2005年7月

お隣のすごいおじいさん

毎年のことながら、夏ってこんなに暑かったっけ?と思ってしまう。畑の草取りなどしているとたちまち汗びっしょりだ。「上農は、草を見ずして草を取る」なんていいますが、草取りも適期にきちんとやりさえすれば何の問題もない。畑中きれいにして、ついでに土手草も刈ってやれば、さっぱりしていい気分だ。だが、どういうわけかなかなかこうはいかない。どこかでひとつつまずき、適期を逃がすと、みるみる畑は草だらけになる。本当にあっという間だ。こうなると何倍もの時間をかけて、畑中はいずりまわるはめになる。まあ、汗をかいて身体を動かせば健康にもよい、と言うことにしておきたいと思いますが…。
今日は隣の吉一さんが、ホークを使って耕運機の荷台に堆肥を積み込み、運んでゆきました。百姓ひとすじ、お年は確かもう90歳に近いはずだ。田んぼも作っていて、スーパーカブに乗って水の様子も見に行く。トラクターに乗って畑を耕しにゆく。梅の木に登って梅をもぐ。あれやこれやいつも体を動かしている。夏バテしないんでしょうか。ちょうどうちの家の窓から見える彼の自家用の畑は、いろんなものが少しずつきれいに植えられている。トウモロコシが何回も食べられるよう、数本ずつ階段状に植わっている。漬けウリも植えてあるようだが、ご自分で奈良漬けを作るのだろうか。人間先のことはわからないが、吉一さんを見ていると日々体を動かすことって、どんな保険に入るより確かなことに思えてしまいます。

写真:ヤマトイモ
今、生け垣のようにしげっています。収穫はこのつるが枯れてから。小さめでも形の良いイモがとれてほしいのですが、掘ってみないとわかりません

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犯人は誰だ?

今年もまたモロコシ畑にタヌキがやってきた。朝、キュウリを取りに畑に行くと、隣に植えてあるトウモロコシが2、3本倒れている。もしかしてと思い、近づいてみるとやっぱりそうだ。ガリガリとかじったあとがあり、半分ほど皮をむかれたモロコシが転がっている。見ると中の粒はまだ小さくて真っ白だ。「おいおい、まだ早いよー」タヌキも皮をむいただけで一口もかじっていない。一目見てまだ早いと判断したものらしい。毎年、そろそろ取れるかな、と思っていると、ひとあし早くためし取りしてくれるので、収穫時期の目安にはなるのですが…。
 ところで、タヌキ、タヌキと決めつけているが、実際にタヌキがモロコシをもぎ取っている現場を目撃したことはない。それでは証拠不十分ではないか、と言われればまったくそのとおりだ。もしかするとハクビシンかもしれない。何年か前に隣の家の柿の木に登って柿を食べているのを目撃したことがある。白黒まだらの特徴あるお顔なので間違いない。彼らは木のぼりがたいへん得意で甘いものに目がない。あるいはアナグマかもしれない。何年か前に、かなりジャガイモを掘られたことがある。こちらはやはり目撃証拠はないのだが、アナグマというだけあってたいへん上手に、かつパワフルにイモほりをしてくれた。去年はシカにだいぶ食べられたのだが、シカの食べ方は違う。まだ指くらいの太さの、ヤングコーン状態のものを歩きながらパクパク食べてしまう。何せ体は大きくて食べる量は多い。これが一番まいってしまう。それに比べれば毎日少しずつ大きくなるモロコシを、食べごろになるまでじっと待っているタヌキなんて、かわいいものだ。つい待ちきれずにちょっとだけかじってみた気持ちもわからなくはない。とはいえ、食べ始めるとほとんど毎日数本ずつ食べに来る。家族そろってこられると、一日あたりかなりの必要量になる。これも数年前の話ですが、トウモロコシの収穫がすっかり終わって片づけをしているとき、畑のまんなかに「穴」を発見したことがある。深さ30cm長さ1mほどのりっぱな横穴で、タヌキか何かが作ったらしい。昼間はここでお休みして、夜はひたすらトウモロコシを食べて、ひと夏過ごしていたらしいのだ。
毎年今ごろは何やら忙しく、なかなか手が回らないのだが、今年は少し余裕があるようなので、タヌキには悪いけれど、もろこし畑にネットをはろうかなと思っています。動物もみんな大好きなトウモロコシがもうじき取れます。

写真:タヌキ
 去年の暮れ、家の縁側に出没した。普通は昼間、あらわれないが、皮膚病をわずらって弱っていたせいだろう。

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肥料のこと

ほそかわ農園で使っている肥料は牛ふん堆肥、カキガラ、ボカシ肥の3種類です。堆肥は作物にあげるというより、フカフカで微生物いっぱい、元気いっぱいの土にするために「土」にあげるというかんじです。カキガラは名前のとおり、カキの貝殻の粉末です。以前は石灰を使用していたのですが、そのかわりに使っています。ホウレンソウ、トマトなど石灰分を特に必要とする作物にまいてあげます。
 作物にまく、いわゆる「肥料」は3年ほど前からすべて自家製ボカシ肥にしています。ボカシというのは有機質肥料を発酵させたものです。原材料は米ぬかが全体の2/3、ナタネ油の絞ったあとの油カスが1/3、魚カスとカニのこうらの粉末が少々(1/10~1/20くらい)、あとはモミガラです。これらの材料を混ぜ合わせ、水をかけると、今の時期なら数日でたちまち温度が上がってきます。発酵熱で60℃くらいになるのです。そしてなにやら甘酸っぱい、いい匂いがプーンとただよいます。酵素風呂ではありませんが、入ったら気持ちよさそうです。春先、まだ寒いころノラ猫が上に乗って温まっていたこともありました。1日1回まんのうぐわやスコップで切り返し、混ぜます。最初は水分が多く、ずっしりと重いのですが、次第にサラサラになり、温度も下がってきます。これででき上がりです。現在はこういう肥料を500~600kgずつ年に4回作って使っています。ボカシをあげると虫の出かたは安定するし、野菜も甘くおいしくなるような気がします。とはいえ、たとえどんな肥料を使ったとしても、人間の思いどおりに野菜に味付けすることはとうていできません。
「トマトを作る、ジャガイモを作る」という言い方をついしてしまいますが、本当はトマトやジャガイモが自分で育った、と言うほうが正確ですね。でも、だからこそ
野菜っておいしく、慈味なのでしょう。

写真:キュウリの花
ウリ科のカボチャ、ズッキーニ、キュウリなどは、雄花と雌花がある。雌花にはもう小さなキュウリがついている。

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