2007年

今年もお世話になりました

cimg2842.jpgほんとうに、1年間ありがとうございました。
 1年の半分近くお休みになってしまうというのは、たいへん都合の悪い話で、野菜を食べてくださるみなさまにも、ご迷惑をおかけするのですが、なにせ当地は、冬の寒さがきびしく、野菜の生産がむずかしいのです。どうぞご了承ください。
 わが家としても、これから約半年間、収入がゼロになってしまうわけです。たいへん都合が悪いです。新年明けて、1月、2月は、ほぼ丸々自由な時間です。やろうと思えば、何でもできそうなのですが、収入がゼロでは、なんだか、遊びまわるのもはばかられます。いっそクマみたいに冬眠でもできたらよいのですが…
 さて来年は、ほそかわ農園として、農業を始めて、13年目になります。
試行錯誤の連続で、毎年、なにやら失敗を重ねつつ、よくやってきたなあと思います。
それも、けっして便利とはいえない、うちの野菜を食べてくださる皆様のおかげです。
それから、支えてくれる家族のおかげです。感謝です。
  そして、あらためて思うのは、環境にやさしい技術ほど、使い方がむずかしいということです。
 畑の草を、何とか手なずけながら、土を育てること。その土に作物を育ててもらうこと。畑から収穫をいただきつつ、なんとかバランスをとること。それには想像以上に、精密な技術が必要なのですが、これまでやってきて、ひとつはっきりとしたことがあります。それは、この先の10年も、毎年、確実に進歩してゆけるということです。その方法が、やっと少しずつ見えてきたところです。もっとおいしい野菜がつくれます。もっと力強いお米が作れます。そして、もっと楽しくなるはず。来年も、ぜひおつきあいください。

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お弁当づくり

cimg0221.jpg○小2の息子は2月期から給食をやめて、お弁当を持って行っている。今まで、卵と乳製品を除去して給食を作っていただいていたのだが、皮膚の状態が良くなく、精神的にも落ち着かなかったこともあって決断した。もしかしたら、添加物や小麦のポストハーベストなんかも影響しているのかもしれない。お弁当のおかげで、肌はほぼきれいになり、授業中もとても落ち着いてきたそうだ。
 最初、給食大好きな息子にお弁当を持たすのはかわいそうかな、とかなり迷いがあった。荷物は重くなるし、私の作るお弁当は汁物なし、ご飯の占める割合が高くて、見た目も地味。それなのに、毎日息子が帰ってくると真っ先に空のお弁当を出しながら、「お母さん、お弁当おいしかった〜」と言ってくれる。そう言ってもらうと、本当にうれしくて作り甲斐がある。他の子の食べ物をうらやましがらず、与えられたもので満足しているのがありがたい。
○わが家のご飯は五分づき米に自家製の丸麦を1割くらい混ぜて炊く。丸麦のぷちぷち感が何ともおいしいごはん。玄米ご飯にも挑戦したいが、子供たちが十分に噛めていないからまだできないでいる。特に息子は、せわしなくご飯をかき込んで丸呑みするのだ。毎日「ご飯がお口の中でおかゆになるまで、ゆっくりよく噛むんだよ」と、しつこく言い続けている。顔を見合わせて一緒にもぐもぐとやっているうち、最近少しは噛めるようになってきた。息子のおかげで私と夫も、気ぜわしい時でもゆっくりよく噛んで食べられるようになった。今までご飯って、おかずの合間に食べる緩衝材のようなものと思っていたが、口の中でじんわりと広がる穀物のおいしさにに気がついた。
 「玄米をよく噛んで食べると甘みが出るので、甘いものがほしくなくなる」と聞いたことがあるが、はたして本当だろうか。甘いものがやめられなくて困っているので、実行してみようかな。

