2002年

冬の菜っ葉

いよいよ寒くなってきました。朝、温度計を見るとマイナス5、6度になっています。まだ雪にはなりませんが、一面真っ白な霜です。ほうれん草やターサイがぺったりと地面にはりついて寒さに耐えています。特にターサイはまるで座布団のよう。初めて見た方は、これは何?とビックリされるのではないでしょうか。夏にターサイを作ると、まったく違う小松菜のような立った形になります。同じタネからできたものとは思えません。味と栄養はもちろん、冬のほうが上。ターサイ、小松菜、ほうれん草などの菜っ葉は寒さにあたってこその野菜です。今年の菜園たよりは今回でおしまいです。今年も一年ありがとうございました。

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干し柿作り

うちの庭には渋柿の木が6本あリます。ずっと昔、ばあちゃんが植えたものだそうです。20キロ入りのコンテナに4,5ケースから多い年には10ケース近くも取れます。一部はへたを焼酎にひたして渋抜きして食べ、残りは、毎年11月上旬に干し柿作りをします。柿の実をもぎ、皮をむき、ひもでつないで軒先につるす。量が多いだけに、結構手間がかかりますが、軒は一面干し柿のすだれ状でなかなかみごとなものです。こうして作った干し柿は、12月半ばくらいから食べられるようになり、冬中の我が家のおやつになります。市販のものよりかたいけれど、凝縮された柿の甘みが何ともおいしく、子供も大喜びでほおばります。

干し柿作りのように、うちではお金にならない趣味的な仕事が結構たくさんあります。別の機会に紹介したいと思いますが、梅干し、たくあん、野沢菜漬け、干しいも、切干大根、味噌、どぶろく、自家用の果物、きのこ作りなどなど。収入は少ないけれど、何でも自分で作り、できるだけお金を使わない時自給自足的暮らしをしています。と言いたいところですが、買いたいものはいろいろあるし、もっと現金収入を増やさなければいけないのが現実です。

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小麦の話

我が家はみんな小麦が好きです。1日1回はめん類が食べたい。長いものなら何でも大好き。しかも別腹。パン、お好み焼き、お焼きも大好き。手打ちで作るほうとうは、寒い冬には欠かせない料理です。

食べるだけではなく、青々とした小麦の穂が風になびいているのを見るのはとてもきれいで、作るのも楽しい。このあたりでは、小麦の種は9月中旬から10月半ばくらいにまきます。10センチくらいに伸びた小麦はそのまま冬を越します。春になってから真っ先に青々と伸びだし、7月の1週目か2週目に収穫になります。収穫時期がちょうど梅雨どきで、しかも他の畑仕事が忙しい時期なので大変だったのですが、今年から中古のコンバイン(脱穀機)を安く手に入れることができ、収穫が楽になりました。

ところで、日本のコムギは90%が輸入。そして、世界で最もパン作りに適したコムギの一番品質の良いものだけをカナダとアメリカから輸入しています。めん用にはオーストラリアから最もめんに適したコムギをもってきているそうです。これらが私たちがよく食べているうどんやパンになるのです。国産小麦でパンを焼いたことのある方にはその違いがよくわかると思いますが、売っているパンってコマーシャルではありませんがフカフカ、しっとり、もっちり…。でも、日本の小麦も味わい深く、本当はおいしいんですよ。ヨーロッパの国々のそれぞれの地方に、その土地の麦を使った様々なパンがあるように、日本にも日本のムギを使ったものがあればよいなと思うのですが。

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これからの仕事

ぼつぼつ薪ストーブを焚き始めました。このところ暖かい日が続き、このあたりでも10月20日を過ぎて、まだ初霜が降りていません。といっているうち、すぐにガツンと来るはずですが…。畑仕事もようやく一段落といったところです。仕事がはかどったというのではなく、寒さで雑草の生長が止まり、来年まで草取りおよび草刈り作業をしなくてもよくなったというわけです。ただし、草ボーボーにしてしまった畑は、また来年こぼれた種から何百倍にもなって草が生えてきます。

