽しませてくれた。ヒルガオやカラスノエンドウ、クズの花なんかもけっこうきれい、私は好きです。でもこいつらは草刈の時には、ばっさり刈ってしまいます。
○借りている田んぼの土手の3か所に、毎年スイセンが咲く。これは、以前この田んぼを作っていたおばあさんが植えたものなのだが、田んぼを4等分する位置に植えてある。春先、ちょうど肥料をまく時分に黄色い花を咲かせ、むらなく撒くための目印になってくれるのだそうだ。花もきれいだし、なかなか優雅な知恵ですね。
○田んぼや畑には、あまり歓迎したくないお客もやって来る。タヌキやイノシシ、とくに近頃シカが増えた。昼間から堂々と目の前に現れる。夜は畑中歩き回っておいしそうなものを探す。困ったものです。とはいえ、私にとって、田んぼや畑で仕事をする楽しみの何割かは、花や虫や野鳥や動物たち、作物以外のいろんな生き物と出会うことなのだ。

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