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田んぼの生き物

cimg2663.jpg○うちのキャベツ畑は、自慢じゃないが、いろんな生き物がいる。青虫、ヨトウムシ、コナガ…(汗)、アマガエル、クモの仲間、イトトンボ、カマキリ、それからなぜかトノサマガエルが多い。
 しかし、田んぼの生物の多様さは、畑とは比較にならない。水があるだけでこんなにも多くの生き物が生まれてくるなんて、驚きだ。春、数え切れないオタマジャクシが泳ぎ回り、手足がはえて今度は無数の小さな子ガエルが跳ね回る。わらわらとわきかえるミジンコ、それが他の生物のエサになってゆくのだろう。ある朝、いっせいに稲によじ登るヤゴ、そして羽化し飛び立つトンボ。やがて稲刈りが終わると、お尻から出した糸を風に乗せて、次々と空に飛び立ってゆく無数の小さなクモ。
 田舎で生まれ育った私にとって、田んぼなんてありふれた光景だった。自分で田んぼを作るまで、こんな驚異の世界があろうとは、まったく知らなかった。そして十年たった今でも、毎年、新たな発見に驚かされ、子供といっしょに、あぜ道にしゃがみこんでは、田んぼをのぞきこんでいるのだ。
○今、農家と農業をとりまく状況は、厳しい。
私はまがりなりにも専業農家だが、周りの田んぼは皆、兼業だ。お勤めにいって、土日に作業しておられる。休日のほとんどとまではいかなくても、かなりを費やすことになる。自分の田の仕事の他に、ため池や水路の草刈、整備、農道の普請など共同の作業もある。
お米を買ったほうが安いとみんな言っているが、おそらくそのとうりだろう。ほとんどボランティアだ。当然、毎年休耕田が増えていく。
 世界には、満足に食べられない人々もいるのに、自国の農地を遊ばせ、食糧を輸入する。こんなことが続けられるのだろうか。そんな思いは年々強くなる。
しかし、わたしが毎年田んぼを作る理由は、使命感でもなんでもなく、実はなにより、とっても楽しいからなのだ。

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ひじきれんこん

○またまた今回も櫻子さんのお話。彼女はうちに野菜作りを学びに来られているのだが、私のほうが料理や健康、生き方のヒントまでいろんな事を教わっている。ありがたい師匠です。先日うちに見えたとき、ひじきれんこんの作り方を教えていただいた。ひじきれんこんはマクロビオティックの基本料理のひとつで、わが家で収穫した野菜は入っていないですが、ご参考までに。
★まず、ひじき(長ひじきのほうが栄養が高い)を水に浸して戻す。ざるにあげて、適当な長さに切る。戻し汁は取っておく。れんこんは薄いいちょう切りにする。フライパンにごま油を入れてよく熱しておく(そうするとれんこんがくっつかない)。れんこんを入れてよく炒める。ひじきも入れて炒め、ひじきの戻し汁を入れて、時々かき混ぜながら煮る。戻し汁の1/4〜1/5の醤油(※)を外側かららせんを描くように回しいれる。蓋をしてしばらく煮たあと、蓋を取って混ぜながら煮汁が完全になくなるまで水分を飛ばす。(※戻し汁200ccなら醤油は40〜50cc)
○食養の料理を作るのは精神修養と同じで、常に食材に感謝し、ひとつひとつの工程をていねいにていねいに作らなくてはいけない。ひじきとれんこん、それぞれすべての細胞に醤油を染み込ませるために、じっくりと時間をかけて煮ることが大切。そうすると、醤油がたくさん入っているのに、しょっぱさをあまり感じないまろやかな塩加減で、体にやさしいおいしさとなる。ひじきれんこんは、緩んだ体を締める働きがあり、寒さに向かう今の季節に食べると良いのだそうです。面白いことに、陰性体質の私と息子はとてもおいしくてたくさんいただいたが、陽性体質の夫と娘はあまり食べなかった。そして食べた後、手や足の先がじーんと暖かく感じ、お風呂から上がって時間がたっても不思議と足が冷えなくて気持ちがいい。食べ物が持っている力ってすごい!と感じました。
○次の日、忘れないようひとりで作ってみる。心がこもっていなかったせいか、煮る時間をはしょってしまったせいか、かたくてしょっぱいひじきれんこんになってしまった。料理に時間をかけるのが惜しい、と思っている自分に気づく。まだまだ精神修養が足りません。恐るべし、ひじきれんこん。

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つまみ菜・まびき菜

cimg1746.jpg菜っ葉類の種を多くまきすぎて、込み合っている時は、まびかなくてはいけません。あんまり込み合っていると、ひょろひょろになり、病気などにもかかりやすくなってしまうのです。適度な間隔をあける為に、所々抜いたものが、まびき菜、ごく小さいのを、つまみ菜とよんでいます。
まびく作業も大変なので、種をまき過ぎないようにしたいものなのですが、芽が出なかったらもっと困るので、雨が少ない時とか、状況によっては多めにまくのです。すると今度は雨がたっぷりと降ってくださって、びっしり芽が出るとか、そんなこともよくあります。
 しかしまあ、春とか秋、最初にいただくまびき菜はおいしいものです。
 葉物類は、たいてい数日おきに何回も種をまくのでまだよいのですが、大根や人参などは、芽が出ないと大変困るので、最初から多めに種をまいてまびきながら育てます。まびいたものが、葉大根や葉人参です。