これからする仕事としては、今は秋野菜の一番おいしい時なので、皆さんにたっぷりとお届けするということ。また、近日中にタマネギの苗を定植するのですが、それが終われば今年の種まきや定植はすべて終わりです。あとは畑を順に片づけて、堆肥をまいたり、えん麦やライ麦などの緑肥作物をまいておきます。そして大豆やエゴマの収穫。ネギや大根、白菜、大カブなども、本当に寒くなる前に収穫してかこいます。
そういえば、今年はこの辺一帯イノシシに荒らされて、近所のおばあさんもせっかく作ったジャガイモとカボチャを大部分食われてしまったそうです。ジャガイモ30キロくらい、カボチャ30個くらい分けてほしいと頼まれました。この時代、どんな田舎でもスーパーに行けば、いつでも新鮮なものが安く手に入ります。何もそんな大量に家に蓄えなくてもよいのではと思うのですが、長年きびしい冬を乗り越えてきた人の習慣というか、ほとんど本能のような、そんな気持ちが最近は何だかとてもよくわかる気がするのです。

話がそれましたが、あとはハウスや倉庫を建てたりの大工仕事。来年の床土作り、たくあんや野沢菜をつけたり…と、もうしばらくは何やら農作業の日々です。

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秋冬野菜の言いわけ

今年の秋冬野菜は不作です。ほそかわ農園として野菜を作り始めて今年で7年目になるのですが、最もできが悪い。 がっかりです。けれどもこれは天候のせいではありません。管理不十分。手が回らず。自分のせいです。
キャベツは苗を畑に植えるのが遅れました。10日くらい遅れてしまったでしょうか。もういけません。 ケールのように葉っぱが広がったままで、青々としてとっても元気そうなのですが、丸く結球してくれないのです。 カブや大根、白菜も遅れそうです。それから長ネギ。長ネギは草に弱い。トウモロコシなんかは草には強く、 背が高くなるし肥料をすう力も強く、草だらけにしておいても、雑草に負けじとぐんぐん大きくなり、けっこう収穫できる。 大豆やジャガイモなんかも、最初何回か草取りをしてあげれば、次第に葉がしげってきて光をさえぎり、 ある程度大きくなればもう草は生えてこない。ところがネギはいくら大きくなっても、あのとおり棒のような姿なので、 最後まで草に勝つということがないのです。そして日照りには強いかわりに雨はキライなので、 草だらけの中に放っておくとヒョロヒョロになり、次には溶けてなくなってしまう。本当に今年はいけませんでした。

近所の百姓のとしょーり(ご老人)が何げなく、かつゆっくりと、しかし確実に 行っている作業のすべてがひとつの技術なのだとあらためて思うこのごろです。

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カボチャごろごろ

○ 今年は8月の少雨がたたって、秋の葉物は今ひとつです。そのかわりというか、 カボチャが例年になく豊作で、軽トラック3台分も収穫できました。
前にたよりで紹介した「へそカボチャ」もたくさん取れたのですが、 残念ながら「へそ」の盛り上がり度が今ひとつ、小さな出べそカボチャといったところです。
味の方は去年食べたのに比べると、甘みはあるけれどホクホク感が強く、 煮物にはもう少し粘質のほうが良いようです。きっと去年とっておいた種の時点で、 すでに他の品種と交雑していたのでしょう。

去年、たよりで遺伝子組み替えトウモロコシの話をしましたね。 今年は遺伝子組み替えの心配のないトウモロコシの種を少量ずつ分けてもらい、 試しに作ってみました。ひとつは「20年前のスイートコーン」といわれるもので、 今のものより甘みは落ちるが、まずまず食べられるものでした。
もうひとつは「もちモロコシ」といわれるもので、甘みは少なく、 歯にねちゃねちゃくっつく感じではっきり言っておいしくない。 では、甘みを多少我慢しても「20年前のスイートコーン」なら絶対に安全かというと、 必ずしもそうではないのです。
遺伝子組み替え問題の恐ろしいところは、 数百メートル離れたところでも飼料用のトウモロコシを作っている畑があれば交雑する可能性があり、 それは防ぎようがないのです。本当に困ったことになりました。とりあえず、 最新の情報に耳を傾けつつ、より良い方向を手探りしているというのが現状です。

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畑もったいないトマト

トマトは出荷できないキズものが出やすい野菜です。えき病やウイルス病といっ た病気にかかりやすいし、雨が降ると皮がはじけて、すぐひび割れができてしまう。 また、ヨトウムシやタバコガなどのイモムシにねらわれやすい。ナスやピーマンなど はあまり食われないのに。生で食べるにはやはりトマトのほうがおいしいのだろう か。
そういうわけで、皆さんに野菜をお届けするごとに、くずトマトがドサッと残っ てしまう。もったいないので、保存用のトマトピューレのほか、ラタトウュ、ミネス トローネ、スパゲティー、ピザ…あらゆるトマト料理を作りました。でも何といって も、そのまま切って大きなお皿にドカンとのせていただくのがおいしい!毎日毎日… 飽きもせず。もう来年の夏まで心残りはないです。
旬の野菜をいただくというのは、 本当に“ばっかり食”なんですね。でも1年を通して栄養のバランスが取れているの だと思います。

