2005年8月

秋の野菜

9月の始めはまだ夏ですが、9月の終わりごろはもうすっかり秋ですね。畑の野菜もちょうど夏から秋へと移り変わってゆく時期だ。 夏のあいだ、もいでももいでも次々に赤くなって、収穫が追いつかないほどだったトマト。 ペースが次第にゆっくりになる。いくら待っても赤くならない。どんどん遅くなり、最後には、とうとうもう赤くなれない青いままのトマトが残ってしまう。 青トマトのピクルスを少し作り、ビンに詰めれば、これで今年のトマトもおしまいということになる。たくさん食べました。
「秋ナスは嫁に食わすな」なんて言います。おいしいから食べさせないという意味と、体を冷やすので食べさせてはいけない、 とふたつの説があるらしいのですが、はたして秋ナスっておいしいんでしょうか。確かに朝晩涼しくなってくると、実がしまっておいしくなるような気もする。 けれどこれは、だんだんかたくなってしまうということでもある。やはり何でも出盛りの旬が最もおいしい気がします。 ただこれが最後、また来年までおしまいという時は、またふだんよりちょっとだけおいしく感じるような気もする。「終わり初物」という言葉もあるそうだ。
今、赤と黄色の小さいパプリカをお届けしています。これは植物的にはピーマンと同じ種類で、最初は普通のピーマンと同じように緑色をしている。 7月についた“実”がひと月以上かかって、やっと今ごろ赤や黄色に色づいてくる。いわばピーマンが熟したものだ。 甘酸っぱい独特の味は好みがあるかもしれませんが、これを食べると、ひと夏ぶん太陽の光がぎっしり詰まっているような気がする。 今の時期だけ取れる野菜の一つだ。
秋野菜の本番はもうしばらく先になりますが、最初は間引き菜やコマツナなど菜っぱ類ができてくる。ネギもボチボチお届けします。 秋の野菜は夏のものとは違い、ゆっくりと育ったほうがおいしくなる。ですから、これから寒くなるにつれてより甘く、おいしくなってゆきます。 それから秋といえば“おいも”だ。今年はイモ類は豊作のようだ。カボチャやサツマイモは、収穫したばかりはホクホクしているが甘みは少ない。 しばらく貯蔵していると、ぐっと甘くなってくる。さて、そろそろサツマイモも掘り初めてもよいし、ジャガイモもまだ3分の1しか収穫していない。 昭和40年代生まれの耕運機と一緒にしばらくはせっせとイモ堀の日々だ。

写真:ナガコガネグモ
秋になると田んぼや畑でよく出会う。先日(クモから見れば)巨大なコガネムシを捕まえるのを目撃。 糸でぐるぐる巻きにすると、さっそくかみついた。ガブッと音がした(ような気がした)。

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草と一緒に野菜を育てる

トマトとキュウリの畑は、春、苗を植えるのと同時にうね間(通路)に牧草(えん麦と赤クローバー)の種をまきつける。やがてトマトやキュウリが大きくなってくる。 牧草も伸びてくる。ついでにまいてはいない草まで芽を出し、スクスクと伸びてくる。しばらくしてから通路の草を草刈機で刈り倒す。刈った直後は芝生のようでなかなかきれいだ。 牧草と草はすぐまた伸びてくるので、定期的に刈り込みながらトマトやキュウリを収穫してゆく。こういうやり方を草生(そうせい)栽培といいます。
キュウリはアブラムシがつきやすく、またアブラムシに弱い。以前は木酢液をかけたり、大さわぎしていたのだか、草生をするようになってからアブラムシが出にくくなった。 たまに少しばかり出ても、なぜか増えてゆかない。そのうちいつのまにかきえてしまう。不思議だ。見ていると、はだかの土より草が生えている所の方が確かに虫やカエルが多い。 天敵も多いということでしょうか。また、キュウリだけ植えてあるより、生えている植物の種類が多い方が、畑の環境が安定するようだ。とはいえ、まめに草刈をしないとたちまちジャングルのようになってしまうのです。
そのトマト、キュウリの収穫もピークを過ぎ、お盆(旧盆)を過ぎると、急に寂しくなる。昼の日差しはまだまだ強く照りつける。けれど、朝夕は何だか妙に空気がすんでいるような気がしてくる。 雲の形も心なしか真夏とは違う。あるいは単に気温が1~2度下がったことを、むしろ体のほうが正確に感知するのだろうか。とにかく、何やら少し秋のけはいだ。
今、秋冬ものの種まき時期だ。ファッション業界ではないけれど、秋冬ものの仕込みは夏にやっておかなければならない。6月にキャベツ、7月にブロッコリー、8月に白菜、大根をまいて、 あとは今から9月下旬までホウレンソウや小松菜などの葉物の種まきだ。秋が深まり、寒くなってくると、野菜の生長は日に日にゆっくりになってくる。 今まいた小松菜は1ヶ月もしないで収穫になる。一番最後にまいたものは大きくなるのに、その倍近くかかってしまう。これをバッチリ計算して種まきしているはず…なのですが、なかなかスムーズにいかないことも多い。 一度あいだがあいてしまうと、待っても待っても大きくなってくれないのです。今年はうまくゆくとよいのですが…。
夏野菜もにぎやかでよいのですが、そろそろ間引き菜のおひたしでも食べたくなってきました。

写真:カマキリ
トマトのうね間の草生もついつい手が回らず、草ぼうぼうに。でもここは虫の天国だ。今朝は脱皮したばかりのカマキリと眼が合った。

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