2005年10月

「もったいない」は農業のキーワード?

10月にはいると、もはや畑に種まきするものはない。あ、「ライ麦」というのがある。これはライ麦を食べるためのものではなく、越冬緑肥としてまくものだ。ライ麦は緑肥として使う作物の中で、最も寒さに強い。寒さに耐えて少しずつ育ち、冬から春先の弱い太陽の光を、緑の葉っぱや根っことして有機物にかえてくれる。太陽の光をムダなく肥料にかえてくれるのだ。それから根っこが土をフカフカしっとりにしてくれるし(団粒化といいます)、土中の微生物のエサになったりして生物性を豊かにしてくれる。また冬の強い北風で、表土が吹き飛ばされるのを防いでくれる。畑が裸になっているとかなりの量の土が飛ばされてしまうらしい。おまけにライ麦やエン麦はアレロパシーという作用が強く、次作の雑草をかなり抑えてくれるのだ。ほんとにいいことばかりだ。
つねづね「もったいない」、あるいは「けち」という言葉は、農業のキーワードだと思っている。自分で作った食べ物は大切にいただくようになる。「ご飯はひとつぶなしに食えよう」というばあちゃんのコトバをよく思い出す。また野菜くずや残さも堆肥となり、すべてまた土にかえってゆく。そしてこの「もったいない病」は、なぜか次第に進行してゆく。なるべくムダなエネルギーや、物や、ついでにお金も使わないようにと、農業を続けるほど、何だかより「けち」になってゆくようなのだ。とにかく、冬にまわりが全部土色の中で、うちの畑だけ元気に緑色をしているのを見る
と、得してる!というか気持ちよいのだ。
さて、このライ麦の種まきも終わると、本当にもう畑に種まきするものはない。春先から半年間、天気を気にしながらひっきりなしに何かの種まきをしているので、種まきがなくなるとだいぶほっとするし、少しさみしい気もする。頭の中にはもう来年の計画があれこれ浮かんでくる。

写真:にんじんの花
雨の中、にんじんの収穫をしていると、いろんな虫が雨やどりをしていた。赤トンボ、シジミチョウ、ハナムグリ、カマキリ、シャクトリムシ…どれも逃げようとしない。季節を間違えて咲いてしまったにんじんの花もきれいだ。

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秋の野菜

今、ブロッコリーが畑にたくさんできて(咲いて?)います。長い間収穫できるように、時期をずらして種まきしたのに、どういうわけか一気にできてしまったのです。 無農薬のブロッコリーは貴重なので、たくさんお召し上がりください。
ブロッコリーというのは、見てのとうり花のつぼみです。そのまま畑においておけば、黄色い花が咲きます。切り花は鮮度を保つのが大変なようですが、ブロッコリーも花なのでやはり大変です。 花芽の部分は変化しやすいのです。これから寒くなってくれば大丈夫なのですが、まだ暖かいうちは、ちゃんと届いているか心配です。 スーパーでアメリカ産のブロッコリーが安く売られていますが、どうやって鮮度を保っているのかいつも不思議に思います。
それから、ブロッコリーは「アブラナ科」の野菜です。アブラナ科の仲間はキャベツ、カブ、大根、コマツナ、チンゲンサイ、水菜、カリフラワーなどたくさんあります。 どれも虫に好まれる野菜ですが、とりわけキャベツ、ブロッコリー、白菜などは、青虫やヨトウ虫、コナガなどの大好物です。 箱詰めする前にブロッコリーの中の方や、キャベツの外葉をはがしながら、虫がいないか念入りにチェックしています。 秋はまだ虫が少なくてよいのですが、6月のものはすさまじく、穴だらけのキャベツにうんざりするほどです。 無農薬なので仕方がないとはいえ、もう少し何とか虫対策を考えなければなりません。私たちは馴れているので虫を素手でつまむことなど平気ですが、 届いた野菜の中に入っていたりすると、さぞかし不快な思いをされているに違いありません。それでも、うちの野菜を取りつづけていただいている皆さんには頭の下がる思いがします。
今、茎ブロッコリーというのをお届けしています。菜の花のような形をした茎の長いブロッコリーです。これは中国野菜のカイランという野菜とブロッコリーを高配して生まれたものだそうです。 形状から虫がまぎれ込みにくいのがよいところです。また普通のブロッコリーより甘みと歯ごたえがあります。いかがでしょうか。

写真:稲刈り
10月1日、家族総出で稲刈りをした。メカ好きの息子は、バインダーを運転できて得意顔(もちろんターンはできない)。 このあと、稲をはぜ棒にかけて乾燥させる。

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