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夏から秋へ

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○ 夏が終わってゆく。 9月は、畑が夏から秋へと変わってゆくときだ。中旬過ぎから、夏野菜が、ひとつずつ野菜セットから消えてゆく。ちょっとさみしい。
 キュウリのツルが枯れあがり、もう新しい実はつかないようだ。インゲンもおしまい。取り残した豆は、実が入るまでまってからよく干して、乾豆としていただく。トマトも赤くなるスピードが真夏よりぐっと遅くなる。色も心なしか薄いようだ。なす、ピーマンはもう少しがんばってくれるが、皮や、中の種がかたくなってくるので小さめで収穫する。
 「終わり初物」という言葉を聞いたことがある。これでもう来年まで無いという最後の野菜は、盛りのころより多少味がおちていても、貴重な物に感じられる。そんな意味の言葉でしょうか。それにしてもトマトやキュウリ、ひたすら沢山いただきました。ばっかり食というより、ただの食べすぎかも。
 かわって、これから出てくるのは秋野菜。この時期、夏から秋へのバトンタッチがうまくゆかず、野菜セットの品数をそろえるのに四苦八苦することもあるのですが…
まずは、まびき菜から始まる葉物類。毎年のことながら、秋一番の菜っ葉のおひたしや、みそ汁などをいただくと、なにかこうしみじみとおいしい。胃のあたりにたまった夏の疲れが癒されるようだ。
 それから、さつまいも、ねぎ、大根、かぶ、ブロッコリー、キャベツ。ああ、おいしそう…。10月半ばくらいからは、秋野菜の最盛期になります。

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エコライフ

cimg2199.jpg○地球の温暖化などで、これからますます暮らしにくい世の中になるといわれている。今の子供たちが大人になる頃はいったいどうなっているのだろう…時々ばく然とした不安に襲われる。個人の力ではどうにもならないかもしれないが、自分たちでできることはないだろうか。そこで、昨年地域の有志で「わいわいエコライフの会」というのを立ち上げ、自分も仲間に入れてもらった。今まで、生ゴミを出さないマクロビオティックお料理教室、あったか靴下の手編み教室、家庭でのゴミダイエット実験、天ぷら油リサイクルの見学などの活動をしてきました。会のメンバーは、小さな子供をお持ちのお母さんが中心で、同じ気持ちを持った方々に出会えたことがうれしく、とても心強い。
○その会で昨年、「家庭でできる生ゴミ堆肥」の見学会があった。“生ゴミ食いしん坊”という堆肥化微生物資材を開発された宮坂さんという方の事務所で、実際生ゴミを堆肥化しているところを見せていただいた。その黒い土のような“食いしん坊”をコンポストに入れて、生ゴミと混ぜるだけであーら不思議、匂いはほとんどなく、上質の堆肥になってくれるという。また、ビニールハウス内で同じように堆肥化すると、太陽熱で冬でも生ゴミを分解してくれるそうだ。
○わが家では今まで家庭の生ゴミは、コンポストの中にただドサッと入れて蓋をしただけだったので、すさまじい悪臭に悩まされていた。早速今年の春、庭の隅に2坪くらいの生ゴミ堆肥用のミニハウスを作った。その中に“食いしん坊”と生ゴミ、米ぬか、モミガラなどを入れて混ぜる。何日かすると醗酵熱でほかほか湯気がでてきて、触るとじんわり温かい。生ゴミたちが気持ちよく土に返ってゆくのが実感できる。水分調整が少し難しいが、醗酵するものを扱うのは生き物を育てているようで楽しい。
○もし、日本中の生ゴミが焼却されずに堆肥となって畑に戻され、循環し続ければすばらしいのにな。いくつかの自治体では、すでにそういう取り組みをしているそうです。

