2003年10月

今年の小麦

小麦は秋、9月下旬~10月始めころにタネをまいて、翌年の6月下旬~7月初めに収穫します。その間はたいしてやることがないので、つくるのにわりと手間のかからない作物です。ただ、収穫の時期はちょうど梅雨で、しかも野菜の作業がピークなのでちよっとたいへんです。コンバインで刈ってゆくと、小麦の粒だけが脱穀され、大きな袋に詰められてゆきます。小麦は脱穀する時皮がとれてしまい、お米でいう玄米の状態になります。籾殻がないぶん、お米よりずっしりと重くなります。かついで運ぶのにあまりにも重いので量ってみると、何と40キロもありました。

今年は「東山31号」という小麦を作りました。これはうどんに適し、かつ寒冷地に適したものをということで、新しく作られた品種です。粉にして、うどんを打って食べてみると、確かにおいしい!モチモチしていて、かつコシのある食感がなんともいえません。パンを焼いてみても、去年のシラネコムギより膨らみ方がよく、グルテンも多いようです。

乾麺は昨年と同じ、栃木県の黒沢製麺所に作ってもらいました。昔は関東地方にはあちこちに小さな製麺所があったのですが、次々となくなってしまったようです。昔ながらの機械でゆっくりと粉を挽き、それを何度も圧縮して麺を作り、自然乾燥するという、手間ひまかけてじっくりと作ってくれる貴重な製麺所です。ふすまの部分も少し含まれているため、見た目は黒っぽいですが、小麦本来の甘みが出て、風味あるおいしいうどんに仕上がります。。

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秋野菜の言い訳

今年の秋の葉物類はできが悪い。何か所かの畑に分けて作付けしているので、畑によって多少違いはあるのだが、全体に肥料が足りない様子で顔色が悪い。たとえば、トマトなどはできる限り少ない肥料で育てたほうが、玉は小さくてもおいしくなってくれる。しかし、葉物は肥えた土でないとおいしくならない。ある程度肥料分がないと、どうしてもかたくなってしまう。小松菜などはタネをまけば、早ければ30日で収穫できる。作るのは簡単な気がするのですが、本当においしいものを作るのはなかなか難しいです。また、よい野菜ができるようになるまでには、時間がかかるものだなと、あらためて感じます。これは言い訳ですが…。

畑のほうは今年の役目を終えて、あとは片づけるだけというところが増えてきました。この片づけがどうもめんどうくさくて、ついつい後回しになってしまいます。しかし、ここががんばりどころ。早く片づけて、緑肥用のえん麦をまくのと、まかないのでは、来年の畑のできが違います。あとは、落ち葉を集めたり、堆肥を積んだり、ぼつぼつ来年の準備が始まっています。

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有機野菜の作りかた・売りかた

今、11から12月にとれる小松菜の種まき時期です。このあたりでは9月25日頃が種まきの限界で、それより遅くまいても今年中には大きくなりません。あとはニンニクと玉ねぎを植えれば、春からひっきりなしに続いてきた、植えもの・まきものもようやく一段落です。

ほそかわ農園ではいろんな種類の野菜を作って、皆さんに直接お届けしています。現在は約70世帯の方に食べていただいています。ロスを見越して多めに作付けするので、取れすぎた分は近くのスーパーの産直コーナーに置いています。また、今はやっていませんが、契約栽培という形で自然食品店に単品で出荷したこともあります。

同じ有機農業といっても、どんなふうに野菜を売るのかによって作り方まで変わってしまいます。たとえば、ホウレンソウやコマツナは冬の霜に当たると、甘くなり、栄養価もあがりますよね。でも、葉っぱは黄ばんで見た目は悪くなり、スーパーに出してもなかなか買ってもらえません。店頭ではそんな話を詳しく伝えることがむずかしいので、どうしても「味より見た目がすべて」というふうになってしまいます。契約栽培の場合は、決まった量を納期に出荷するということが最優先です。確かにひとつのものを大量に作れば効率が良いのも事実です。しかしそうすると、どうしても畑や作物に無理がかかってしまい、納得のいくような有機農業を続けていくことは困難になります。

たくさんの種類の野菜を作り、畑から直接おとどけする方法は、野菜にとっても畑にとっても最も理想的です。反面、セット野菜は好きなものだけ選べないし、あるときはどっさり、ないときは全然ない、と不便なことばかり。それでも、ほそかわ農園の野菜が食べたいという方に食べていただけ、私たちも農業を続けることができて、本当にありがたく思っています。

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収穫の秋

思いのほか厳しい残暑でしたが、朝夕はさすがに少し肌寒く、秋のけはいです。あんなに採れていた夏野菜がひとつ、またひとつとなくなってゆくのは寂しいですが、さすがにもう十分にいただきました。秋一番に取れた葉物をみそ汁に入れて、フーフーと食べていると夏ばてぎみの胃袋がほっとするようです。

秋野菜は、まず小松菜などの葉物が採れだします。続いて小カブやホウレンソウも出てきます。根菜類は、ジャガイモを堀り終わって倉庫に積み上げたところです。次にサツマイモとサトイモ。この二つは暑いのが好きなので、今年はちゃんとできているか心配です。最後にゴボウと山イモ。霜が降りて葉っぱが枯れてから掘り出します。それから豆類の収穫。インゲン豆、小豆、大豆など。さやをもいで、あるいは茎ごと刈り取ってから日に当てて干し、たたいてさやから出し、手回しのとうみで風選別するという具合です。

収穫といえば稲刈りもあります。お米は自家用に1反5セ(450坪)ほど作っているだけです。スーパーにいけば、お米なんて10キロ3000円くらいから売っていますよね。お金にすればたいしたことはない、というより春からの代かき、田植え、草取りそして毎日の水管理と、かかった労力にまったく見合っていません。お金に換算してはいけないということでしょうか。今の世の中、何でもお金に換算してしまいがちですが、特に食べるものに関しては経済性ばかりを追求すると、ますます自給率が下がり、安全性もないがしろにされてしまいます。ともかく、家族が一年間食べる主食の収穫というのは秋のメーンイベントという感じです。今年は残念ながら、やや不作のようですが。

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