2006年7月

自然から学ぶこと

先日「でばらい」があった。村の皆が集まって、区で所有する共有財産の山林などの手入れをするのだ。林に分け入りカマをふるって下草ややぶを刈る。ひと休みして周りを見回していると、周り中いろんな植物にかこまれているのだが、その名前がほとんどわからないということに気がついた。百姓という職業がら、畑にある野菜はだいたいわかる(あたりまえか)。畑や田んぼの草、いわゆる雑草もだいぶ名前をおぼえた。しかし、林の中に来るとほとんどわからない。これがサワラだと言われても、ヒノキとどこがちがうのか…。まして、雑木や草、シダなどさっぱりだ。 

一般に、年かさの人ほど植物に詳しいように思う。とくに農村で生活してきた人ほど知識が豊富だ。木や草の名前、性質、利用方法などを熟知している。かつて、自然とともに生活してゆく上で必要な知恵だったのだろう。野生のニホンザルは、森の中で百種類以上の植物を食べて生活しているそうだが、そのうち約3割が和漢薬のもととなる植物だそうだ。植物にかんする知識は、どう見てもサルのほうが、私より上のようだ。反省。そんな私でも、百姓を始めて10年、必要にせまられて少しずつ植物が識別できるようになってはきた。ひとつずつ植物の名前をおぼえてゆくと、ほんの少しずつ、なにか生活が変わってゆくような気がするのだ。

写真:味噌蔵
右側は去年の春仕込んだ味噌の樽。左は今年の味噌樽。左手前は今年春仕込んだ醤油の樽。醤油は仕込んでから毎日かき混ぜ、そのあと絞る作業もあり、味噌よりかなり手間がかる。

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