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サツマイモ

cimg1343.jpgサツマイモといえば、暖かいところが産地ですね。ここは標高1000mの高冷地。この辺じゃうまいサツマイモはできないよと言われ、そういうものかと最初のころは作っていませんでした。ところがあるとき、近所のおばあさんに自家製の干芋をもらい、そのおいしさにびっくり。これはぜひ作らなくては、となったのです。
 たしかに、高冷地ゆえ栽培できる期間が限定されます。6月1週めに苗を植えるのですが、これより早いと寒すぎるし、遅いと大きくならない。そして、10月半ば前には、全部掘らなくてはならない。霜に当てるのは禁物なのだ。こんな条件ゆえ、収量は、おそらく暖かい地方とは勝負にならないだろうが、味はけっこういけます。
 サツマイモは、掘り取ってすぐよりも、しばらく貯蔵しておくと、糖化酵素が働いてデンプンが糖化し、甘味が増します。特にこの辺は寒いせいか、甘くなるのが早いようです。ただ、そのぶん冬中保存するのはむずかしいのですが。11,12月のサツマイモ、ネットリとして甘くて最高です。

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苗半作

今年、トマトの苗作りで失敗をした。育苗箱に種を播き、ひと月位育ててから、ポリポットに鉢上げし、さらにひと月ほどして畑に定植するのだが、このポットのサイズを小さくした。直径10.5cmのものを9cmにした。ちょっとの差のようだが、実は、入る土の量は3割少なくなる。そう、土を節約しようとしたのだ。土と言うのは、落ち葉を集めて作る自家製の腐葉土だ。落ち葉集めも楽じゃない、節約できればいいんじゃないのと思ったのだが…。
 結果、土に混ぜる肥料が少なめだった事もあり、苗がちっとも大きくならなかった。小さいまんま老化し、畑に植えたときの痛みがはげしかった。元肥のチッソ分を少なめにしたのも良くなかった。そして、それが直接の原因ではないのだが、えき病という病気が、みごとに蔓延した。その割にはがんばって実をつけてくれたのだが、やはり出荷できないトマトがとっても多かったのだ。
 教訓、手を抜いてはいけない。9cmポットでは絶対ダメということではないのだが。それからあらためて、苗半作。苗の大事さだ。  
 9月になって真夏の忙しさもやや落ち着いて、前半戦の反省です。毎年のことですが、なかなか反省点は限りなくある。
 トウモロコシや枝豆は、もう少し上手にできないかと思う。特にトウモロコシは、どちらかというと丈夫な野菜なので、今まであまり気をつけて育ててあげなかった。堆肥や緑肥の大事さもあらためて感じた。
 農業は十年やっても10回の経験しかできない。まだまだ修行中といったところです。

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川で泳ぐ

cimg2563.jpg○うちの息子が通う小学校の夏休みは7/27〜8/20までの25日間しかない。夏にゆっくり遊びに連れて行ってあげられないわが家にとっては、かわいそうだが短いほうがありがたい。せめて、近場でいいところは…と、車で約30分の北杜市白州町の尾白川(おじらがわ)という川へ、お弁当を持って泳ぎに行ってきました。夫は子供のころ、近くの川で魚を手づかみして取っていたらしいが、私と子供たちにとって川泳ぎは生まれて初めての体験だ。
○南アルプスを流れる尾白川上流は、澄みわたってまさにエメラルドグリーンの美しさ。普段はひっそりとした山の中の“秘境”なのだろうが、猛暑のお盆だけあって涼を求める観光客でいっぱい。少し上には大きな滝があって、高い岩の上から滝壷に飛び込んでいる若者たちもいた。気温は30度を超えるというのに、足をつけてみると水はかなり冷たい。まず、ゴツゴツした石や、つるつるした苔の生えた石の上を裸足で歩くことがすごく大変。足の裏は痛いし、足をとられて何度も転びそうになる。靴で守られてきた自分の足が、いかにひ弱かを思い知らされる。時々裸足で歩いて刺激を与え、足の裏からもいろんな情報を得ることが大事なんじゃないか…とふと思った。また川はプールと違って、流れの緩やかなところと早いところ、浅いところと深いところがあり、変化に富んでいるのも楽しい。わんぱくな4歳の娘はお父さんと一緒に深いところまで行き、ゴーグルをつけてお魚見たりして、いつまでも大はしゃぎ。一方、息子と私は少し気後れして、さっさと河辺で砂遊びしたり、大きな岩によじ登って体を暖めたりしてました。
○大阪で生まれ育った私にとって、山の中の川遊びはとても新鮮な体験でした。常に子供たちから目を離すことはできないが、彼らにとっても自然の楽しさと危険性を直に感じることができたことと思う。これからは時々裸足で土の上を歩いてみようかな。

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