2003年7月

ジャガイモ畑をしきりに荒らす動物がいる。まだイモもこれから大きくなるところだというのに、すでに2セ(60坪)ほど食べられてしまった。食べた分より、少しかじったり、掘り返して散らかしたほうが多く、よけいに腹が立つ。そういえば、去年はすぐ隣の畑にジャガイモを植えて、イノシシにずいぶんやられたのだった。すっかり忘れていた。うかつでした。でも今年は去年に比べると、荒らし方がややおとなしい。イノシシではなく、もっと小さな動物みたいだ。何だろう?

とりあえず、畑の4隅に暗くなると電池でピカピカ光るライトをつけた。道路工事の現場で使っているものとまったく同じもので、JAの店で獣よけようとして売っているのだ。しかし、去年イノシシには効果があったのだか、今回はだめみたいで、平気で荒らしてゆく。仕方がないので、今度はぐるっと畑じゅうネットを張りました。1.5m幅のネットを150mぶん。2、3日後に見に行くとネットに直径30cm程の穴が二つあいており、2坪くらい食べ散らかしてあった。さて、こうなったら今度は少し痛い目にあってもらうよりほかはありません。足をパチンとはさむワナを4ヶ仕掛けました。それから一週間、誰もかからず、幸いにも畑によりついたものはいないようだ。

それにしてもいったい何の動物だろう?このへんはまだ自然が豊かということでしょうか。いろんな動物を見ます。キツネ、イタチ、サル、シカ、ニホンカモシカもいます。去年は例のハクビシンも目撃した。出会ってないのはクマくらいです。農業をやっていなければ何も悩ましく思うことはないのですが、害獣を駆除してもらうのも仕方ありません。動物とヒトがうまく住み分けできるといいのですが。むずかしい問題です。

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キュウリのつる

ちょっとむし暑く感じる夜が続くと、夏野菜はぐっと大きくなる。カボチャのつるが伸びる早さにはおどろくばかりだ。つる先を持ち上げて、みるみる畑をうめつくしてゆく様子は、何か動物的ですらある。カボチャはここまでくればあとは、実がなって収穫できるようになるまで放っておくだけなので手間なしだが、トマト、キュウリは少しめんどうだ。トマトは支柱を合掌に立てて、伸びた茎が倒れないように誘引し、キュウリは高さ2mくらいのアーチパイプにネットをはって、そこにつるを誘引してゆく。伸びた分だけ、ひもでくくりつけてあげなければいけないのです。

トマトにはつるがはないので、いわば人間の都合によって支柱にくくりつけられているわけですが、キュウリもうっかり誘引をサボっていると伸びたつる先が垂れ下がってきて、時にはポキッとおれてしまうことも。「そのりっぱな巻きヒゲはいったい何のためについているのだ!」といいたくなる。

近所のおばあさんが「今のウリ(キュウリ)はずくなし(なまけもの)でだめだけど、昔のウリはひとりで巻きついてのぼっていったよ」といっていましたが、本当でしょうか。ちなみにゴーヤはキュウリより野性的で、ひとりで巻きついてのぼってゆくので人の手をわずらわすことはまったくありません。

今、畑ではいろんな野菜が伸びざかり、そして花ざかりです。

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みどりの親指

畑づくり、野菜づくりには作っている人の性格がよく出ます。長野県内で、同じく有機農業をしている人の畑を見学する機会が年に何回かあります。おおらかな人、あるいはおおざっぱな人、そして几帳面な人と畑の様子、作物の姿、野菜の味までおどろくほど違います。そして一種の才能でしょうか、英語で「Green thumb(みどりの親指)を持っている」と言って植物を育てるのが生まれつき上手な人と、なぜだかどうしても下手な人がいるような気がします。同じ生き物とは言っても、植物と人間とは生きてゆくリズムがまったく違うとつくづく感じます。もちろん、何もしゃべってはくれないし、いったいこの作物はもっと肥料がほしいのか、もういらないか、それとも他に何か気に入らないことがあるのが、「いったいどうしたいのだ!」と聞きたくなることがたびたびあります。

ついでに言いえば、お百姓は一人一人が経営者でもあるわけで、経営センスのある人とない人がやはりいます。一番もうけている人と、そうでない人では2ケタくらい収入が違うみたいです。ただし、どちらがより楽しそうに生活しているかは何ともいえません。それに、あまり経営者としてセンスのある人は、おそらく有機農業などしていないかもしれません。農業は基本的に、お日様と水と土がたよりの「スロー」な営みだからです。

さて、人のことはよく見えても自分のことはわからないものですが、ほそかわ農園の野菜はどうでしょうか。ひとつだけ私が人に勝てると思うのは、「人間は食い物が基本だ」という戦中派の人のような信念。そして野菜を食べるのが好きなこと。食い意地の強さです。おいしい品種があると聞けば、作ってみずにはいられません。そろそろズッキーニやキュウリなどの夏野菜が採れはじめます。だれより私が楽しみです。

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