田んぼが黄色くなりました。ああ、夏が終わってゆく。

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畑にみずやり

先日ハクサイの苗を植えた。雨が降ってちょうどよく畑がしめったので植えたの ですが、そのあとお天気が続き、すっかりしおれてしまい、なんだか枯れそうになっ てきたので、急いで水をかけました。
川の水を300リットル入りのタンクにくんで、 軽トラックで畑まで運び、エンジンポンプに50mのホースをつないで1株づつ水をか けてやるのです。それほど大変なわけでもないのですが、「ちょっと雨さえ降ってく れたら、こんなことしなくてもいいのに…」と思いながらやるせいでしょうか。なん だかとてもめんどうくさく感じる作業です。
とはいえそんなに都合よく雨が降ってく れるはずもないし、ハクサイが枯れてしまったら大変だ。春に種まきするものは、も し失敗して芽が出なかったりしてもすぐにまき直せば数日の遅れですみます。食べら れる期間が長くなるように、わざわざ種まきをずらしたものが追いついてしまい、同 時にできてしまうこともあるくらいです。
でもこれから秋冬にかけては、日も短くな り、寒くなってゆくばかり。作物の生長もゆっくりになってゆくので、種まきだけは 遅れないように気をつけなくてはいけません。まき直しということはできないので す。

9月にはいると前半は夏野菜が中心ですが、後半はだんだんに葉物類などの秋野菜 がでてきます。涼しくなってくると急に、菜っ葉や小カブが食べたくなってくるのが 不思議です。

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巨大きゅうり

夏の畑仕事といえば、いろんな実物の収穫です。キュウリ、ズッキーニ、ナス、 ピーマン、トマト、いんげん…。なるべく涼しい時に取ったほうがよいので、朝起き るとまず収穫だ。特にキュウリとズッキーニは毎日取らないと大きくなりすぎてしま う。なかに、ほんの少し小さくて、取ろうかどうしようかと迷うのがあります。次の 日になるともう大きすぎ。皆さんにお届けするキュウリも時々ちょっと大きなのが 入っていると思います。葉っぱの陰になっていたりして、うっかり見落としてしまう と、それは立派な姿になります。毎年必ずヘチマのようなのが発見されます。

雑草の伸びる早さにも、毎年のことですが驚かされます。今年はこのあたりでも できると聞いて、落花生を1列植えてみたのですが、草取りを後回しにしているうち に草におおわれてしまい、収穫は断念。草刈機で刈ってしまいました。ポップコーン も草だらけで収穫は無理みたい。長ネギも見事に草にやられてヒョロヒョロ…。でも これはあきらめるわけにはいかないので、今草取り中です。今年のネギはどうなるの でしょうか。農業は雑草との闘い。つい欲張ってあれこれ植えてしまうのですが、人 手不足(農作業はほとんど一人でやっている)で、あとで悲しい思いをするはめに なってしまいます。

まだまだ暑いですが、立秋を過ぎると空はもう秋のような雲が浮かんでいます。 夏ももう少しですね。

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ちょうちょはどこへ?

ブットレアという花をご存知でしょうか。 紫や白色の美しい房状の花が上向きに咲く低木ですが、別名“ちょうのマタタビ”とも言われます。 子供のころはまさにその名のとおり、あらゆるちょうが群がって飛び回り、みつを吸っていたむせ返るような光景をよく覚えています。 クジャクチョウ、ヒョウモンチョウ、アカタテハ、キタテハ、キベリタテハ、それからアゲハの仲間。 今も庭にはあのころと同じ場所にブットレアが咲いていますが、ちょうは一匹、また一匹と飛んでくるだけ。 めっきり少なくなりました。そしてまた、小学校への行きかえり、秋になると道ばたや土手に、 ガードレールにびっしりととまっていたトンボは…ほうきではたき落としたホタルは…めだかは…いったいどこへいってしまったのでしょうか?

様々な環境ホルモンや化学物質の影響でしょうか。それとも気候の変化のせいでしょうか。 私の子供のころというと、もはや30年近い昔の話となってしまいましたが、 それでも地球の歴史から見たら、ごくごく一瞬のはず。 こんな目に見えるような自然の変化があってよいはずはないと思うのですが。

暑い日が続いています。野菜をたくさん食べてどうぞ夏ばてされませんように。

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