2003年9月

地方の野菜と赤カブ漬け

今年の夏、飛騨高山へ日帰りで行ったのですが、そこで食べた赤カブ漬けがおいしかった。
赤カブ漬けは高山の名物だそうです。どこのお土産やさんに行っても、各メーカーの様々な種類のものがおいてありました。独特の酸味があり、これは本来、塩と砂糖と米ヌカだけで漬け込んだものが、時間とともに乳酸発酵したものだそうです。私は個人的に酢と砂糖の「甘酢あじ」は嫌いなのですが、乳酸発酵した酸っぱさは大好きです。家で漬けた野沢菜漬けも、一冬越して春先になってくると少しづつ酸っぱくなってきます。子供の頃からそんなものを食べさせられてきたせいでしようか。京都のすぐき漬けもおいしいですね。そういうわけで、今年は少しだけ赤カブのタネをまきました。自分で漬けてみようというワケです。今ちょうど芽が出たところです。どうなることやら楽しみです。

今、野菜は大きな種苗メーカーのF1品種が中心で、全国どこへ行っても同じ種類のものが作られるようになってきました。しかし、それぞれの地方には、多様な独特の品種が受けつがれ、残っているのです。大根やカブの種類の多さはおどろくばかりだ。赤カブでは、山形のあつみ温海カブや木曽の開田カブ、飛騨紅カブなどいろいろある。ナスもたとえば、ナスどころの新潟などでは、小ナスの漬物用のものや、焼きナス専用のその名も「ヤキナス」という品種、「白ナス」といううす緑色のナスもある。残念ながら、経済的に合わないという理由ですたれつつあるのが多いようですが…。確かに毎年良い種を選び、自分で種をとり続けてゆくのは手間のかかる、技術もいる大変な作業です。また食生活が変わってくれば、なくなってゆく野菜があって当然かもしれませんが、食べ方まで含めて生きてゆく知恵として長年伝えられてきたものは大切にしたいと思うのです。

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